「きっかけはママ友の一言」11年ぶりの首位奪還を牽引したキリンビールのヒット商品はこう生まれた
キリンのビール部門が、11年ぶりにアサヒビールから首位奪還しました。好調の理由を聞きました。
2020年、キリンビールが11年ぶりに首位奪還。

2020年、キリンビールが好調でした。コロナ禍にかかわらず、市場を上回る実績を残し、11年ぶりにビール市場でのトップシェアを獲得しました。
外食需要が大幅に減るなど、苦戦を強いられた2020年、キリンビールはどのように乗り切ったのか。ブランド担当に話を聞きました。
新商品ではなく、今ある「主力ブランド」を強化

「ビールの“おいしさ”にこだわって、主力ブランドを強化してきました。
過去には、新商品を多く展開していた時期もあったのですが、2017年くらいからは、主力ブランドに注力してきました。
中でも『一番搾り』は2019年においしさにこだわったリニューアルを行い、販売数量を飛躍的に伸ばすことに成功しました」(キリンビール株式会社 マーケティング部 一番搾りブランド担当 北島苑さん)
健康志向にフィットした「一番搾り 糖質ゼロ」が大ヒット

2020年10月に発売された「一番搾り 糖質ゼロ」は、ビールとして初めての糖質ゼロ製品として、大ヒットを記録しました。開発のきっかけはお花見の席での友人の一言だったそう。
「開発者の一人がプライベートでママ友とお花見をした時に『ビール好きだけど、身体のことを考えて最初の一杯だけにしておくわ』と言われたそうなんです。
もし、ビールで糖質ゼロの商品があれば、もっといろいろな人においしいものを楽しんでいただける幅が広がるのではないか、と開発がスタートしました」
開発期間は実に5年間、初の試みに苦労の連続だったそうです。
「麦の旨味が感じられる味わいにこだわりました。しかし、発売後は予想以上に売り上げを伸ばし、『糖質ゼロ』というニーズの高さを感じました」
酒税改正が後押しに「一番搾り」ブランド(缶)の販売数量は過去10年で最大
2020年、ビールの販売を後押ししたのが10月の酒税改正でした。
「ビールが減税の対象となったことで、ほかのカテゴリーからのビール類の流入もあり、10月〜12月期『一番搾り』ブランドの販売数量は前年比約5割増を記録しました。
結果、2020年の『一番搾り』ブランドの販売数量は過去10年で最大となりました」
「おいしさ」で選ばれるビールを目指す。

「コロナの影響が長引き、暗い話題も多いですが、ビールが持っている明るい性質みたいなものを伝えていけたらと考えています」