日本の10倍以上!バルミューダの空気清浄機が海外でめっちゃ売れてる
韓国で日本の10倍売れてる!バルミューダの空気清浄機がめっちゃ人気です。日本の家電メーカーが成功できなかった市場で、バルミューダが成長できた理由って?社長の言葉から探ります。
あのバルミューダが今度は韓国でブレイク!

「死んだパンを蘇らせる」と話題になったバルミューダのトースター、これまでにない着眼点が支持され、累計販売台数70万台という大ヒットとなりました。
そのバルミューダが今、韓国で大人気です。
海外で初の発表会を開催

韓国国内で12店舗もの直営店を展開し、今年2月には、韓国で空気清浄機の発表会も行いました。
バルミューダが海外で製品発表会を行うのは今回が初めて。現地の報道関係者、インフルエンサーなど約180名が参加した盛大な会となりました。

人気の理由は環境問題

韓国では、現在PM2.5が深刻な問題になっています。
ソウル市内を流れる巨大な川、漢江の対岸が霞んで見えるほどで、昼でも太陽は白く見えます。韓国では日本の空気清浄機市場を超す約200万台の市場があり、今後さらに市場拡大すると見られています。
その市場で、バルミューダの製品が評価されたということでしょう。
しかし、韓国はLGエレクトロニクスやサムスンという大手家電メーカーが双璧をなし、海外の家電メーカーが成功するのが難しい市場だと言われていました。その中でバルミューダはなぜ、成功できたのでしょうか。
背景には、一般的な家電メーカーとは全く異なる、バルミューダならではのものづくりがあります。
市場調査は一切しない。

多くの企業は、競争相手の製品を調べてから製品開発します。しかし、バルミューダはそういった市場調査を一切しません。
韓国の記者発表会で「LGやサムスンなど、韓国にはすでに空気清浄機がたくさんありますが、バルミューダはそれらの競争相手とどう差別化したのですか」という質問がありました。
それに対して、代表取締役 寺尾玄氏は「私たちは市場にある製品を一切見ない。どのような製品で、性能なのかは全く考えていない。自分たちができることとお客様の喜び、自分たちとお客様のことしか考えていません。他社の製品を知らないので、差別化することもできません」と話しました。
自分が欲しいと思ったものを作る

バルミューダは現代表取締役の寺尾玄氏が2003年に1人で始めた会社です。
2010年に高性能扇風機「Green Fan」を発表し、一躍その名を知られるようになりました。その後、空気清浄機やヒーターなどの空調家電を手がけ、2015年にトースターを発売。以降はキッチン家電も手がけています。
これら全ての製品は、寺尾社長のアイディアから始まっています。

バルミューダの発表会は他社のものとは全く違います。
例えばトースターの発表会は「みなさんは素晴らしく美味しいパンを食べたことはありますか?わたしは一口食べて、涙が出るほど感動したパンがあります。それは17歳の時、放浪の旅で訪れたスペインの田舎町で食べたパンです」
扇風機を作るきっかけは「小学校三年生の夏休みに感じた気持ちのいい風を再現したい」、子供用のライトは「子供と一緒に絵を書いていたら手元に影ができたから」。
市場調査をしないバルミューダでは、製品のアイディアは寺尾社長の頭の中から生まれます。
モノではなく体験を売る

寺尾社長は日本の家電メーカーが失速した理由をこう語ります。
「日本中の多くの家庭が、すでに家電を持っています。持っている人に持っているものを売るのは、ビジネスとして厳しい。
製品は普及すればするほど安くなって、利益を生み出すのが難しくなります。私たちバルミューダは現代のメーカーとして、家電ではなくて、家電を使って得ることのできるより良い体験を売ろうとしています」
この世で最大の力はクリエイティビティ

高額な価格設定にも関わらず、独自のものづくりをしたことで多くの支持を集めたバルミューダ。そのコンセプトやデザインに多くの模倣品ができたそうです。しかし、寺尾氏は「模倣されたことが嬉しい」と話します。
「真似をする企業は全く怖くない、私たちが考えるこの世で最大の力はクリエイティビティであって、模倣する企業にはその力はありません」
ミュージシャンだった経験が生きている

寺尾社長は「バルミューダは、ブランドビジネス」だと断言します。
「ブランドとは、私たちのビジネスで最も重要なものです。ブランド自体を作るということはできません。1つ1つの商品こそがブランド価値を上げる唯一の手段であり、つまりは信頼なのかなと思います。
受け答えの仕方、歩き方、目つき、あらゆることが信頼を失うかどうかに関係している。ブランドとは信頼のことであり、それは私たちの仕事で最も重要なことです」
日本の10倍以上売れている

バルミューダの空気清浄機は韓国で非常に好調で、その出荷数は日本の約10倍にもなります。
韓国では、結婚を決めたカップルが1つのメーカーの家電製品をまとめて買うという風習があります。LGやサムスンが一般的ですが、その選択肢の1つとしてバルミューダが挙げられることも珍しくないといいます。
「韓国の人の嗜好性にバルミューダのデザインがマッチしたのだと思います。韓国は陶芸発祥の国でもあり、モノの形の美しさに対して強い興味、行動力を持った人々だと感じます」(寺尾社長)
もう一度1850倍の成長を目指す

バルミューダは創業15年を迎え、売り上げは100億円を超えました。
「創業時から1850倍の売り上げを達成したことになる。この先15年で、もう一度1850倍の成長を遂げることができれば、バルミューダは日本有数の企業になります。それがわたしの夢です」
従来の「家電メーカー」とは全く違う発想、経営で快進撃を続けるバルミューダ。今後は、海外事業に更に注力し、海外の売り上げ比率が全体の6〜7割を占める経営を目指します。