マンガで「島さん」といえば、最近はすっかり島耕作ではなくて、コンビニの「島さん」だ。

川野ようぶんどう著「島さん」は深夜のコンビニでバイトするおじいさん店員の話。
作品ページで「ちょっと頼りないけど、ちょっと頼りになる、ちょっとわけありのおじいさん」と説明されているとおり、とても魅力的な主人公だ。
コンビニにはいろんなお客さんがくる。未成年なのにタバコを買いに来る若者もいれば、万引した子どもを迎えにくる親も。
そんなときに島さんの取る態度は一貫している。その筋が通ったブレない感じが、非常にスカッとした読後感を生む。
この島さんを知ったきっかけはスマホ向けサイトに出てくるマンガの広告だった。
タバコを買いに来てレジで凄む若者に、島さんが「年齢が確認できなければ、タバコの販売はできません」ときっぱり言い放つシーンだった。
きっと「スカッとしたい人」に響くのだろう。何度も何度も表示されるのでついに買ってみた。
実際に読んでみると、島さんは想像以上の人物だった。いろいろ問題を抱えた同僚のコンビニ店員にも優しい。あらゆる揉め事を飲み込む度量の大きさがある。この人はいったい何者なのかーー。
気になってくるタイミングで、毎回チラッとだけ描かれる島さんの秘密。どうやら大きな隠し事があるようだが、それが明かされるのはまだ先になりそうだ。
コンビニを軸にした現代的な人間模様を描きながら、島さんの謎を解き明かすストーリーは名作の予感がする。めっちゃ面白いので、“あの広告”を見た人は買って損なしだと思う。
ネットで無料で読めることを、あとで知りました。