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腹部に鈍痛、80mlの血が流れる……男性も体験できる「生理マシーン」とは

腰の部分にまわして装着するシルバーボティ

2010年にアーティストのSputniko!氏が考案した「生理マシーン」は男性でも生理を体験できる器具だ。

ボディはシルバーで、腰の部分にまわして装着する。腹部側には鈍い痛みを伝える電極がついており、後部のタンクからは女性の5日間の平均月経量である80mlの血が流れるように設計されている。

利用シーンは動画作品「生理マシーン、タカシの場合。」で見てみよう。

YouTubeでこの動画を見る

Sputniko! - Menstruation Machine, Takashi's Take / Via youtube.com

タカシは女の子になりたい男子。女の子の気持ちをもっと知りたいという想いが募り、彼は女装するだけでは満足できず、女性特有の現象である「生理」も体験しようと「生理マシーン」を開発するというストーリー。

自ら生理マシーンを装着し女友達と夜の街へ出かけていく。

楽しくプリクラを撮るタカシ、はしゃぎながら歩くタカシ。しかし突然ーー。

道の端でうずくまる。トイレに駆け込むと、生理マシーンがキリキリと動き出す。腹部は鈍く痛み、タンクからはポタポタと液体が流れていく。

女性は毎月つらいけど、男性はよくわかっていないもの。生理。

男性だって知識としては子どものころ学校の性教育の時間で習ったはずだが、よく覚えていないという人も多いはず。

ちなみにBuzzFeedの男性陣はこの程度の理解度だった(生理の期間を問われたときの回答)。

男性はどうやっても体験できないことだが、動画を見ることでよりリアルに伝わってくる気がした。生理マシーンを装着しなくても、タカシを通じて訴えかけてくるものがある。

Sputniko!氏は作品を制作した背景についてこう語る。

「もう2010年なのに、なぜまだ人間に生理という現象が起きるのだろう? そんなシンプルな疑問から、この作品のリサーチが始まりました」

人間の負担をなくすようなテクノロジーでも、結局は社会的・文化的背景に大きく左右されてしまうと、Sputniko!氏は綴っている

1960年代に避妊用ピルが登場した際、ピルを毎日飲み続ける事で生理を完全に無くしてしまう方法が当時あったにも関わらず、「生理を無くしてしまうと心理的不安で女性がピルを使用しないのでは?」という懸念から、ピルは「3週間飲用し1週間休む」という使用法で販売されました。

それから50年の歳月が経ち、テクノロジーの発展は宇宙旅行、遺伝子組み換え食品やインターネットなど多くの変化を私達の生活にもたらしましたが、女性は今も血を流しています。

日本では、避妊用ピルの承認が先進国の中で最も遅く、認可に9年以上かかりました。その一方、バイアグラが登場すると半年でスピード承認され、その3ヶ月後の99年6月にやっとピルが承認されています。

では人間にとって生理は、生物的、文化的、歴史的に、どういう意味を持っているのか。

議論のきっかけとなるべく制作された「生理マシーン、タカシの場合。」という動画は、配信直後から1週間で10万人以上に視聴された。現在は累計約58万再生。

生理をいまいち実感できないという男性は(ほとんどそうだ)、ぜひ動画を見てみてはどうだろう。

なお、生理マシーンの再展示は現在予定されていない。


BuzzFeedでは4月17日から23日までの1週間を「性教育週間」(Sex Education Week)として、性にまつわる様々な記事を配信します。誰にとっても他人事ではないけれど、どこか話しづらい「性」。私たちの記事が対話のきっかけになることを願っています。

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