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東京が暑すぎるので、海辺の町・徳島県美波町でサテライトオフィスしてきた。

地方にもオフィスがあるって憧れる

「おれ、どこか遠いところで、サテライトオフィスしたい」

イメージとしてはざっくりこんな感じ。
Nadezhda1906 / Getty Images

イメージとしてはざっくりこんな感じ。

通勤ラッシュのない、都心から遠く離れた町で、朝日とともに起きて、海辺とかでリモートで仕事をして、夕方くらいから遊びに行く。

夜は酒飲んで早々に寝る。

そんな生活がしてみたい。

6月にオープンした「SMOUT」はそんな人たちと、そんな人たち?に来てほしい町をつなぐサービス。

どういうことかというと、自分の興味のあることや得意なことをあらかじめ登録しておくと、どこかの地域から「うちくる?」ってスカウトが届く仕組み。
カヤックLIVING

どういうことかというと、自分の興味のあることや得意なことをあらかじめ登録しておくと、どこかの地域から「うちくる?」ってスカウトが届く仕組み。

運営しているのはカヤックLIVINGという会社。あの面白法人カヤックの子会社が地域活性化に関する事業を手掛けているのだ。

このサイトを利用して、ある町とマッチングさせてもらった。

それは徳島県美波町。

徳島駅から約1時間40分、日和佐という駅に降り立った。
narumi / BuzzFeed

徳島駅から約1時間40分、日和佐という駅に降り立った。

これは単線というやつか。山のほうまで真っ直ぐ続く線路。いい眺め。

narumi / BuzzFeed

ぱっと見、山に囲まれたところに見えるじゃないですか?

でも、ここは海亀がやってくる町。

海がすぐ近くにあって、そこの砂浜に海亀が毎年夏に来るのだという。
narumi / BuzzFeed

海がすぐ近くにあって、そこの砂浜に海亀が毎年夏に来るのだという。

そんなこともあって美波町を中心とした日和佐地域は、2009年から2010年にかけて放送された連続テレビ小説「ウェルかめ」の舞台になっている。

だから駅を出て大通りを歩くと、

narumi / BuzzFeed

すぐに海。

すぐ近くだった。
narumi / BuzzFeed

すぐ近くだった。

今回泊まるのは、この「戎邸」というサテライトオフィス体験施設。

地元企業「あわえ」が運営する宿泊施設だ。同社の主な事業は美波町にサテライトオフィス開設を検討する会社のサポートである。
narumi / BuzzFeed

地元企業「あわえ」が運営する宿泊施設だ。同社の主な事業は美波町にサテライトオフィス開設を検討する会社のサポートである。

サテライトオフィス体験という名目ではあるが、一般の旅行者の人たちも利用できるという。

開放的な大きな窓がいい。

narumi / BuzzFeed

中は土間の部分が改築され、オフィススペースになっている。

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大きなモニターにウェブカメラもあって遠隔での会議もできるようになっている。

縁側から陽の光が入ってすごく気持ちがいい。

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部屋に入ったところにもPCデスクがある。合計8人くらいはここで仕事できそう。

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普通の古い一軒家に見えるが、きれいに手入れされている。仕事がはかどりそう。

キッチンはこんな感じ。きれい。

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調理器具や食器もちゃんと揃っている。

そして外を散歩するとすぐに海亀がくる砂浜。

なんて素晴らしい環境なんだ。
narumi / BuzzFeed

なんて素晴らしい環境なんだ。

そもそもなんで美波町がサテライトオフィスを誘致しているのだろうか。

「何かいいことあるの?」

町役場の担当者に聞いてみたところ、もちろんそこにはいくつかの理由があった。

(町が運営するコワーキングスペースからの眺め)
narumi / BuzzFeed

(町が運営するコワーキングスペースからの眺め)

まず前提として、こんなに素晴らしい環境の美波町も、南海トラフ地震が30年以内に発生する確率は70〜80%、高齢者率は45.2%、人口に占める65歳以上の人は約半数。

さらに空き家率は17.88%と全国で6位。教育機関はどんどん減少するなど、実はマイナス要素がめちゃくちゃ多い。

narumi / BuzzFeed

そこで打ち出したのが、この「全国でも先進的なマイナス要素」を売りに企業を呼び、一緒に解決策を考えてもらおうという戦略。

キャッチフレーズは「地域課題解決型サービスが生まれ育つ町」だ。

(コワーキングスペースの中にはイベントスペースも)
narumi / BuzzFeed

(コワーキングスペースの中にはイベントスペースも)

少子高齢化が進む美波町では社会課題が山積し、そのいずれもが緊急性と専門性が高い。この先、多くの自治体がその課題に直面するだろう。

そんなある意味で「進んでる」地域でビジネスを検討することは、未来の事業を考える企業にとっても、町にとっても、きっとプラスになるのではないかというのが、「地域課題解決型サービスが生まれ育つ町」の趣旨だ。

美波町を実証実験の場とすることで、社会的ニーズにあったサービスの開発につなげている企業も出てきたそうだ。

(町内には海亀に触れ合う場所もある、後述)
narumi / BuzzFeed

(町内には海亀に触れ合う場所もある、後述)

美波町役場で企業誘致を担当する鍜治淳也さんは「地域課題をともに迎え撃つ企業、挑戦を恐れない企業を応援したい」と話す。

そんな町ならではの地域課題解決案を全国へPRし、すでに17社の誘致に成功。サテライトオフィス誘致の成功事例として全国各地から視察依頼が止まらないという。

ここは町と組んでサテライトオフィス誘致事業を展開する「あわえ」という会社のオフィス。

明治時代に建てられた「初音湯」という銭湯をリノベーションしたものだ。
narumi / BuzzFeed

明治時代に建てられた「初音湯」という銭湯をリノベーションしたものだ。

正面から見ると、これは銭湯だ!

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年季が入っていて、貫禄がすごい。

この初音湯は地域の人々が交流できるコミュニティスペースにもなっているという。

湯船に机を設置し、そこに掘りごたつのように足を入れて座れるようになっているなど、ところどころに銭湯の趣が残っている。

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当時から使用してた木製のロッカーもそのまま活用している。

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この体重計もいい…。

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あわえさんのオフィスにお邪魔したり、戎邸でじっくり席についたり、県と町が共同で運営する海辺のコワーキングスペースに行ったり、町のなかをあちこち移動しながら仕事をしました。

特にここ戎邸は開発合宿などにもぴったりだと思います。

narumi / BuzzFeed

海亀がくる町で合宿してみたい方がいましたら、戎邸はこちらから予約できます。

17時くらいには仕事を終える。

着替えて海沿いの道をジョギングした。とても気持ちがいい。
narumi / BuzzFeed

着替えて海沿いの道をジョギングした。とても気持ちがいい。

1時間くらい走ると町中をぐるっと回れてしまうくらいコンパクト。

途中、「うみがめ博物館カレッタ」という施設に寄ると、海亀が泳いでいた。

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タイミングがあえば餌もあげられるらしい。

夜ご飯は地元の和食屋「ひわさ屋 」に行った。

ここは徳島の地鶏、阿波尾鶏がおいしいお店。
narumi / BuzzFeed

ここは徳島の地鶏、阿波尾鶏がおいしいお店。

ももたたき、鶏ざく(土佐酢の酢の物)、ささみ塩焼きなどをいただいた。
narumi / BuzzFeed

ももたたき、鶏ざく(土佐酢の酢の物)、ささみ塩焼きなどをいただいた。

阿波尾鶏はビールによく合う。すごく美味しかった。

毎日通ってしまいそう。

翌日、ここは道の駅「日和佐」。

JRの駅に隣接していて、かなり大きな道の駅
narumi / BuzzFeed

JRの駅に隣接していて、かなり大きな道の駅

この道の駅が素晴らしいのは、足湯があるところ。

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テーブルを囲んで座れるようになっている。

ここでも仕事がはかどってしまう。

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ただし真夏なので足湯につかっているとむちゃくちゃ暑いことに気づいた。汗がだらだら出てくる。

美波町をはじめとして徳島県は特にIT企業のサテライトオフィス誘致に実績がある。

その理由は先に述べた課題先進地域であることのほかに、ブロードバンド普及率の高さ(89.8%)がある。

テレビ放送がアナログから地上デジタルに移行した際に、徳島県で視聴困難区域が生まれた。

そこで全県に光ネットワークをつなげてテレビを視聴できるようにしたことで、都内のIT系企業を呼び込むアイデアも出てきた。徳島県は美波町のほかに神山町なども企業誘致に実績がある。

さらに美波町においては町内のすべての家に戸別受信機を設置。一軒一軒に情報を送れるインフラが整っている。町内、近隣自治体は無料で電話でき、災害時の緊急放送も直接届く。

例えばSKEEDという無線中継機の技術を持っている会社は、自社サービスを検証する場所として美波町を選んだ。

ある実験で、美波町の町民にセンサーを配り、災害時の位置情報を把握するシステムを実証した。

また今後、無線中継器と水位を計測するセンサーを結ぶシステム構築も含め、町全体で使えるスマートシティのプラットフォームとして展開していく。

「半x、半IT」で採用に成功した会社。

narumi / BuzzFeed

社長が美波町出身であるサイファー・テックというIT企業は、社員のライフワークバランスを実現するために、「半X、半IT」を掲げて美波町に一部サテライトオフィスとして戻ってきた。

ある男性社員は「半サーフィン・半IT」の暮らしをしている。もともとサーフィンが好きだったことから、美波町にオフィスを構えるサイファー・テックに興味を持った。

都内のIT企業に勤務していた頃は毎日往復2〜3時間かけて満員電車で通勤していたが、美波町ではその時間にサーフィンを楽しんでいるという。

「半猟、半IT」を実践する女性社員もいる。徳島市内のIT企業に勤めていた女性は、父親が猟師だったことから趣味で狩猟をしていた。

いまは出社前に狩猟犬の散歩をする。近所の人から「猪が獲れた」と連絡があれば、猪をさばいてから仕事を始めることもあるのだとか。

2012年に美波町にサテライトオフィスを開設したサイファー・テックは、その珍しいワークスタイルが話題となり、結果的に社員数が3倍近くに増えたという。

お昼は隣の山河内駅近くにある「オドリ キッチン」というレストラン。

ここは阿波尾鶏と地元野菜の料理が食べられる人気のレストラン。
narumi / BuzzFeed

ここは阿波尾鶏と地元野菜の料理が食べられる人気のレストラン。

「チキン南蛮丼」はもちろん阿波尾鶏。サラダの野菜もドレッシングも地元産だ。

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むちゃくちゃ美味いわ!

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このあたりでしか食べられない阿波尾鶏の卵をつかったプリンも好評。美波町に来たら、ぜひ食べに行ってみてほしい。

この古そうな、大きな一軒家。

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実はここもIT企業なんです。

大阪に拠点を置くクラウドシステム開発会社の鈴木商店。2013年に美波町にサテライトオフィスを開設した。その名も「美雲屋」。
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大阪に拠点を置くクラウドシステム開発会社の鈴木商店。2013年に美波町にサテライトオフィスを開設した。その名も「美雲屋」。

美波町で、かつクラウドなので美雲なのだという。

クラウドコンピューティング関連のシステムを開発する会社なので、自社オフィスも徹底的にクラウド化し、本社から離れた拠点で仕事ができることを自ら実証している。

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HTMLが彫り込まれた仕切りやロゴのふすま。IT企業には見えないが、その奥にはいかにもITっぽい光景があって不思議な感覚。

このオフィスには顧客のウェブサイトの運用を行う2〜3人のスタッフが常駐しているという。

玄関にはやっぱりサーフボードがある。目の前の海でサーフィンを楽しんでいるそうだ。

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本社からはよく金曜日にスタッフがやってきて、開発合宿やMTGを行っているという。

でもみんなが一番楽しみにしているのは裏庭でやるバーベキュー。

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絶対楽しいねこれ。最高の環境ですね。

仕事後にはすぐ釣りができる。

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あわえの社員の皆さんは夕方からみんなで釣り。サビキ釣りでアジがたくさん釣れた。

そして釣ったそばから猫が食べていってしまう。

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サテライトオフィス、本当にいいなあ。

自分の仕事もそこそこ進みました。

(町内には日和佐城というお城もある)
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(町内には日和佐城というお城もある)

今回は2泊3日であちこち取材しながらでしたが、東京にいるときよりもじっくり腰を据えて仕事ができました。

あの地獄のような通勤がないだけでもだいぶ違いますね。夜の町も静かで集中できます。

あと自慢のインフラはさすがで、ネット回線はとても速く感じました。ウェブ会議も遅延なくできましたし、リモートワークするのに東京との距離はまったく支障ありません。

そうそう、美波町がいま面白い理由はもう1つ。

クランクインしました!薬王寺門前、桜町通りのシーンから撮影スタートしました。#美波町 #日和佐 #由岐 #波乗りオフィスへようこそ #関口知宏 #薬王寺 #門前町 https://t.co/gTZbgeasCZ

町を舞台にした映画「波乗りオフィスへようこそ」が2019年春に公開予定なのです。

10月に秋祭りの撮影をして、映画の完成は11月中旬。

先に遊びに行っておくと、映画を観たときに「おお〜ここ行った」みたいな感動があるかもしれません。

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みなさんも気分転換にリモートワーク、サテライトオフィス体験いかがでしょうか。美波町はとてもおすすめです。

🍉_🏕️_🌴_🍧_🌊_🍉_🏕️_🌴_🍧

なにが「遊び」なのかは、人それぞれ。ゲームをしたり、写真を撮ったり、どこかへ出かけたり。つまらないと感じることでも、ある人の視点を通すと、楽しくなって、それが「遊び」に変化することもある。「遊び」には、限界がないのです。BuzzFeed Japanは、人それぞれの「遊び」を紹介し、平成最後の夏を思いきり楽しむ!

なお今回の取材にあたっては、SMOUTを運営するカヤックLIVINGがBuzzFeed記者の交通費の半額を負担しています。