22%が少額取引を高頻度で利用している
調査によれば、利益が100円以下となる少額取引を3日に1回以上の頻度で行っている人の割合は22.0%。男女比では男性36.7%に対し、女性63.3%。年齢層では20代と30代が合計59.4%を占めた。


今回の調査について「おひとりさま」や「草食系」などの新語を生み出した世代・トレンド評論家の牛窪恵氏は、「単なるお金儲けとは違う“別の価値”を実感している人が多い」と話す。
少額取引の利用者に、メルカリを利用する目的を聞くと、1位「不用品を処分するため」(73.6%)、2位「捨てることがもったいないため」(62.3%)、3位「お金を得るため」(59.2%)となることがわかった。また、これを高額取引利用者を比べると興味深い意識差が見えてくる。少額取引利用者は高額取引利用者よりも「捨てることがもったいない」が15.7ポイント、「誰かの役に立つ」が11.3ポイント、「節約、お得に買い物をする」が9.1ポイント高い。

少額取引利用者はサステナビリティやSDGsなどの環境意識が比較的高い消費者と言えそうだ。
「メルカリハイ」という心理状態
メルカリは手軽に出品できるのが特徴のフリマアプリだが、とはいえ最低限の手間はかかる。商品の写真を撮って、説明文を書き、購入希望者からの質問がきたら回答して、売れたら梱包して発送する。その利益が100円以下となると、割に合わないと考える人もいそうだが、それでも約4人に1人が高頻度で少額取引を利用しているのが実態だ。
これを牛窪氏は「メルカリハイ」と呼ぶべき心理状況が発生していると分析する。メルカリに出品した商品が売れると、「誰かに価値を認めてもらえた」という感情が生まれ、また出品したくなり、普段から「他にも何か売れるものはないか」と探しながら生活するようになるという。メルカリで売れると、SNSよりも承認欲求が満たされる
回答者全体でこの傾向は見られた。自身の承認欲求が満たされる瞬間について聞くと、「フリマアプリで出品した商品が売れること」が、「SNS投稿にコメントが入ること」を14.6ポイント上回った。

「バブルの時代は給料がどんどん上がって、それが承認欲求だった。いまは違う。若い人は『君がいてよかった』『助けられた』と、人から必要とされることに価値を感じることが増えた。それがSNSのコメントよりも気持ちいい」(牛窪氏)
SNSは自分の投稿もある程度“盛ってる”し、つながりのある友人からのいいねやコメントはもはや本心なのかわからない。一方でメルカリは知らない人と取引し、本当にほしいものではないと買ってくれない。そこに承認欲求が満たされるポイントがあると牛窪氏は分析した。
調査は2019年11月14日〜11月15日の期間に行われた。全国12歳〜59歳の男女1030人が対象で、その内訳は少額取引利用者が515人、高額取引利用者が515人。調査方法はインターネット調査。