批判浴びた「くさや vs ファブリーズ」動画が復活へ 生産者側「くさやにとっても有益」

    そもそもなぜ放送中止になったのか。

    匂いがキツイ食べ物の代表「くさや」と、消臭芳香剤「ファブリーズ」の対決の模様を描く動画が4月24日に公開された。P&Gがファブリーズを使って地方の魅力を再発見していく旅動画「千鳥が行く!ルート931の旅。」のなかで、八丈島を舞台にくさやの魅力をPRする。

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    P&G / Via youtube.com

    千鳥が行く!ルート931の旅。in八丈島・くさや

    もともと「くさや vs ファブリーズ」の対決をテーマとしたテレビCMは2016年12月に一時期放送されていたが、そのときは視聴者からの批判を浴びて中止となっていた。

    当時の心境について八丈島でくさやの生産に従事する水産加工業協同組合長・浅沼拓仁氏はBuzzFeedの取材に対し、こう話す。

    「こちらから中止にしてくださいという話はしていない。実際は八丈島の議員の一部の方が『食べ物への冒涜だ』として抗議をした。新聞にも載ってしまった。僕らとしては少しでもくさやの名前が表に出たほうがいいとOKはしていた。すべて合意のもとだった」

    「P&Gさんから放送中止の連絡を受けたときも、『できれば流してほしいな』というのが本音だった。まるで僕らが圧力かけたように見えてしまう。CMで使っていたのは新島のくさやだったが、クレームを入れたのは八丈島の人が多かったようだ」

    生産者側は「匂い」もくさやの魅力であるとしており、CMの内容については事前に了承していた。ファブリーズでくさやの匂いを消すことがわかれば家庭でくさやを食べやすくなるし、CMによってくさや自体の認知も上がる。完全にチャンスと捉えていたが、残念ながら放送中止となってしまったようだ。

    抗議をしたとされる八丈島の議員、岩崎由美氏にも話を聞いた。

    「反対というか、『これはだめだよね』『ないよね』という声があったので、私としても同意してP&Gのお客様センターに問い合わせた。その結果、CMが放送中止となり、日刊ゲンダイさんが記事を書いて話が広がった」

    CMの放送が中止に追い込まれたことで、余計にくさやの匂いを扱うことが世間から敬遠されるのではないかという懸念もあったと浅沼氏は言う。「ニオイをきっかけに取り上げていただくことは、くさやにとっても有益なPR機会だった」と悔やんだ。

    P&Gもそんな背景を理解し、再び八丈島水産加工業共同組合と手を組んだ。動画ではくさやをファブリーズの好敵手として取り上げる。

    今回は岩崎議員のところにも話が通っているそうだ。

    「P&Gの担当者と話したが、直接的にはノータッチ。今回のことになったみたいなので、Win-Winの関係で作ってくださったらなと思う。水産加工業も協力をして作られているそうで楽しみにしている」

    水産加工業協同組合側も同じく期待を込める。

    「くさやへの関心や認知が高まり、これまで以上にくさいものの代表格として日本中から愛される存在になることを目指していきます」