これは新しい家族の形かーー。「万引き家族」 私はこう観た

    あれは、最高に美味かった。

    先月、映画館で「万引き家族」を観てきた。

    家族とは、絆とは、希望とは…。

    いろいろな問いを投げ掛けられる作品だったが、映画館を出て真っ先に思ったのはこれだった。

    「あのカレーうどんにコロッケ乗せたやつ、めちゃくちゃ美味そう」

    とある重要なシーンで物語の中心的な役割を果たす人物たちが、カップのカレーうどんに、買ってきたコロッケを乗せて食べていたのだ。

    この食べ方、絶対に美味いに決まってる。

    というわけで実際どれだけ美味いかやってみようと思う。

    うめえw

    カレーうどんのスープに、静かに降り立ったコロッケ。

    まるでそこが自分の居場所であることをわかっていたかのように、とても自然に。

    そう感じさせる何かが、カレーうどんコロッケ乗せには確かにあった。

    コロッケの衣がカレーうどんのスープに溶け出していき、油が浮いてきている。

    だんだんとひとつになっていく。

    カレー味を身にまとい、コロッケが別の食いものに進化した。

    あ!まさか!?と思って、慌てて麺を口に運ぶ。

    コロッケの衣の内面にまで染み渡り、広がっていくカレーうどんのスープ。

    もはやコロッケの具もカレー味。

    立派なカレーコロッケになっている。

    ここでコロッケに付いてきたソースをちょっと垂らしてみることにする。

    くぅ〜〜!うめえ…!

    万引き家族を観た瞬間に感じた、「あのカレーうどんにコロッケ乗せたやつ、めちゃくちゃ美味そう」という直感はやはり間違っていなかった。

    あたたかくて、じゅわ〜として、ばらばらだったものがひとつになって…。

    ああ、そういうことか。

    これはまぎれもなく、家族そのものの味なんだ。