【読書感想文の書き方】プロ編集者が構成例から書き出しのコツまで全部伝授

    中学生や高校生の夏休みの宿題の定番といえば読書感想文。コピペしたくなる気持ちをグッと抑え、簡単に書ける本の選び方から書き出し、構成例など課題図書にも対応した読書感想文の書き方のコツをすべて解説します。

    夏休みの宿題でみんな苦労するのが読書感想文ではないでしょうか。

    「感想文」という課題にもかかわらず、 率直に本の感想を書いただけではどうも上手くいかないのです。

    そこで筆者が個人的に実践していた書き方のコツを教えたいと思います。

    1. 本の選び方:ページ数が少ない「短編小説」が狙い目

    読書感想文は本を選ぶところがスタートです。世の中にたくさん本はありますが、そのなかでも感想文を書きやすい本と、書きにくい本があるのです。

    たとえば最もわかりやすいのが「ページ数」。分厚い本は読むだけで数日間かかりますし、最初のほうに書いてあった内容までしっかり覚えていないといけないので、当然難易度は高いです。

    そして、本の種類としては小説がおすすめです。動物図鑑や電車の時刻表のようにデータがメインのものだと、後述する「感想」が書きづらいためです。

    2. 小学生は「10分で読めるお話」シリーズがおすすめ。

    学研

    1年生から6年生向けまで選び抜かれた名作短編だけが収録されています。

    本嫌いだった小学生から「本が好きになった」「1冊全部はじめて読めた」などの感想が多数寄せられています。

    3. 中高生は芥川龍之介や志賀直哉がおすすめ。

    時事通信

    芥川龍之介の作品なら15分あれば読めるし、志賀直哉も短編が有名な作家。代表的な短編作品には以下のようなものがあります。

    芥川龍之介なら「羅生門」「地獄変」「蜘蛛の糸」、志賀直哉なら「小僧の神様」「清兵衛と瓢箪」あたりが書きやすいと思います。

    しかも芥川龍之介の作品はネットで無料で公開されています。志賀直哉ももうすぐ無料になります。

    こうした短編が優れているのは、短さゆえに作品の主題(テーマ)がわかりやすいところ。

    長編の場合は全編にわたってそのテーマがうっすらと描かれているのに対し、短編はストレートに訴えかけてきます。

    たとえば芥川龍之介の「地獄変」(紙の本で29ページ)や「蜘蛛の糸」(なんと8ページ)はストーリー=テーマそのものです。

    前者は屏風絵を完成させるために自らの娘を焼く絵師、後者は天国から垂らされた一筋の糸にすがり他人を蹴落とす罪人。

    どちらも主人公の存在と行動そのものにツッコミどころがありすぎて、つまりは論じやすいのです。

    4. ただの感想ではなく、「自分が主人公だったら…」を書く

    議論の余地があるのは読書感想文にとってチャンス。

    主人公の行動を自分に置き換えてみて、「自分だったらどうするか」を考えてみましょう。

    読書感想文における感想とは、「おもしろかった」「怖かった」という直球ではなく、「自分だったら、どうしたこうした」と自らの立場に置き換えたコメントです。

    自分だったら蜘蛛の糸にぶらさがったときに他の人を蹴落とすだろうか。

    「そんなことはしない!」「いや同じことをしてしまうかも?」

    読書感想文には正解がないので、どちらの立場でもいいです。

    なぜ自分はそうするのか理由とともに書いていきましょう。

    5. 「読書感想文 書き方ドリル」は激推し。

    ディスカヴァー・トゥエンティワン / Via amazon.co.jp

    さて、小学生にはもちろん、読んだ本を記録しておきたい大人にもぴったりなのが「読書感想文 書き方ドリル」です。

    この本は小学校の課題図書に対応した読書感想文の指南書で、「7つの質問」に答えていくだけで簡単に読書感想文が書けてしまうというのが特徴。

    Q1. あらすじ(どういう話だった?)

    Q2. 注目したところ(注目した人物や発言は?)

    Q3. 比べてみた本(他の昔話や童話と比べると?)

    Q4. テーマ(この本のテーマは何だと思う?)

    Q5. 問題定義(どんな問題提議ができる?)

    Q6. 比較または体験(実体験と比べてみよう)

    Q7. 意見(自分ならどんな答えを出す?)

    これらの事柄に対して自分の言葉で答えていき、最後に全部くっつけるだけで、数百文字の感想文が完成するというのです。

    6. さっそく試してみると、これは全年齢で使える。

    narumi / BuzzFeed

    簡単な質問に答えて、この空欄を埋めていくだけ。

    narumi / BuzzFeed

    試しに誰もが知っている「桃太郎」で、このドリルにあてはめて書いてみました。

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    おじいさんとおばあさんのもとに、桃から生まれた桃太郎という赤ん坊がやってきました。桃太郎はすくすくと育つと鬼ヶ島に鬼退治に出かけました。途中で出会った犬、猿、キジにきび団子を与えて仲間にし、見事に鬼を退治。鬼から奪った宝物を持ち帰り、再びおじいさんとおばあさんと3人で幸せに暮らしたというお話です。(Q1 あらすじ)

    わたしは、この本の最後で桃太郎が鬼の宝物を奪ったところが印象に残りました。(Q2 注目したところ)

    同じく昔話の「一寸法師」でも鬼を退治するシーンで、このような「私刑」あるいは「自力救済」が行われており、その是非について考えさせられます。(Q3 比べてみた本 Q4 テーマ)

    たとえ鬼が悪さをしていたとしても、それを桃太郎や一寸法師などの個人が一方的に断罪する世の中は正しいと言えるのでしょうか。(Q5 問題定義)

    たとえば、自分の家の敷地に自転車を放置されたAさんが、その自転車に鍵をかけ、持ち主から迷惑料を徴収したとします。こうしたことが当たり前になると世の中はすべて実力行使で動くようになってしまい、社会秩序が保てなくなる可能性があります。(Q6 比較または体験)

    この本を読んで、桃太郎をはじめとした“力のある者たち”が無闇にその実力を行使するのではなく、まずは事実確認と調査をするにとどめ、強制執行をするかどうかは司法機関の判断に委ねるべきなのではと思いました。(Q7 意見)

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    この通り、質問に答えるだけで600文字程度の感想文がさらっと書けてしまいます。

    あとは宿題で決められた文字数に合わせて、それぞれの回答の長さを調整するだけです。

    まとめ:短編小説を選び、主人公の行動に「自分だったらどうするか」を重ねる。

    まとめるとこういうことです。

    ・課題図書は読書時間の節約とテーマのわかりやすさから短編小説を選ぶ

    ・ただの感想ではなく、主人公を自分に置き換えて「私だったらこうする」を書く

    ・その点、芥川龍之介や志賀直哉の作品はかなり短く、登場人物のキャラが濃いので書きやすい

    ・「7つの質問」に自分の知ってる昔話を当てはめてみる