人気マンガ『情熱大陸への執拗な情熱』を連載中で、いま最も情熱大陸に出たがっている漫画家・宮川サトシさん(@bitchhime)におすすめエピソードを聞いた。

情熱大陸は各話ごとに不思議な効用があるという。集中力を上げたいとき、頑張りたいときなど、ここぞという場面では誰の回を見るべきなのか。宮川さんのコメントともに振り返る。
綾野剛(役者)#759
主な利用シーン:童心に返りたいとき
綾野剛さんが故郷・岐阜に帰省して、幼い頃に遊んでいた裏山に行くシーンは必見。
まるで子供の頃の自分に再会しているかのような空気感の醸し方は、えげつないほどこちらの胸に刺さります。
刺さると言えば、幼少期に綾野さんが遊びで大木に刺した釘がまだ残っていたというあのシーンは、情熱大陸史上最大の奇跡。
山口晃(画家)#853
主な利用シーン:仕事に集中したいとき
緻密で面白奇妙な日本画を描く山口晃さんは、おそらく情熱のカメラが入ったことでかなり集中力を切らしていたんだと思います。
新作制作のために旅館にこもっても、照明の光が気になったり、インタビュアーの余計な質問にせっかく固まってきたイメージをぺしゃんこにされたりと散々。
でもこれを見ると僕は安心できるのです、自分にはそんな情熱のスタッフは密着していないのだから、山口さんとは違ってバリバリに集中できるはず!と。
中園ミホ(脚本家) #874
主な利用シーン:自分の天然さが情けないと落ち込んでいるとき
冒頭からいきなり中園さんが現場の通路で迷子になるシーン、これがこの回が傑作であることを決定づけています。
あのヒットメーカーも方向音痴なんだ…だったらレンタルDVDを返し忘れて延滞金取られたことなんて別に大したことじゃないよな!と明るい気持ちにさせてくれます。
きゃりーぱみゅぱみゅ(アーティスト)#739
主な利用シーン:(おっさんが)頑張りたいとき
この回を見るまで僕はきゃりーさんのことは〝おっさんクリエイター達の商売道具〟だと思っていたのですが、実際は全然違いました。
彼女自身の発想や閃きで物が創られていることを知った時、「こんな若い子がやってんだからおっさんの自分はもっと頑張らなきゃ!」と。
これまでにないほど奮起したことを覚えています。オススメです。
小山薫堂(放送作家)#815
主な利用シーン:小腹が空いたとき
おすすめの大陸飯(テレビ的ではないあえての地味な飯)シーンはいろいろありますが、熊野古道の休憩所で休暇中の小山薫堂さんが食べる〝宿で作ってもらった〟おにぎりとたくあんがやたらと美味しそうなのでぜひ見てください。
食のセンスも仕事にしている人間が、なんでもないおにぎりを「今年食べた物の中で一番美味い」なんて言ってしまう…その“大陸感”に憧れます。
大陸に憧れる男・宮川さんは、刺激的なタイトルのエッセイ漫画『母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。』が話題となった。現在はウェブ連載『宇宙戦艦ティラミス』の原作も手掛ける。