本作は最近ブームになっている「ソロキャンプ」をテーマとした漫画。ただ、タイトルにある通り“ふたり”というところがポイントだ。

主人公は暇さえあればソロキャンプに出かける男、樹乃倉 厳(げん)。34歳、立派なおっさんである。
1人で出かけて、1人でテントを設営し、1人で焚き火を眺めながら簡単なつまみを用意し、酒を飲む。ソロキャンプを気楽に楽しんできた男である。
そこにあるとき、道に迷ったハタチの女の子、草野 雫(しずく)が乱入してきたことで調子が狂った。妙になつかれ、ソロキャンプの教えを請われた結果、なぜか「ふたりソロキャンプ」に出かけるというおかしな関係になってしまう。
趣味の分野やスポーツをテーマにした作品の場合、主人公を素人に設定するのが王道だ。スラムダンクの桜木花道はバスケ素人だった。彼の成長を通して読者もバスケというスポーツを学んでいく。
ふたりソロキャンプは雫の目を通して、ソロキャンプの心得やギア類について学んでいく。厳は先輩役だ。
一方で雫にも料理という得意分野があり、そこは厳と立場が逆転する。我々は厳の立場からキャンプ料理を学ぶのだ。
この素人と熟練者の立ち位置が入れ替わる構造を作りだしたのが、この作品の面白さだ。だだのソロキャンプだったら生まれなかったであろう深みがある。
加えて、徐々に進展していく2人の関係や、厳が1人でキャンプに行くきっかけになった意外な過去など、物語の縦糸・横糸を織り交ぜながら、ソロキャンプのマメ知識を得られるとあって、アウトドアに興味を持ち始めた人にはぴったりの漫画である。
懸念があるとすれば、雫のおっぱいがやや大きいところ。

教える男性キャラ、教わる女性キャラという構図。キャンプで料理を作るのはだいたい女性キャラ。そして大きなおっぱいーー。このあたり、今時の観点からすると批判を浴びそうなポイントである。
試しに女性の友人にこの漫画を貸しておすすめしたところ、「おっぱい推しが強すぎて内容が頭に入ってこない」「イラッとする」という感想が返ってきた。
ちなみに男性の友人に読ませたときの感想は「めっちゃ面白かった!キャンプ行きたくなった!」というものだった。
たしかに内容はとても面白いし、キャンプ知識も増えるので実際に行きたくなる。
読者にリアルな行動を促すきっかけにもなる素晴らしい作品なので、筆者の懸念が現実にならなければいいなあと思う。
なお、第1話はここから読める。