Googleマップの音声案内の「中の人」だった女性がネットで話題になっている。
その正体はフリーランスのナレーター・司会者として活動する野口美穂さん。Twitterに動画をアップし、自身がGoogleマップの音声を担当していたことを明かした。
皆さん本当にありがとうございました!声の主より感謝の動画です。あ、こんな顔だったのかってガッカリしないでぇw #Googleマップ #グーグルマップ
野口さんは英語とフランス語に堪能で、通訳や外国人を招いたパーティーの司会、旅行ガイドなどを請け負っている。声と外国語のプロフェッショナルだ。
ナレーションの音声を自宅で録音し、海外の制作会社に納品することもあるという。Googleマップもそういった仕事の1つだった。
「数年前に海外企業に納品した音声が、いま思えばGoogleマップに使われていたみたいです」とそのきっかけを振り返る。
BuzzFeedは野口さんに詳しい話を聞いた。

--初めて自分の音声に気づいたときはどう思いましたか。
わたしが初めて自分の声だと気づいたのは2012年12月でした。ちょうど主人とクルマに乗っていたんです。「Googleマップのアプリでナビができるらしいね」なんて話しながら、立ち上げてみました。自宅に戻るルートを探していたんです。
そうしたら、ナビの声に「あれ、なんか似てない?」って思いまして。主人も「これ、そうだよね」と。2人でびっくりすると同時に、「すごいねー」と話したのを覚えています。
こういうことはナレーションの世界ではよくあることではあります。納品したナレーション音声の中に会社名などが入っていれば、どこで使われるものだかわかりますけど、ナビの音声はたぶん会社名は入ってないので。クルマのなかで初めて知りましたね。
もちろんすごく光栄なことでした。これまでの仕事のなかでも本当に誇らしい。かといって、あまり人には言っていませんでした。友だちとかと一緒にクルマに運転してるときに、自分の声が流れたときに「実はこれ、私なんですよ」と言うと、びっくりされたりしましたね(笑)
--Googleマップの声をやる上で気をつけていたことはあるんでしょうか。
もともと公共アナウンスの仕事はやらせていただいたことがありました。電話の応答システムとかオーディオガイドとか、海外の日本人向けのガイド音声もやっていたことがあります。癖がなくて、聴きやすい声が求められるんですね。
新幹線のなかのアナウンスとかを聞きながら、「こういうニュートラルな声にしよう」と研究していました。クルマの運転に使われるのは録音当時もわかっていたので、当時使っていたカーナビの優しい声をイメージして録音しましたね。
--いまはロボットの声になってしまいました。「お姉さんの声が良かった」という声も多くありますが。
びっくりです。そして嬉しいですね。終わってみないと、これだけのみなさんが愛用してくださっていたというのが、わからなかったので。音声が変わってしまうのはテクノロジーの流れのなかではいつも起こっていることだと思います。それよりも皆さんからいただいた感謝の言葉とか、「癒やされました」という感想とか、「お世話になりました」というメッセージがわかるのがとても嬉しいですね。
--Twitterでは「こんな顔だったのかってガッカリしないで」と心配されているようですが、「想像以上に美人な方だ」とみんな言ってますよ!
なんか、本当にすみません(笑) 急に聞こえなくなって残念という声を聞き、皆さんに喜んでいただけるかなと、Twitterでメッセージを送りました。声の仕事なので、生声でいいのかなと、何十回と撮り直したものです。ありがとうございます。
--今後はどういった活動をされる予定ですか。
昔から公共アナウンスとか、いろいろな方に聞いていただける媒体の声でやりたいと思っていました。また機会がありましたら、アプリとかどこかの電車のアナウンスとかに挑戦したいです。リニアのアナウンスとかもおもしろいですよね。
--現在、野口さんの声に会える場所というのはあるんでしょうか。
生の声ですと、名古屋祭りが毎年10月に開催されます。山車とか武者行列が練り歩くのですが、名古屋市役所前の観覧席で、英語と日本語のアナウンスをやっています。