いま最も熱い“スポ根マンガ”はあの「防衛大学校」が舞台

    スポーツじゃないけどスポーツよりも熱い。

    入学すると、勉強しながら国家公務員の立場となり、毎月給与も出るという特別な大学がある。それが防衛大学校。

    自衛隊の幹部候補を育成する特殊な教育機関だが、中ではどんな学生生活が待っているのかは実際に通った人が身近にいないとなかなかわからない。

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    『あおざくら 防衛大学校物語』は、そんな防衛大学校において新入生がゼロから成長していく様子を描く。上級生からの理不尽なシゴキ、過酷な訓練に部活動。それらを乗り越えるのは個人の努力と、仲間との助け合い。

    完全に、ある種の“スポ根マンガ”である。

    主人公は学業優秀ながらも実家の経済的理由から一般大学への進学は難しい青年、近藤勇美(いさみ)。担任から勧められ防衛大学校について知り、入学することとなった。最初の動機は「お金」だったが、学校生活を通じで徐々に変わっていき、リーダーシップを身につける。

    新入生の誰もが夢を持って入学してくるが、途中で必ず心折れるときがくる。そこでいかに自分の弱さと向き合うかが丁寧に描かれている。

    スポーツマンガのように特定の競技があるわけではなく、特別な才能を持ったスター選手もいない。日常の学校生活のなかでの規律を守ること、厳しい訓練を滞りなく遂行することに命をかける集団は、一見、地味だからこそ熱い。

    大逆転劇がない日々の生活を、一事が万事を、とにかく丁寧に生きる姿勢に心を打たれる。

    ニュースなどでよく耳にする自衛隊とはどんな組織なのか、そこで働くのはどんな人たちで、普段どんな訓練をしているのかーー。この作品でそのすべてを知ることはできないが、未来の自衛隊を担う若者たちの最初の一歩を知ることは、読者が自衛隊の興味を持つ良いきっかけになりそうだ。

    実際このマンガを読んで以降、新聞記事やテレビで自衛隊という言葉が出てくると、以前より注意して見るようになった。純粋に興味が湧いてきた。

    もちろん自衛隊云々を抜きにして、ストーリーも面白い。「友情・努力・勝利」を描いた王道の少年漫画であり、主人公が地元の幼馴染の女の子と学校で出会った女子学生の間で微妙に揺れたりする恋愛要素もあったりと、飽きさせない。

    何よりミリタリー好きにはたまらないであろう軍事・訓練ネタ、そして笑ってしまうほど理不尽なシゴキや規則は知識としてもワクワクするものがある。巻末にある防衛大学校OBの座談会やインタビューもおもしろかった。

    読んだらきっと誰かに話したくなるような魅力ある作品だ。最近は気合の入ったスポ根マンガが少ないよな〜、そういう時代だもんな〜とか感じている人には、ぜひ『あおざくら 防衛大学校物語』をおすすめしたい。