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妊婦加算が炎上した理由、凍結は正しい? 小泉進次郎さんと産婦人科医・宋美玄さんが対談

「妊婦税」「少子化を加速させる」と批判は殺到していましたが、必要ないものだったのでしょうか?

「妊婦税だ」「少子化を加速させる」と批判が殺到した「妊婦加算」。妊婦が保険診療を受けた時に、初診で230円、再診で110円窓口負担が増え、時間外などはさらに追加される仕組みで、4月に導入されましたが、2019年1月からの凍結が決まりました。

もともとは、診療や薬の処方に配慮が必要な妊婦を丁寧に診てもらうためのものでしたが、自民党が「妊婦に自己負担をさせることは容認できない」と厚生労働省に見直しを求め、厚労大臣の諮問機関である中医協(中央社会保険医療協議会)が凍結を了承する異例の事態となったのです。

この対応に怒りの声をあげたのが、普段、妊婦を診ている産婦人科医たちです。

「妊婦を丁寧に診るという理念はどこへ行った?」「妊婦と関わりたくないという他科の意識を強化してしまう」

凍結は正しかったのでしょうか? そもそも妊婦加算は必要なのでしょうか?

今回、厚労省に見直しを求めた自民党厚生労働部会長の小泉進次郎さんと産婦人科医の宋美玄さんが、緊急対談をしました。司会はBuzzFeed Japan Medicalの岩永直子が務めました。

Naoko Iwanaga / BuzzFeed

妊婦加算の凍結について議論する産婦人科医の宋美玄さんと自民党構成労働部会長の小泉進次郎さん

なぜ「凍結」という判断に至ったのか?

宋美玄さん(以下、宋) まず、妊婦の診療には手間がかかり、普通の人を診る時よりも、医療機関にプラスの報酬があった方がいいということは理解してもらえているのでしょうか?

小泉進次郎さん(以下、小泉) それは当然ですよ。まず、はっきりしておきたいのは、それに異論があるわけではないということです。妊婦さんに丁寧な診療、説明、処方をしている医療機関を評価していくことは大事だと考えています。これは自民党の部会も、僕自身も共通の意見です。

ーーなぜ、「凍結」という判断に至ったのですか?

小泉 まず経緯をお話します。僕が自民党の厚生労働部会長になったのが10月で、まだ2ヶ月ですが、日々いろんなことを扱う中で妊婦加算というものが話題になり始めました。

「どういうことなのか教えて」と厚労省を呼んで、「妊婦加算はこういうもので、世の中から様々な批判の声も含めて出ているのはこういうことなんです」と説明を受けました。

報道であるように、コンタクトレンズの処方やイボとりなどでも妊婦加算されているのは本当かと聞いたら、「そうなんです」と。「それと妊婦であることは関係なくない?」と指摘して、妊婦という確認や説明もないまま支払い窓口に行ったら、「あなた妊婦さんなんですね」ということで加算がつけられたという話も聞きました。

 極端な例ばかりを取り上げたような気がしますが、一律に加算するというのはそういうことですね。

小泉 しかも、国は社会全体で子どもや子育てを支えていこうという大きなメッセージを発信しているのに、「妊婦狙い撃ち」のような印象を与えてしまっている。納得のない診療でも、加算がついてしまう。「これっておかしいんじゃないの?」と指摘しました。

ただ、当初はもう動かせないのかなと思っていたのも事実です。つまり診療報酬は、政治の世界から見るとガチガチの仕組みで、次の改定に向けて検討するしかできないのではないかと思ったわけです。しかし、最初に説明を受けた時に、役所も危機感を持っているなと感じました。

 炎上したからまずいという危機感ですか?

小泉 いえ、役所自身も、本来の趣旨とは違う形で加算がついていて、国民の反応ももっともだという感触を持っていました。「じゃあ対応を考えてきてください」と伝え、コンタクトレンズ処方や妊婦であることを知らずに行った診療は加算をつけないことを徹底し、より周知説明を徹底していくという回答が返ってきたんです。

しかし、そういう対応で済むのかな、というのが僕の率直な受け止めでした。

自民党の会議でも、「それは先送りじゃないか」という声が多数でした。一方、「頑張っている医療機関に対しては評価が必要だよね」という声も多数です。

自民党厚労部会の幹部からは、「妊婦の自己負担が発生することはおかしいというのは部会の総意として、最終調整は部会長に一任する」と言われました。

そこで僕が厚労省に最大限の努力をしてほしいと伝え、その後、厚労省から「凍結の方向で進めます」と回答がありました。一部で僕が凍結したという誤解がありますが、最後の判断は厚労省なんです。

もちろんこの流れの中で、こちらが一石を投じたと思います。そして、僕は結果として厚労省の判断はよかったと思っています。

Naoko Iwanaga / BuzzFeed

凍結までの経緯を語る小泉進次郎さん

凍結の影響は? なぜ十分な議論がなされてこなかったのか?

ーー妊婦加算、導入前に政治の場で議論はなかったのでしょうか?

小泉 僕が部会長になる前に始まった制度なので、これまでどういう議論だったのか、当時の大臣経験者などに聞いてみたのですが、議論していないと聞きました。導入時に、政治の中でしっかりとした議論はしてこなかったのです。

 混乱を招いたことは診療現場にとってマイナスになります。丁寧な診療に対する費用が必要だと合意した上で、今回、妊婦加算は導入されたはずです。しぶしぶ払ってきた人たちも、凍結となったら「私たちが払ったのは何だったの?」と余計、理解が得られにくくなったなというのが率直な感想です。

この4月に妊婦加算が施行される前に、コンタクトレンズはどうなのとか、後から妊婦と気づいての加算はおかしいということに気づいてほしかった。

小泉 それは政治の反省です。そもそも決まる前に議論してからやるべきじゃなかったの?というのはその通りですが、だからと言って、決まったからこのままやり続けますというのもまたおかしい。

だから、僕は今回混乱を招いたとは思っていなくて、逆に、このまま放置して、「診療報酬改定は2年に1度ですから、次の改定まで全く手はつけません」とする方が、政治に対する不信を招くと思っています。

 次善の策ということでしょうか。

小泉 そうです。その中で言えば、僕は今回最高の結果だと思います。つまり、多くの人は「まさか凍結とは」と思ったはずですが、予想を超える形でスピード感を持って対応した。

妊婦さんに丁寧なケアや診療をしているお医者さん、医療機関に対して、前向きな評価を、ちゃんと国民のみなさんに理解をしてもらえるような形でやっていく。そのための議論と制度設計をこれからちゃんと考えましょう、というスタートが切れた。いい仕切り直しなんです。

宋 最終的に、これをきっかけにいい制度になればそう思えるかもしれません。

小泉 だからそれをするのが、これからです。お医者さんや医療機関で本当に頑張っている皆さんに、国民の皆さんに理解される形でちゃんと評価される制度を作る。なおかつ妊婦さんをどうやって支えるかということをちゃんと考えていく。その前向きな仕切り直しが、妊婦加算の凍結という形だったと考えていただきたい。

 今回のようなことは異例の判断ですか?

小泉 10年前に、後期高齢者の終末期相談支援料というのがあって、それも炎上して凍結になりました。今回の判断も異例だと思います。やはり、不信感を持たれている制度を、決めたからといって続け、不信感が残り続くことは良くない。ちゃんと妊婦さんにも理解され、医療機関側の努力が評価される制度をこれから確立していきます。

妊婦が大切にされているという実感がない日本

ーー元々の趣旨は妊婦さんに安心して医療を受けてもらえるようにというものだったはずですが、宋さんはどうしてこれほど世間から批判が殺到したと考えていますか?

 妊婦加算は個人の負担としては正直、すごく多額ではないと思います。ただやはり、妊婦に対して自己負担を増やしたということに抵抗感があったのではないでしょうか。

小泉 額の問題じゃないですよね。僕もそう思います。

 今まで散々、少子化が問題とされて、「子供を産んで!産んで!」と言われてきたのに、妊婦さんたちが自分たちが応援されている、大切にされていると思えるような手厚い政策がなかなかなかったと思います。

大事にされている実感がないまま、「え?お金取られるの?」とショックを受けたのが妊婦加算だったのではないでしょうか。乳幼児加算もありますが、「少子化の時代に乳幼児加算をとるなんて!」と誰も言わないのは、乳幼児はこども手当など、応援されているという実感があるからだと思います。

小泉 あとは自治体が子どもの医療費を助成して、結果的に自己負担なしというところが多いですからね。

 そうですね。乳幼児の医療もそうですし、茨城県では妊産婦の医療費用も助成しているそうです。妊婦加算はそういう応援が全体に広がらないまま、本人に目に見える形で加算されたのが小児との違いです。

今まで少子化と散々言われていたのに、手厚くされているという実感がないまま、100円なり200円なり取られたのが解せないと思われたのかなと感じます。ベースには、今までの少子化対策に産む層が満足していなかったことがある。

小泉 あると思いますね。まず、これは額の問題じゃない。ちなみにこの額は乳幼児加算と同じです。乳幼児加算と妊婦加算の点数は同じなんですけれども、制度を決める過程で、中医協などがもっと考えるべきだと思うのは、同じなのに、なぜこんなに受け止めが違うのかということです。

乳幼児加算は自己負担を感じていない。妊婦加算は感じている。それを埋めるものがないからです。制度のあり方で、どのように受け止められるだろうかということを考えていなかったということが明るみになったわけです。

あるべき形は見つかるのか?

ーーそもそも、妊婦加算が始まる時に、産婦人科以外の診療科できちんと妊婦さんの診療ができる準備は整っていたのでしょうか?

宋 この妊婦加算は、実は産婦人科医にはあまり関係ありません。私たちは妊婦健診を自費でやっているので、妊婦加算をもらう場面は少ないのです。

私が最初、この制度が微妙だと思っていたのは、現段階で妊婦を責任を持って診ている先生が大多数とはとても言えない状況だったからです。

高熱が出ているなら、薬を出してでも下げたほうが赤ちゃんのためになるのに、ほとんどの薬の添付文書は妊婦には出せないと書かれていて医師は躊躇します。診療拒否ではないですけれども、他の診療科の医師に、「妊婦に薬は出せないよ」と言われたという妊婦さんはとても多いです。

他の科の先生たちにも妊婦を積極的に診てほしいとは願っていたわけですが、それが実現していない状況で先に加算がつくのはどうなのだろうかと思っていました。

でも診療報酬というのは、特定の手術の点数をあげてその手術を普及させたり、在宅医療の評価を手厚くして、在宅診療医師を増やしたりという目的もあります。先にエサを置いて誘導する役割もあるから、妊婦をちゃんと診る医師が増えてほしいという国のメッセージなのかなと受け止めていました。

その過渡期では、ちゃんと診てもらっていないのに加算がかかることも多少あっても仕方ないかなと思っていたのですが、その最初の段階で今回、凍結が決まったわけです。

では、今後どうすれば国民が理解して、ちゃんと報酬がつく状況になるのかなと思います。むしろ、妊婦手当や妊婦医療証を作って自治体が医療費を持つなどして、自己負担感のない制度の下で加算するしかないのかなどと考えます。

突然、凍結となって、どのようにあるべき姿に着地していくのか、見えなくなったと思っています。

Naoko Iwanaga / BuzzFeed

妊婦さんの置かれている現状を説明する宋美玄さん

小泉 僕は、そこに対しても前向きに捉えています。みんなに妊婦をちゃんと診てくださいというメッセージを送り、なおかつ、妊婦さんもちゃんと丁寧に診てもらえる環境が整ってきたなと感じてもらえる。

それが世の中に伝わって、子供を産みやすい社会になり、妊婦さんや子供、子育てに優しい。凍結は、そういう社会ができていくきっかけになると思います。

それはなぜかというと、まず、これまで妊婦加算というものを、妊婦さん自身も多くの人は知らなかったからです。今回の騒動をきっかけに、あるテレビ番組が妊婦さんにアンケートしていましたけれども、知らない人もいっぱいいました。

 診療報酬の明細書なんて見ていない人が多いですからね。

小泉 みんなしっかり見ているわけじゃないでしょ? 当事者も政治家も知らない人がいっぱいいて、だけどこれだけの大きなニュースになった。次の診療報酬改定で、さあどういう結果になったでしょうかと世の中が注目するきっかけになりましたよね。

来年の10月から消費税が上がれば、幼児教育の無償化などが始まりますが、そういった子供、子育て関係の話題が、こんなに大きく扱われるということ自体が、今までの社会保障関係では、あまりなかったことです。

 医療費に関してはあまりなかったですね。

小泉 さらに、診療報酬とか中医協とか、今まで関係者以外はあまり知らなかったことだって、今回のことを通じて、いろんなところで話題に出てくるようになりました。いろんな人が問題意識を持って、より良い形を作って行こうと関心を持つようになったことを、僕は前向きに評価していいと思います。

妊婦の診療が敬遠される理由 医療不信のトラウマ

 せっかく進次郎さんのような影響力のある人が部会長ですから、国民への説明を丁寧にしてくれると助かります。そもそもなぜ、妊婦に対して診療拒否気味な状態があるのかという背景を知ってほしいです。

14 年前に、「大野病院事件」があったのをご存じですか? 福島県立大野病院で帝王切開をした時、前置胎盤という状態で産婦が亡くなって、医師が逮捕されたということがありました。結局、避けられなかった死だと認定されて無罪となりましたが、当時、医療界に大きな衝撃を与えました。

その後、「たらい回し」と言って、妊婦の緊急搬送の受け入れ先がなくて、次々と病院から断られるということもありました。

こうしたことを、マスコミが医療ミスだと叩き、医療不信が高まりました。その後、全国で訴訟も相次いで産婦人科医が次々に辞め、日本のお産は危機的な状態になったのです。

「お産難民」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、産む場所を探すのに困る状況にもなりました。今「コウノドリ」という漫画やドラマが人気で、「お産というのは安全で当たり前じゃないんだよ」ということをやっと国民も理解してくれるようになってきたところです。

しかし、やはり医者の中では、「妊婦に何かあったら揉める」という印象が強く残っています。

一定の確率で病気を持った赤ちゃんは産まれますが、何が原因かはわからないことが多いです。順調な経過の人も1分先に破水や出血が起こるかもしれないという不確実な健康状態なのが妊婦です。

もし妊婦に何かあったら、産まれた赤ちゃんに何かあったら、「これはあの時のあの診療のせいではないんですか?」と言われかねないという不安が、10年以上前の医療不信騒動で医者たちの間にすごく染み付いています。

関わらない方が無難と思っている先生がものすごく多い中、どうやったら、現場のお医者さんに、「そう言わずに丁寧に診てください」と言えるか。

私の患者さんで、鼻血を出して病院に行っても、「何もできないからバケツ持ってて」と言われた人もいます。高熱が出ていても無治療で帰された人もいます。正直、私はこんな少しの加算で、丁寧に診るようになるとも思えないのです。

小泉 思えないですよね。点数だって不十分。説明だって不十分。

 妊娠という状態自体が非常に不安定で、一定の確率で病気の赤ちゃんが産まれてくるということも理解されてきましたが、医者側の「妊婦を診るとろくなことがない」というアレルギー的な感覚を緩和していかないと無理だと思います。

必要な手立ては? 何ができるのか?

小泉 その拒否感は、どうしたら減っていくと思いますか? 有効な手立ては?

 2004年(平成16年)以降に医師になった人たちは、臨床研修制度が新しくなっていろんな診療科を回っているので、産婦人科もちゃんと全員回っています。ですから、この世代以降は割と拒否感なく診るかもしれません。

でも、それより上の世代はどうでしょうか。国立成育医療研究センターの「妊婦と薬情報センター」のHPでは妊婦に出して大丈夫な薬か調べられますし、そういう本も出ています。診療するためのツールはないわけではないのですが、どうしても慣れない妊婦を診察したいという人はなかなかいません。

新たに妊婦加算を作る時に、こういう要件のところなら加算をつけられるという施設基準を作ることも考えられます。診たくない人は診なくても仕方ないと割り切る。一定年齢上の人に変わってもらうことは難しいです。

もう一つ考えたのは、いいアイディアかどうかはわかりませんが、「症状詳記」を書いてもらうようにするということです。

小泉 それはどういうものですか?

宋 保険を算定する時、疑いのあるものはカットされることがあるのですが、「症状詳記」と言って、「この人はこういう理由でこの検査を必要としました」など、理由を詳しく書くことがあります。

これを妊婦加算でも適用して、「妊婦だったため、このように説明しこれを処方しました」と書いた場合は算定されるようにするなんてどうかなと思いました。これなら、後から妊婦だと気づいて加算するということはありえません。

多少面倒臭くなるかもしれませんが、ちゃんとした人には報酬がつくよ、そうでない人にはないよ、とする何らかの制度設計が必要です。

小泉 必要ですよね。やはり、制度設計が甘かったのですよね。説明がなくても加算できたり、関係なくても加算できるようになっていた。

早速、厚労省も有識者の会議を立ち上げて、これから次の改定に向けて凍結後のあり方を検討していくということです。

あとは政治もしっかりと見ていき、国民の皆さんにあの時は凍結の判断になったけれども、今度はこういう風にやっていきますと説明します。

次の診療報酬改定を待たずに、理解を求めて

宋 有識者会議でどういう制度設計が医者を誘導するのに有効かというのは話し合ってもらうとして、政治にお願いしたいことがまだあります。

妊婦というのは、心拍数や心負荷が増えたり血が薄くなったり生理学的に妊娠していない人とかなり異なりますし、例えば虫垂炎(盲腸)になっても、全然違うところが痛くなったりして、診断がすごく難しいものです。

一口に腹痛と言っても、見分けるべき病気がすごく増え、薬ひとつ、検査ひとつとっても、難しい判断が求められます。やはり妊婦の診療は、特殊な知識と気遣いがいるんです。

そこで妊婦加算が一度できて、なくなって、やはりいらなかったんだね、という雰囲気にはなってほしくありません。新しい制度が生まれるまでの間、そういう手間のかかる診療なのだという理解はタイムラグを開けずに求めていきたいです。

小泉 そうですね。そこはちゃんと伝えていきたいと思います。メディアの皆さんにもお願いしたい。

今回の騒動で、これがメディアの現状だなと思ったのは、とにかく報じられるのは「凍結」ばかりだということです。政治的にみんなの予想外のことだったし、異例のスピードだし、それがニュース性を持つということはよくわかります。

しかし、僕は毎回、厚労部会の会議後に、部会長として記者の皆さんにブリーフィングをしていて、妊婦加算はそもそも丁寧な診療をしている医師をしっかりと評価しましょうということで導入されたもので、この趣旨を評価する声は部会でもあるのだと話しています。だけど、それは報じられない。

 あまり伝わってこないですね。

小泉 だから、これは報じる側の協力や責任も必要だと思います。

 記事に書いてあっても、それを見ていないでコメントする人もいます。受け手側の問題もあると思います。

小泉 報じる側、受け手側、それに加えて、政治の伝える側のさらなる努力も必要だと思います。しかし、今回のケースについて言えば、どうしても凍結、という判断が際立ってしまっています。

もし、頑張っているお医者さんたちに、凍結ありきで、頑張っているところへの評価の目が行き届いていないと思われているのだとしたら、そんなことはありません。それが前向きに評価されるような形にこれから作っていくのだ、そのスタートなのだと伝えたいです。

ーー政治は今後、この問題にどう関わるのですか?

小泉 まずは、有識者の会が立ち上がるので、その議論を見ることがひとつだと思います。自民党の厚労部会が議論に対してずっと口を出し続けていくよりも、専門家のみなさんの議論が必要でしょう。

そして、すごく大事だと思うのは、中医協の中でもやはり国民の立場、国民起点で考える目が入っていかないと、プロの目だけで見ると間違える。今後の議論が有識者のたこつぼにならないように、そこだけ気をつけて本当にわかっている人たちで議論していくのが大切なことだと思います。

 たこつぼの議論にせず、サービスの受け手である国民と医療の担い手の両方が納得するようなものに、事前にちゃんと練った上で次は導入してほしいです。

小泉 本当ですね。これだけ世の中に厳しい目を向けられて凍結という結果になったわけですから、もう、同じ過ちは繰り返せないと思いますよ。

Naoko Iwanaga / BuzzFeed

日本の子育て対策のために協力を誓った小泉進次郎さん(右)と宋美玄さん(左)

【宋美玄(そん・みひょん)】 産婦人科医、医学博士

1976年、神戸市生まれ。2001年、大阪大学医学部卒業。川崎医科大学講師、ロンドン大学病院留学を経て、2010年から国内で産婦人科医として勤務。主な著書に「女医が教える本当に気持ちのいいセックス」(ブックマン社)など。2017年9月に「丸の内の森レディースクリニック」を開業した。

【小泉進次郎(こいずみ・しんじろう)】自民党衆議院議員、自民党厚労部会長

1981年、横須賀市生まれ。関東学院大学経済学部卒業後、2006年米国コロンビア大学院政治学部修士号取得。米国戦略国際問題研究所研究員を経て、衆議院議員。小泉純一郎氏秘書を務めた後、2009年8月衆議院初当選、現在4期目。内閣府大臣政務官、復興大臣政務官を務めた後、2015年より自民党農林部会長、2017年8月より自民党筆頭副幹事長、2018年10月に自民党厚労部会長に就任。


Contact Naoko Iwanaga at naoko.iwanaga@buzzfeed.com.

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