• hpvjp badge
  • medicaljp badge

「まずは正確な情報を届けたい」HPVワクチンの啓発団体が2回目のクラウドファンディングに挑戦

子宮頸がんやHPVワクチンについて啓発活動を続けている「みんパピ!」。積極的勧奨の再開を前に、正確な情報を届けるために2回目のクラウドファンディングを始めました。

子宮頸がんは日本で毎年約1万人が発症し、約3000人が亡くなっています。

原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を防ぐのがHPVワクチン。日本では2013年4月から小学校6年生から高校1年生までは無料でうてる定期接種となっていますが、国が積極的に勧めるのをやめて接種率が激減しました。

安全で効果のあるワクチンで子宮頸がんになる人を減らしたいと医師らで啓発活動を行う「みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト」は、さらに活動を続けようと、2回目のクラウドファンディングで寄付を募ります。

Naoko Iwanaga / BuzzFeed

みんパピ!に小児科医として参加している今西洋介さん

みんパピ!に小児科医として参加している今西洋介さんは、「このクラウドファンディングを通じて、まずこんな問題が起きていることを知ってもらい、若い人の命を守るために協力してほしい」と呼びかけています。

クラウドファンディング「がん」を予防するワクチンをみんなの当たり前に!(第2回)は、11月30日午後11時まで。

みんパピ!

医療機関への啓発リーフレット、学校への啓発ポスター、署名活動......

みんパピ!は産婦人科医、小児科医、公衆衛生の専門家らで2020年8月に活動を始め、クラウドファンディングで2792人から約2600万円の活動資金を集めました。

公式ウェブサイトでは最新情報をわかりやすく伝え、全国847医療機関に子宮頸がんやHPVワクチンをわかりやすく説明する9万枚以上のフライヤーやリーフレットを配布したり、日本中の全ての中学校・高校にポスターを送ったりしました。

国際パピローマウイルス学会(IPVS: International Papillomavirus Society)」が主催した2021年3月4日の「国際HPV啓発デー」では、日本の公式パートナーとして様々なイベントを実施。日本小児科学会では小児科医にHPVワクチンの最新情報を届けるセミナーも開きました。

厚労相に5万5616筆の署名を届けることもしています

みんパピ!

みんパピ!の行ってきた活動

接種率1%未満→14.4%、厚労省の検討会で「積極的勧奨」再開の動き

少しずつHPVワクチンの認知度が上がり、HPVワクチンのイメージも変わりつつあります。みんパピ!の活動でどのような変化が生まれてきているのでしょう?

みんパピ!

今西さんはこう振り返ります。

「行動科学の視点を取り入れて、『このワクチンをうちましょう』ではなく、『まずはこのワクチンを知ってもらおう』というアプローチで活動してきました。医者が強制的にうたせるというアプローチでは反発を招きます。このアプローチを通じていろいろな団体とつながり、大きな動きになっていきました」

医師たちが無報酬、非営利で行っている活動であることで、一般の人はもちろん、医療者たちにも信頼を得られたことも大きかったと言います。

「医療者でHPVワクチンを知らなかった人たちや、不安に思っていた人たちは多いです。小児科学会でのセミナーも大きな反響がありましたが、小児科医は知らないふりをしていた人も多かったので問題提起できました。HPVワクチンの啓発に取り組み始める施設が出てきています」

みんパピ!の活動、次の目標は?

厚労省の副反応検討部会は10月1日、これまで8年以上、中止されてきた積極的勧奨を再開する議論を始め、再開の方向が確認されています。

再開への道筋が見えてきたところですが、それだけでは接種率は回復しないと今西さんは指摘します。

「SNSで多いのは、『再開したらどこに問い合わせたらいいか』『どこで情報を得たらいいのか』という声です。先日、千代田区が定期接種でうち逃した人の接種期間を延長することを発表しましたが、誰も取りこぼさないようにするためには同様の制度を作るのも大事です」

みんパピ!は次の3つの課題がまだ解決されていないと指摘します。

  1. 8年間で接種機会を逃した年齢層の女性への公費補助
  2. 男子への接種の推進
  3. より効果の高い9価HPVワクチンの定期接種化

積極的勧奨の差し控えで自治体からお知らせが届かず、自分が定期接種の対象者であることも知らずにチャンスを逃した女性がたくさんいます。3回で5万円のワクチンを自費でうつのは難しい人も多いです。

HPVは男性もかかる中咽頭がんや肛門がん、陰茎がんの原因ともなることがわかっており、うつし合いを防ぐためにも男性も接種することが理想的です。

そして、より効果の高い9価ワクチンも定期接種化で無料でうてるようになることが求められています。

みんパピ!はさらに効果的に活動を進めようと、昨年8月、高校1年生の女子とその母親にHPVワクチンの意識調査を行いました。

490人(高1女子245人、母親245人)の回答を分析したところ、どこから情報を得たいかについて、面白い特徴が見えてきました。

みんパピ!

HPV感染症やHPVワクチンに関する情報をどこから得たいと考えているか聞いたアンケートの回答。高校1年生の女子では半分が学校から得たいと答えた

「高校1年生の女子は、学校で勉強したいという声が多いのが印象的でした。自分でワクチンについて学びたいと考えているのです。幼い頃からいろいろな媒体に触れて膨大な情報を得ることで、情報の取捨選択能力も僕らの世代より長けています。ワクチンや性教育への関心も高いです」

そこで、次の段階では学校に対するアプローチも考えています。

「学校に行って、直接、子どもたちに講演するなどしたいと考えています。文部科学省にも働きかけをして、学校でどうやってHPVワクチンの教育を進めていけるかを一緒に考えているところです。性教育やコロナの話、がん教育などと一緒にHPVワクチンの情報を伝えていきたいのです」

また、当事者の高校1年生の女子は、テレビや医療機関から情報を得たい親と違い、SNSやYouTubeから得たいと答えた人が3割いました。寄付額が多く集まれば、ユーチューバーや著名人との連携も考えていくつもりです。

願うのは若い人が命を落とさずに済むこと、そして2度と同じ間違いを繰り返さないこと

今西さんは、みんパピ!での活動を通じて願っていることが2つあります。

「まずHPVワクチンは、正しい知識を持って接種していただくことで、若い人たちが命を落とさずに済む。そんな医療的な効果を期待する気持ちは当然強くあります」

もう1つは、HPVワクチンで起きたことを2度と起こさないようにすることです。

「子どものワクチンで副反応がセンセーショナルに報じられた時、厚労省が積極的な勧奨を中止し続けたことについて私たち医療者はもっと声を上げるべきでした。思春期を診る専門家も少なく、接種後に訴えられた症状へのアプローチも十分ではありませんでした。小児科医や学会は反省しています」

「HPVワクチンでこういう問題が起きて、接種されない問題が今も続いています。再開するのは当然として、歴史から学ぶことが必要です。新型コロナワクチンも12歳未満をどうするか検討されていますが、ワクチンの安全性が正しく評価されるように、システム作りも含めて国全体で考えていかなければいけません」

クラウドファンディング「がん」を予防するワクチンをみんなの当たり前に!(第2回)は、11月30日午後11時まで。