自民党の「HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟」が3月24日、開かれ、田村憲久厚生労働相に改めて提言を出す方針を決め、内容を議論した。
同議連は2020年7月21日に加藤勝信厚労相(当時)に、積極的勧奨の早期再開など8項目を求める要望書を既に提出している。

今回も積極的勧奨再開を速やかに再開することなどを改めて要望する。
効果や安全性を証明するエビデンス(科学的根拠)が積み重なったにもかかわらず、厚労省の検討会での議論が進まないことから、早急な議論を促すために再び出すことにした。
要望書は積極的勧奨が差し控えられている間、接種を逃した女性も無料で接種できるようにする措置を求める医療者と女子大学生の有志団体「HPVワクチン for me」の署名とともに、3月29日に提出する予定。
「副反応検討部会の議論の進捗が見えないことにフラストレーション」
この日議論された提言案では、浸潤がんを防ぐ効果を世界で初めて示した論文や、積極的勧奨が中止されていることによって、今後50年で本来ワクチンで防げるはずの6万人前後が発症すると予測した論文などを紹介。
「将来ある若者が、予防可能な疾患で命を落とすことや、子宮を失い妊娠・出産ができなくなる事態を防ぐため」として、
- 積極的勧奨の速やかな再開
- ワクチンの予防効果とワクチン接種後の有害事象に関する医学的に正確な情報提供と共に、接種後の有害事象に対する診療体制の強化
- 定期接種の機会を失った人に費用負担なく受けられる措置を講ずること
- 妊娠や出産や避妊について必要な知識を適切に行う性教育の検討
を求めている。
事務局長の自見はなこ参議院議員は、改めて厚労相に提言を出す理由について、こう答えた。
「新たなエビデンスの積み重ねが徐々に進んできていることが大きい。厚労省の副反応部会では新しいエビデンスを元にした議論の進捗が見えないことにフラストレーションを感じているので、このタイミングで再度、我々の気持ちをお伝えしたい」
関連学会の理事「接種の機運が盛り上がることを期待」「心強い」
また、会議に参加したHPVワクチンや子宮頸がん治療に関わる医学関連学会の理事たちも、賛同の発言を寄せた。
「日本小児科学会では、HPVワクチンをはじめとしたワクチンで予防できる病気はしっかりと防いでいきたいという方針で進めている。ワクチンの啓発に関することは学会をあげて対応していきたい」(日本小児科学会・森内浩幸担当理事)
「HPVワクチンの積極的勧奨はやってもらわないと、子供たちが大変な目にあっている。きちんとした情報でやろうということが周知されないとなかなか先に進まない。ぜひともHPVワクチンはうとうよ、という機運が盛り上がることを期待したい」(日本小児科医会・神川晃会長)
「大変重要な動きと認識している。歴史的な一歩を先生たちのお力で進めていただけると心強く思っている」(日本産科婦人科学会・木村正理事長)
「性教育を上手に盛り込んでいただけるのはありがたい。HPV関連がんとして、子宮頸がんはもちろん、肛門がんや陰茎がんや中咽頭がんが起こっている。日本でも男性に対する接種を行う体制についてご検討いただき、健康被害が出てしまった接種の遅れを少しでも取り戻すようにしていただきたい」(日本性感染症学会・四柳宏理事)