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HPVワクチンの9価ワクチン日本で承認 定期接種化の審議へ

HPVワクチンの9価ワクチンが厚生労働省の審議会で製造販売を承認されました。世界ではスタンダードですが、日本は大幅に遅れて承認された形です。

子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染を予防するHPVワクチン。

厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は、9種類のHPVへの感染を防ぐMSD株式会社の9価ワクチン「シルガード9(組換え沈降9価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン)」の製造販売を5月20日付けで承認した。

この審議結果を受けて、厚労相が正式に承認することが確実となった。日本で9価ワクチンが承認されるのは初めて。

日本では、MSDが2015年7月3日付けで製造販売の承認申請をしていたが、薬の審査としては異例の長さの約5年もかかり、4月16日から審議が始まった。

厚労相の承認後、公費で接種できる「定期接種」で使えるようにするため、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で審議される。

先進国で日本でだけ遅れていた承認

日本ではこれまで、子宮頸がんになりやすいハイリスクな16型、18型への感染を防ぐ2価ワクチン(サーバリックス)とその二つの型に加え、良性のイボのような尖圭コンジローマを起こす6型、11型も防ぐ4価ワクチン(ガーダシル)しか承認されていなかった。

今回、承認された9価ワクチンは4価ワクチンがカバーする4つの型に加え、やはりがんになりやすい31、33、45、52、58の5つの型も含めた9つの型への感染を防ぐ。

子宮頸がんの90%以上を防ぐとして先進国では主流となっていたが、日本でだけ承認が遅れていた。

HPVワクチンは2013年4月以降、小学校6年生から高校1年の女子を対象に、公費でうてる定期接種となっているが、接種直後に体調不良を訴える声が相次ぎ、同年6月には「積極的勧奨」を差し控えるように国から通知が出されている。

その後、安全性や有効性を示す研究が続々と出され、WHOも推奨しているが、日本では反対運動が強く、国と製薬会社を相手取った訴訟が起こされていることも承認の遅れに影響したとみられる。

現在では海外から輸入した9価ワクチン3回分をうつと、自費で約10万円かかっている。

9価ワクチンについて、日本産科婦人科学会は国に繰り返し早期承認と定期接種化を求めており、自民党の「HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟」(細田博之会長)も早期の定期接種化を求めている

MSDはそのほか、4価ワクチン「ガーダシル」の男子接種への拡大を承認申請している。