• hpvjp badge
  • medicaljp badge

【詳報】HPVワクチン、積極的勧奨の再開を了承 厚労省の副反応検討部会

8年以上、積極的勧奨が差し控えられてきたHPVワクチン。厚生労働省の副反応検討部会は11月12日、再開することを了承しました。今後、チャンスを逃した女性への救済策は予防接種・ワクチン分科会で検討されます。

子宮頸がんを防ぐことが明らかになっているHPVワクチン。

厚生労働省の「副反応検討部会」と「薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」が11月12日に合同開催され、「積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当である」として、2013年6月から差し控えられていたHPVワクチンの積極的勧奨を再開することを了承した。

Naoko Iwanaga / BuzzFeed

11月12日に合同開催された「副反応検討部会」と「薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会」

この結果を受け、8年以上、無料接種のチャンスを逃してきた女性に対し、無料接種の再チャンス(キャッチアップ接種)を与える救済措置が予防接種・ワクチン分科会で検討される。

8年以上もの長い間、接種率が激減していたHPVワクチンの問題は、ようやく正常化に向かって進み始める。

反対なし「積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当である」

この日の部会では、引き続きHPVワクチンに関する安全性や有効性の知見が検討され、今月、イギリスから出たばかりの2価のHPVワクチンが12〜13歳の定期接種で接種した場合、浸潤子宮頸がんを87%も減らしたことを示す論文も追加で説明された。

委員からは再開にあたって、当初は通常のワクチンよりも間隔を狭めた形での安全性の評価をすべきではないかという意見も出た。

また、HPVワクチン接種後の体調不良を専門的に診るために各都道府県に設置されている「協力医療機関」に対して行われた実態調査の結果も説明された。

接種率の低迷で患者が減っていることから、受診する患者がいない医療機関も多いことが判明。診療の研修や医療機関間の連携が求められており、再開を前に診療の質の向上を図っていく方針が示された。

さらに、対象者や保護者に対する情報提供のあり方として、厚労省のリーフレットに最新の知見を踏まえた改定を加え、「接種をおすすめするお知らせをお送りするのではなく」など、読んだ人に混乱を与えるような記述を見直す方針も了承された。

その上で、

「HPVワクチンの安全性を引き続き評価し、HPVワクチン接種後に何らかの症状が生じた方の相談体制や医療体制を強化するとともに、こうした症状に苦しんでいる方に寄り添った支援策を継続し、HPVワクチンに関する情報提供を充実していく」

「こうした点を踏まえ、HPVワクチンの定期接種の積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることについてどう考えるか」

という事務局からの問いに、座長の森尾友宏・東京医科歯科大学発生発達病態学分野小児科教授はこうまとめて委員たちに問いかけた。

「『HPVワクチンの定期接種の積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることについて』反対であるというご意見はなかったと理解しております。本日の審議会においては、HPVワクチンの定期接種の積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当であるということを部会の結論とさせていただいてよろしいでしょうか?」

反対はなく、8年5ヶ月ぶりにHPVワクチンの積極的勧奨の再開が了承された。

積極的勧奨の差し控えは2013年6月14日、副反応検討部会の審議結果を受けた厚労省健康局長の通知をもって始まった。今回の再開という結論を受けて、健康局長が近く再開の通知を出すとみられる。

2013年6月に積極的勧奨の差し控え 8年半、実質中止状態に

HPVワクチンは2010年から公費による助成が始まり、2013年4月から小学校6年生から高校1年生の女子を対象に公費でうてる定期接種となっていた。

ところが接種後に体調不良を訴える声を、マスコミがセンセーショナルに報じたことから、安全性への不安が拡大。厚生労働省はわずか2ヶ月後の同年6月に積極的勧奨を差し控えるよう自治体に通知を出し、対象者にお知らせが届かなくなった。

自分が無料接種の対象であることさえ知らずにチャンスを逃す人が増え、接種率は一時1%未満にまで激減。世界中で日本だけが有効で安全性の高いワクチンがうたれない異常事態が続いてきた。

安全性については、接種した女子と接種していない女子で出てくる症状に変わりがないことを示した名古屋スタディ「祖父江班」の全国疫学調査の報告が国内からも出ており、有効性についてはスウェーデンイギリスから浸潤子宮頸がんを予防する効果が示されている。

日本では毎年、約1万人が子宮頸がんになり、約3000人が亡くなっている。

北海道大学環境健康科学研究教育センター特任講師のシャロン・ハンリーさんらは、積極的勧奨の差し控えの影響で、1994年から2007年に生まれた集団では、推奨率が約70%にとどまっていた場合と比べて、生涯にわたって2万4600~2万7300 人が子宮頸がんを上乗せして発症し、5000~5700人が上乗せして死亡すると推計している

小児感染症の専門家「誰一人取り残さないように」

小児感染症が専門の長崎大学小児科学教室主任教授、森内浩幸さんは再開を歓迎しつつ、同じ失敗を繰り返さないように、再開後の丁寧な対応を訴えた。

Naoko Iwanaga / BuzzFeed

「一人も取り残さないように」と訴える森内浩幸さん

「ここまでとても長くかかりました。安全性や有効性の証拠は十分蓄積されており、これだけ時間が経ったことを政府だけでなくアカデミアもメディアも反省しなければなりません」

「再開後に大事になるのは、誰一人取り残さないことです。接種の機会が奪われてきた人へのキャッチアップ接種だけでなく、『ワクチンのせいだ』と思って接種後の体調不良に苦しむ人は、再開後も接種の数が増えれば一定数出てくるかもしれません。そういう人たちのことも取り残さないできちんと対応し苦しみを和らげていくことが、一人ひとりの健康のためにもワクチンへの信頼を高めるためにも必要です」

Contact Naoko Iwanaga at naoko.iwanaga@buzzfeed.com.

Got a confidential tip? Submit it here