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HPVワクチン接種率を上げるには? 1%未満から7%近くまで上げた富山県の工夫

実質中止状態が続いているHPVワクチン。命を守るために必要だと、地道な努力で接種率を上げてきた富山県の工夫とは? 産婦人科医で富山県議会議員の種部恭子さんが講演しました。

子宮頸がんや中咽頭がん、肛門がんなど様々ながんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)。このウイルスへの感染を防ぐのがHPVワクチンだ。

自民党の「HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟」(細田博之会長)は12月17日に会合を開き、富山県議会議員で富山県医師会常任理事も務める産婦人科医の種部恭子さんが、接種率を上げるための取り組みを紹介した。

Naoko Iwanaga / BuzzFeed

自民党の議員連盟で講演する産婦人科医で富山県義でもある種部恭子さん

HPVワクチンは小学校6年生から高校1年生までは無料でうてる定期接種となっているが、国が積極的にお勧めするのを差し控えるように自治体に通知してから7年以上が経ち、実質中止状態となっている。

種部さんは、接種率1%未満の状態から、富山県全体では6.69%、富山市では12.21%に向上した実績を紹介しながら、「地方自治体でもできることはたくさんある」と、各自治体に動き出すよう訴えた。

講演を詳報する。

救えたはずの命が1日3人

接種率は2000年度生まれの女の子たちからはほぼ0に近い状態になったということです。大阪大学の上田豊先生の試算によると、接種率が下がったことによって、1日あたり3人の命が失われています。

種部恭子さん提供

大阪大学の上田豊さんが出した推計

積極的勧奨の再開がやはりゴールだと思っています。しかし、それまで待っているわけにはいかないということで富山県は取り組んできました。

課題としては、とにかく一般の方はワクチンを忘れている方もいらしゃいました。

そして、「積極的にはお勧めしません」と書かれた厚労省のリーフレットを見たら、うってはいけないものという先入観が入ってしまいます。このリーフレットは10月に改訂され、ようやくこの言葉がなくなったのは大きな一歩です。

積極的勧奨ではないので、接種券が(自動的に)交付されません。それを接種希望者が保健所の窓口に取りに行くと、窓口の担当者は「こんな怖いものうっていいんですか?」とか「本当にうつんですね」と念を押されてしまう。

こうやって怖がらせることが余計、副反応を強くする可能性もあります。淡々と説明すればいいのに、自治体の保健担当者すらまだよく理解していない状況です。

また、医師でも接種に否定的な人がいて、かかりつけのお医者さんが『やめた方がいいんじゃないか』と言ってしまうと、二度とうたないことになります。

安心材料を得る情報がなかなかメディアの中では少なく、がんで亡くなる方がどれぐらいいるのか、(ワクチンが)それをどれだけ防ぎ得るのかという情報が届きません。

このように否定的な情報が多い中で、ワクチンの個別通知が自治体からやってきたとしても、情報を求めるとネットで検索すると最初に「副反応」という言葉が入ってきます。これでは接種できないだろうと考えます。

岡山県は素晴らしいリーフレットを先駆けて作りました。「お勧めしていません」という言葉も書いておらず、知事が自ら「これはうった方がいい」と考え、わかりやすいリーフレットになりました。

しかし、岡山県の接種率はあまりまだ上がっていないと聞いています。

では、富山県は何をするか。

種部恭子さん提供

富山で行った接種りつを上げるための戦略2つの柱

積極的勧奨をぜひやってほしいですが、まだ時間がかかる。その間、1日3人亡くなるのはまず止めたい。まずは定期接種であることを対象者に個別通知したいと思いました。

積極的勧奨をしても、これだけマイナスな情報ばかりの中でワクチンを果たして選択するだろうかという疑問もあります。かかりつけ医などから個別に背中を押してあげる必要があります。

お医者さんからの一言。特にいつも関係を持っているかかりつけ医から「絶対うった方がいいよ」と言われるのと、「いやあ、やめた方がいいんじゃない」と言われるのとでは違う状況になるわけで、お医者さんたちも頑張る必要があります。

これらを、両方からやっていく必要があると考えて進めてきました。

「わかりやすく怖くない」リーフレットを作成

まず、富山県は、医師会、小児科医会、産婦人科医会が一枚岩となってリーフレットを作りました。

種部恭子さん提供

富山県医師会などで作ったリーフレット

厚労省のリーフレットの改訂前で、昨年からこれを使って啓発をしようと協働で作りました。

怖くないことが大事だと思います。一般の方に伝える時に、厚労省の改訂後のリーフレットは本当に素晴らしいのですが、たくさん文章が書いてあって最後まで到達しない。

ですから、富山版はパッと見て1枚ということで、小児科の先生に作っていただきました。子育てて忙しいお母さんたちがパッと見て、1枚だけ見てなんとなく興味を持つ。メリット・デメリット両方書いた上で、でもいいことだよというメッセージをちょっと伝える。

日本脳炎のワクチンの定期接種が11歳にありますが、その時点で小児科の先生から「あともう一つ残っているからね」ということで、必ずこれを渡していただくという作戦を取りました。小児科の院内でも掲示をしました。

富山県は健康教育、性教育を学校でやっています。この機会に産婦人科医もこのリーフレットを伝えました。子どもたちに直接です。様々な性感染症があるけれども、子宮頸がんの原因となるHPVの感染、他にB型肝炎もそうですが、性交渉でうつるウイルスについては、ワクチンで防ぐ方法があるよと子どもたちに直接啓発してきました。

医師たちにも研修

また、小児科医会、産婦人科医会の先生の中には積極的でない人もいましたので、勉強会を開きました。富山県医師会が主催です。

ポイントは「子どもたちを怖がらせない」ということです。

そしてベネフィットと有害事象(因果関係有る無しに関わらず接種後に起きる問題)を伝えた上で、「もしそういう症状が出ても大丈夫。先生のところにもう1回戻っておいで」という一言が大事だと伝えました。

接種希望者は、市町村に接種券を取りに行かなければいけないのですが、そこで保護者や当事者は脅されるからね、ということをあらかじめ伝えておくということも伝えました。

「そこで脅されても、怯まずにもらってきてね」と医師から伝えないと、忙しいお母さんたちがもう一度、戻ることはないのです。

この取り組みだけで、接種率は6.69パーセントまで上がっています。

ちなみにこのワクチン研修会は日本医師会から「予防接種週間」のお金をいただいて行いました。

自治体がためらう要因、踏み切る要因

そして、次は個別通知で対象者に情報を届ける必要があります。定期接種の対象者に個別通知で届けるための努力を昨年から行ってきました。

これについては、厚労省が自治体に個別通知を送るよう促した10月の通知が出ても、実際にはやらない市町村がまだあります。

種部恭子さん提供

市町村から個別通知を送っていただくためには、市町村が何に躊躇しているのか、ということを考える必要があります。

自治体が個別通知に踏み切りにくい要因は、国の積極的勧奨が止められているということは一番大きな前提ですが、もう一つは市民の声をフロントで聞いている人の躊躇があります。

接種後の有害事象を訴えられて、いろんなクレームを受けているフロントの職員が疲れ果てているところがありまして、こういう市民がいるところは、なかなか個別通知の送付に踏み切りにくいです。

さらに、「ワクチン反対!」という議員さんがいると、議会で質問に答弁を書かなければいけないわけですから、市町村も苦しいことになります。

一方で、踏み切りやすい要因としては、医師会からの強い要望があるということです。アカデミアとして、「もしそういう副反応疑いがある人がいてもお支えします」と、医師会がしっかり後ろを支える必要があります。

そして市民からの要望があることです。

定期接種対象のお子さんが接種機会を逸したことによって、お母さんが「接種機会を失ったじゃないか」と訴え、動いた市がありました。そのように市民からの要望も大きいです。

そして、市町村議会の第一会派がワクチン接種に積極的だとやりやすい。

こういう要素を増やしていこうと取り組んでいます。

市町村は接種を怠ることの方が予防接種法に違反する

市町村としては、「積極的勧奨ではないのにやってもいいのか?」ということについて、末端まで正しい情報が伝わっていません。「(勧めるのは)違反ではないのか」と躊躇する方もいます。

これは予防接種法に明記されていることで、市町村長の責務は、いくら国が積極的勧奨を止めていても変わっていません。

市町村長は期間内に予防接種を行わなければいけない。そして、予防接種について「勧奨するものとする」となっています。積極的勧奨をしなくても、法律上は「勧奨する」と書かれているのです。

しかも、一般財源化もされているわけですから、当然、これはうつ責務があるとことになります。

ひっくり返して考えると、逆に打たないことは違反ではないかと思います。そして、勧奨しないこと自体も違反ではないかということになります。予防接種法は法律ですので、法律にしたがって実施するのは市町村の責務であると思います。

これは国会で質問してくださった方がいますが、「定期予防接種を実施しないことは予防接種法に違反する」というのが厚労省からの答弁だったということです。

ということはやはり、やらないといけない。

厚労省の通知には、積極的勧奨を差し控えると書いてありますが、その中でも「接種機会を確保する」と残してあります。

では、「積極的な勧奨」とは何なのかというと、

  • 接種券を対象者に送ること
  • 接種期間の前に個別通知をすること
  • 積極的に接種キャンペーンを進めること

ということです。

勧奨の中身については、市町村長の裁量ということです。

ということは、市町村長が自らの住民たちにこれを通知し、どのような手段を使うかを決めるのは市町村のやるべき仕事です。その市町村の住民の命を守る立場ですからやらなくてはいけない。これは今でも変わっていないと私は考えました。

医師会から地元議会の第一会派に働きかける

そこで、富山県はバリバリの自民党王国でありますが、医師会から、第一会派の自民党富山県議会議員会に対して、要望書を毎年送っていました。

そして、富山市医師会から、富山市議会の自民会派に、定期接種であることの個別通知をぜひお願いしたいということをずっと言い続けていました。

これをやることで、「医師会はそちらの方向を見ているんだ」という明確なスタンスを表明することができます。

ただ、これを支援団体として要望していても、与党会派がワクチンを推進しているのかどうか、後押ししてくれるかどうかは、市や県の担当者にはわからないわけです。

そこで議会質問をしていただく必要がありました。

富山県医師会は、自民党富山県議会議員会の中で勉強会をずっとやっていました。私が議員になる前です。ワクチンについて、そしてがんの予防についてということで、HPVワクチンについて勉強会をさせていただきました。

議会質問をしていただき、自民党は富山県でワクチンをやろうとしているのだというメッセージが伝わったと思います。色々な先生方に色々な角度からワクチンの質問をしていただきました。

しかし、実際にワクチンをやるのは市町村の仕事ですので、自民党の強いパイプを使って、富山市議会の自民党議員会、そして高岡市議会の自民党議員会、直接市長のところで、勉強会をたくさんしました。

そこでお伝えする中身は、「ワクチンはいいものですよ」という内容だけではありません。当然それも話しますが、子宮頸がん基礎知識や、検診とワクチンの予防の違い、「有害事象」と「副反応」の違いーー。

予防接種の責務を止めたら... 逆に損害賠償請求を受ける可能性もある

そして、一番伝えなくてはいけないのは、「機能性身体症状」で接種後に様々な症状を訴えた方たちがどうなっているのか、これは治るのかということです。何をしたらいいのかという出口が見えていないと思いますので、この説明をします。

有害事象を訴える人から、直接、陳情を受けるのは市町村議会の議員さんたちです。住民から「こんな症状が出ているのにどうしてくれるのだ?」という声を一番地元で聞いていらっしゃるのも、市町村議会の議員です。

ですから、こういう方たちにこういう陳情を受けたらどうしたらいいのかをお伝えするのが大事だと思いました。

そこで、(接種後に訴えられた症状を診る)「痛みセンター」があり、国による補償もちゃんと受けることができる、治療ができますとしっかりと伝えました。

そして、もう一つ、予防接種法上、市町村は接種する義務があるわけですから、この責務を止めるということは、うつ機会を失った方たちから「あの時教えてくれなかったじゃないか」という損害賠償請求を受ける可能性があります。

その責任を持って質問をしてほしい。人の命がかかっている話だということで、質問するときはしっかりと調べて質問していただきたいと伝えました。

「副反応」の訴えにどう対応するか?

まずはこの「機能性身体症状」について、具体的なことを伝えました。

種部恭子さん提供

名古屋スタディの結果。接種していない人にも症状が出ていることが明らかになり、ワクチンと症状の因果関係を否定する研究結果となっている

有名な研究に「名古屋スタディ」の内容を伝えました。ワクチンを接種した人と、接種していない人でどのような症状があって、どのぐらい(ワクチンと)症状に関連性があったのかを調べた大規模研究です。

この研究について、議員さんには、「こんな症状を訴えて、皆さんのところに陳情にきますよ」と伝えました。

例えば、「計算できなくなった」「漢字が読めなくなった」「歩けなくなった」。こんな方たちが、ワクチンと関係あるのではないかということで、助けてくださいと言って議員のところにおいでになる。

ただ、青字部分の症状は、ワクチン接種者の方が有意に低かったものです。つまり、ワクチン接種の有無とこの症状には因果関係がないということですが、因果関係がないだけではなく、ワクチンをうたなかった子にもこれだけの症状のある人がいたということです。

それならば、議員としてやらなくてはいけないことは、こういう方たちも含めて、丸ごとちゃんと面倒をみることです。当然、この方たちの治療にも関わるし、診療体制を整えてあげるのも責任でしょうと考えました。

たとえワクチンをうとうがうつまいが、こんな子たちがたくさんいたのかということの方が私はずっとショックでした。この子たちを救済する、そして治療する、診断を確立して治療法を確立する。そんなことをこれからやらなければいけないと思いました。

「機能性身体症状」とは?

この「機能性身体症状」について私も勉強しました。かなり古い文献がたくさん見つかりました。

歩けない、震える、立てない、脱力、頭が痛いーー。

器質的にはお医者さんが検査をしても異常がないと言われたりするかもしれないですが、本当に日常生活で困っておられます。

こういう方たちは、様々な診断名がついています。

ただ、診断名をつけられると、当事者の方たちは「こんな言い方をされた」とショックに思うことが多いと思います。「こんなに辛い思いをしているのに『ヒステリー』と言われたくない」「『心因性』と言われると自分の心が弱いと言われたような気がする」。その気持ちは当然のことです。

ですからワクチンと関係あろうがなかろうが、こういう症状に対する診療体制を作る必要があると思っています。

ベトナム戦争からの帰還兵で、入院している方でこういう症状を起こすことがあるという報告もあります。

つまり、こういう症状がある方たちはもともといらしたのだと思います。私たちが目にすることがなく、この方たちに何の救済もしてこなかったということではないかと思いますし、ちゃんとした診療を確立する必要がある。

こうした症状について、HPVワクチンとは関係ない古い論文を見ますと、医学的に説明がつかないような症状であっても、様々な治療をやると半分ぐらいは良くなっている。変わらない人も40%ぐらいいる。悪くなる人も中にはいると報告されていました。

また、治った人と治らない人では何が違うのかという解析もされています。

その後の経過がいいのは、診断が早かった人、なぜか診断前に結婚したり離婚したりしたというわけのわからない要因もありますが、社会環境の影響、変化は大事なのだということです。

そして、経過が悪かった要因としては、検査で原因がわからないような非器質性の病気であることに対しての強い怒りです。こんなに大変な思いをしているのに、大したことないと言われたり、関係ないと言われたりすると、余計症状を悪化させます。

診断の遅れも良くない。そして、訴訟というのはもっと悪いということです。怒りの矛先を、訴訟に持っていくのではなくて、ちゃんと診断体制を作ってあげることが大切ということになります。

接種後の症状 診療体制を改めて強化して...

HPVワクチンの有害事象の経過について厚労省研究班の牛田班の研究報告を見ますと、認知行動療法によって73%は良くなっています。

全体で症状が変わらないのが20%。症状悪化が9.8%ということです。症状が消失した人が多いということになります。

早く診断し、早く治療につなげると、回復することが十分に考えられるということです。信頼できるところに早く受診していただいて、その費用ぐらいは何とか面倒をみてあげる。それは国の仕事ではないかと考えます。

その治療機関でちゃんとした治療を受けて、これが(ワクチンに)関係があるかないかを言うのではなく、関係があろうがなかろうがちゃんと診ましょうというのが大事だと思います。

そこで、実はこういう体制を取っていたよねと思い出しました。この問題があった時に、日本医師会に診療のマニュアルを作っていただきました。そしてそれにのっとって治療する痛みの治療センターを各都道府県に設置しました。

協力医療機関を作り、こういう症状が出た方をちゃんと一つの医療機関に集めて、疫学研究も兼ねて、どんな風に治療をしたら良くなったかを集学的にやっていきましょうという診療体制を作っていたのです。

ところが、これを作ろうとした矢先に訴訟問題があったりして、地方ではきっちりと稼働していないのではないかと思います。

今、これを改めて強化していただきたいと思います。当然、医師会がやるべき仕事かと思いますが、もう一度体制を作り、個別通知を送り、接種した人が増えたのであれば、因果関係があってもなくてもどこに行けばいいかわかるようにする必要があります。

そしてこれを地方の、特に市町村の議員さんたちにお伝えする必要があると思います。

個別通知に反対するなら、将来、責任を追及されることも考えて

もう一つ、議員勉強会で伝えたことがあります。

種部恭子さん提供

個別通知に反対することもリスクになる

定期接種である予防接種の個別通知をしなかった場合、有害事象とされた症状は「副反応」とは言えない状況にある中で、通知をしないという「不作為」に対しては、市町村は将来、損害賠償請求を受ける可能性があると思っています。

今回は厚労省が個別通知を行って良いという通知を出していて、市町村の責務でありますから、当然その可能性はあると思います。

逆に、個別通知を行うことで訴えられることはあるかというと、それはないです。予防接種法に書いてありますので。市町村長の責務でありますから、当然やっていただいた方がいいということになります。

これに対して、「反対」とする議会質問はしてほしくないと伝えました。

個別通知を止めようとする議会質問を議事録に残しますと、将来、「うたなかったためにがんになったじゃないか」という方が、「誰が止めたのか」と調べた時に、議事録は残っています。何十年経っても残っています。

それだけの責任があるという思いで議会質問をしてほしいと思っています。

一つの例は、旧優生保護法の問題だと思います。

あの当時は誰もが大事なことだと思って進めていました。しかし、時代は変わり、国民みんなでこの問題を考えようということになったわけです。

そんな時代がもしかしたら来るかもしれない。だから(HPVワクチン接種後の症状についても)、科学的に副反応とは明確には言えない現時点で、自分の意見を述べていただくなら責任を持っていただきたい。そう議員の方にお伝えしました。

また、自治体の担当者も同じ温度で進んでいただく必要があるので、富山県医師会主催で、全ての市町村担当者に来ていただいて研修を受けていただきました。

目的はただ一つ。

接種券をお渡しする時に、「本当にいいんですね?」ということを言わないでください、そんなこと言ったら許しませんよと医師会が力を入れて言う。二度と脅しをかけないでくださいと伝えました。

そして、医師会員には、有害事象があっても、見捨てることなく、「ぜひ私たちのところに来てください。私たちは接種した責任を持って、それなりの医療機関にちゃんとご紹介いたします」ということを言ってくださいと説明しました。

「そういう状況になっているので、ぜひ勧めてください、富山大学が受けてくださいます。そちらでしっかり診ますからつないでください」

かかりつけ医も窓口で色々言われると、診療が止まってしまうわけです。それがちょっと怖いよねと思うと、(接種に)二の足を踏んでしまうわけですから、(接種後に症状が出たら)痛みセンターに集約すれば、かかりつけ医の気持ちも楽になるということです。

これも日本医師会の「予防接種週間」のお金を使わせていただきました。

個別通知を全県でスタート

そして、1枚紙で作った富山県医師会のリーフレットで周知をしてくださいと伝えました。

この頃は、まだ厚労省のリーフレットは改訂前でしたから、これを使ってくださいとお伝えしました。

10月に厚労省で個別通知OKと通知を出していただく前の今年4月の段階で、富山県医師会が作ったリーフレットで個別通知をしているところが6市町村。接種対象であることを学校で配布したところが3市町村。厚労省のリーフレットを使ったのは5市町村だったのですが、最後、やらずに残っているところは黒部市というところでした。

ここは副反応を疑う人がいらっしゃる自治体でした。大変な思いをされて生活していると思いますが、その方が市の窓口で、「助けてくれ」と言ってらっしゃるところだったので、市長さんも何とかしてあげたいという思いでおられました。

だけど、「うちたい」と思っている人に情報を伝えることが一番大事なことですから、「副反応疑い」と言っている方については富山大学でちゃんと診ますからということを申し上げて市長にお願いしました。

それで、今年度中に、黒部市も送ることになりました。ついに15市町村全県制覇ということになりました。今、全市町村で個別通知を開始しました。

種部恭子さん提供

富山県や富山市では接種率が上昇している

富山県の接種率は、対象者の親子に声かけをするだけで6.69%に上がっています。富山市は、特に声をかける医師が多いということもありまして、12.21%まで接種率が上がりました。

これは、小児科医の声かけだけで上がったものであり、この後、対象年齢の方に個別通知を送っていますので、さらに上がっているということです。

まだ確定的な値は公表されていませんが、ワクチンの売れ行きを見る限りでは、おそらくこの4倍ぐらいになっているだろうということです。とても期待しています。

うち損ねた人へのキャッチアップも

もう一つ大事なのは、うち損ねてしまった人の「キャッチアップ接種」です。

これだけ個別通知でお伝えする機会が増えたにもかかわらず、情報が得られなかったためにうてなかった人の救済をする必要があると考えております。

そして、個別通知でお知らせしても「やっぱり怖い」という人はいるのではないか。接種券を取りに行く手間もなかなか面倒なものです。やはり、積極的勧奨をしていただきたい。

私たちにできるのはこれぐらいしかないということで、接種機会を逃した20代の女の子たちが富山県議会に請願を出してくれました。キャッチアップ接種に対して、経済的な負担をという請願です。

この中の何人かはお母さんがシングルマザーです。「私はこのワクチンを学校で学んでうちたいと思ったけれど、お金がなくてうてません」ということで請願を出しました。これは全会一致で県議会は採択しました。こういう子たちが実際に出てきているということです。

その時知っていたらうったという人がいるわけですから、その責任は大きいのではないかと思っています。

さらに、富山県議会は意見書を出しました。定期接種の機会を失った方たちに対して経済的な負担軽減措置と財源の確保。そして有害事象に対する診療体制を今一度、強化していただきたいということです。全会派一致で採択しました。富山県はこれにみんなで取り組むという決意だと思っています。

この先が本当に楽しみです。

富山県は地味な県ですが、就業率が非常に高いところで女性の70%が働いております。福井県が日本一女性の就業率が高いのですが、富山県は2位です。

働いているお母さんたちが休みを取って、平日昼間に市町村の窓口に接種券を取りに行くのはとても大変です。この負担を取ることなしに女性が働くのは難しいことですので、やはり積極的勧奨の再開を強く求めたいです。

地方自治体での取り組みを紹介しましたが、これは富山県だけでやっているのは良くないことです。全国どこでも同じ取り組みをやっていただくことで、せっかく国から個別通知をやって良いとなったわけですから、地方に届くようにご協力いただければと思います。


Contact Naoko Iwanaga at naoko.iwanaga@buzzfeed.com.

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