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自民党のHPVワクチン議連 文科省の「HPVワクチンは薬害」と医療者の卵に教え込むかのような通知に申し入れ

文科省がHPVワクチンを薬害と主張する団体の要望書を添付し、医学系大学に薬害の授業を行うよう通知していた問題。自民党のHPVワクチン議連は、訂正を出すよう永岡文科相に申し入れをしました。文科省の姿勢を強く批判しています。

文部科学省が、医学部など医療系の教育課程がある大学に対し、HPVワクチン接種後に訴えられた症状を「薬害」と主張する団体の要望書を添え、「薬害被害」について学ぶよう通知を送っていた問題。

問題を重くみた自民党の「HPVワクチン推進議員連盟」の3役である会長の田村憲久衆院議員、幹事長の三原じゅん子参院議員、事務局長で医師でもある三ッ林裕巳衆院議員は11月21日、文科省の医学教育課に通知を見直すことを求める申し入れを行った。

永岡桂子文科相が対応し、「そういう状況になっているとは知らず、配慮が足りないことがあり誠に申し訳ない。すぐ訂正文を出させます」と回答したという。

文科省「HPVワクチンは薬害」と将来の医療者に教えるかのような通知を送付

まず経緯を振り返ろう。

子宮頸がんなどを防ぐHPVワクチンは2013年4月に、小学校6年生から高校1 年生の女子を対象に公費でうてる定期接種に位置付けられた。

しかし、接種後に体調不良を訴える声が相次ぎ、厚労省は同年6月、積極的に勧めるのを一時中止するよう求める通知を自治体に出した。

被害を訴える人の一部は国や製薬会社を訴え、現在も訴訟は続いている。

文科省の通知に要望書が添付された「全国薬害被害者団体連絡協議会」には、この「HPVワクチン薬害訴訟全国原告団」が加盟している。文科省はこの協議会が出したHPVワクチンを薬害とする要望書を添付して、毎年、医学教育系の大学に通知を送り、薬害を学ぶ授業を行うよう求めていた。

今年8月24日に提出された要望書も、HPVワクチンを「薬害」と位置づけ、「学校現場においてHPVワクチン接種を勧めるパンフレットやポスターの配布等の広報をしないよう要望します」などと求めている内容だった。

厚労省はHPVワクチンを積極的に勧めることを9年近く止めていたものの、定期接種から外したことはない。「薬害」と認めたこともなく、安全性の高いワクチンという認識で一貫している。

また、厚労省は昨年11月の通知で積極的勧奨を再開することを自治体に求め、自治体は今年4月以降、一斉に対象者に接種を促すお知らせを送り始めている。

うちのがした人も無料接種の再チャンスを与える「キャッチアップ接種」を始めており、大学生はまさにこのキャッチアップ接種の対象者に当たる。

文科省は、いわば厚労省と正反対の姿勢を通知で示していたことになる。

キャッチアップ接種の対象者であり、将来はがん予防のためにHPVワクチンを勧める立場に立つ医療従事者の卵たちに、「HPVワクチンは薬害だ」と教え込むかのような施策を続けていたかたちだ。

3点を要望「薬害ではないと徹底し、通知の訂正を」

この通知に批判の声を上げたのが、HPVワクチンの積極的勧奨を再開するための活動を2019年から続け、再開を後押しした自民党の議連だ。

文科省の認識不足が医学系の大学生の健康や将来の医療に与える影響を重くみて、今回の申し入れに踏み切った。

永岡文科相に手渡した要望書では、以下の文言で文科省の姿勢を強く批判した。

「文科省が発出した当該通知は、HPVワクチンの現在の取り扱いを踏まえず、医療系の大学に対して、HPVワクチンを推奨しないように求めている団体に講師派遣を依頼する内容になっており、国民の公衆衛生と福祉の向上という観点から、強く批判するものである」

その上で、「当該通知の訂正とともに、医療系大学の学生に対して、エビデンスに基づいた正しい情報提供を行うよう、以下のように要望する」として、以下の3点を要望した。

  1. 文部科学省は今年度の今後の通知で速やかに訂正を行い、HPVワクチンについてはあくまでも薬害ではないと徹底する。
  2. 来年度以降の通知について、HPVワクチンに関する施策を考慮した内容とすること。本年4月から小学校6年生の女子から積極的推奨が再開していることを教師、養護教員にも周知徹底すること。
  3. 医療従事者を養成する大学機関において、HPVワクチンに対するエビデンスに基づいた正しい知識の普及・啓発を行うよう、文部科学省から通知をすること。


この申し入れを受けた文科省の医学教育課はBuzzFeedの取材に対し、こう答えた。

「先日来から対応を検討しているところではあるが、本日要望をいただいたことを踏まえ、速やかに対応を検討する」

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