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HPVワクチン 国民に理解してもらえる情報提供を

厚生労働省の専門家による検討会「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会」で情報提供のあり方を見直し

国が積極的に勧めるのを「一時中止」して、既に4年半が過ぎたHPVワクチン。

このワクチンの安全性を検討してきた厚生労働省の検討会が12月22日に開かれた。接種後に生じた症状とワクチンの成分との因果関係を示す証拠はその後も報告されていないことが改めて確認された。

ただし、積極的な勧奨を再開するかどうかについての議論はなされなかった。

その上で、ワクチンの安全性や有効性について、これまでの情報提供の方法では国民の十分な理解が得られなかったことから、コミュニケーションの課題があることが指摘された。そこで、厚労省が作った一般向け、医療者向けのリーフレットを修正する案が示された。

月内に委員から意見を聴取した上で、来年早々にも更新するという。

「機能性身体症状」が医療者にも理解されず

この検討会では、HPVワクチン接種後に生じた痛みやけいれんなど多彩な症状の多くは、ワクチンの成分が原因ではなく、「機能性身体症状」であると整理している。

「機能性身体症状」とは、血液検査や画像検査などどんな検査を受けても、身体症状に見合う細胞や組織の異常が見当たらず、原因が特定できないような心身の反応のことだ。検討会では、注射自体の強い痛みや、注射に対する不安などがこの症状を引き起こすきっかけになったことは否定できないと説明している。

この「機能性身体症状」という概念が、これまでの情報提供の方法では、一般国民だけでなく、医療従事者にも十分理解されていないと指摘された。有効性や安全性の最新知見と共に、一般国民向け、医療従事者向けのリーフレットをアップデートして、情報提供のあり方を見直すことが提案された。

最新の研究や報告を追加する案

リーフレットは、(1)注射をうつ女子と保護者が事前に読むもの(2)接種直前に注射をうつ女子と保護者が読むもの(3)医療従事者向けと3種類にすることが提案された。

これまでは、注射をうつ女子向け保護者向け医療従事者向けの3種があった。

この日厚労省から出された修正案では、接種によって10万人あたり、(ワクチンをうっていなかったら子宮頸がんになっていたかもしれない)859〜595人が子宮頸がんになることを回避でき、(ワクチンをうっていなかったら子宮頸がんで死亡していたかもしれない)209〜144人が子宮頸がんによる死亡を回避できる、と期待されるという厚労省の推計 、ワクチンをうった後に報告されている様々な症状はうっていない人でも見られるという研究報告などが加えられた。

一方、接種後に報告された「副反応疑い」の数や、体調不良を訴える人に治療費や見舞金などを支払う救済制度(厳密に医学的な因果関係までは必要とせず、症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も含む)についても説明が加えられた。

医療者向けのものには、機能性身体症状について詳しい説明が加えられた。

委員からは、「厚労省のホームページは実際にどれだけ読まれているのかわからないので、改定されたことでどれだけ理解が進んだのかモニターすることが必要」「専門家が検討するだけでなく、一般国民に理解できるか文面をチェックしてもらうべきだ」「文科省や学会、医師会などと連携してより広く伝える努力をした方がいい」などの意見が出た。

感染症専門家は「当事者向けの工夫を期待」

傍聴していた国立国際医療研究センターの感染症専門職(看護師)の堀成美さんは、「当事者や保護者、医療者と、対象者ごとに情報提供をする努力がなされていることは評価できるが、海外の公衆衛生部門のように、予防接種による健康管理や病気の予防を励ましたり、啓発したりすることが強調されていないのは少し残念」と課題を指摘する。

その上で、「これから接種勧奨が再開されたときに、これまで接種を見送っていた人や不安に思っていた人をケアする内容にはまだたどり着いていないように思う。海外で作っているリーフレットは人気アニメのキャラクターや画像も多く使われ当事者向けの工夫が行われているので、今後、予防が必要な人たちに寄り添う情報提供が行われることを期待します」と話している。

訂正

一部表現を修正しました。

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堀さんの名前を訂正しました。


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