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HPVワクチン、日本でも男性、肛門がんにも適応拡大へ 厚労省の審議会が適応拡大を了承

これまで日本では女子にしか承認されていなかったHPVワクチンについて、厚労省の審議会は男性接種への拡大を了承しました。12月中にも厚生労働大臣の正式承認を受け、男子の任意接種が可能となります。

子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を防ぐとして、日本では女性のみが接種対象として承認されているHPVワクチン。公費でうてる定期接種も小学校6年生から高校1年の女子が対象となっている。

このワクチンの一つである「ガーダシル (4価ワクチン)」について、厚生労働省薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は12月4日、男性接種への適応拡大を了承した。

Jgi / Getty Images

とうとう日本でもHPVワクチンの男子接種が承認されることになる

今後、これを受けて厚生労働大臣が12月中にも薬事承認する。

HPVは男性もかかる中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんなどの原因ともなり、異性間、同性間は問わずに、性的な行為でうつし合うことがわかっている。

先進諸国では男女共に接種することが主流となっており、ようやく日本は世界標準に一歩近づいた。

肛門がんにも対象を拡大 男子も9歳以上に 

HPVには200種類ほど型があるとされ、性交経験がある人の8割が感染しているありふれたウイルスだ。

MSDが製造販売しているのは、HPVの中でも特にがんになりやすい「16型」「18型」、性器にできる良性のいぼである「尖圭コンジローマ」の原因となる「6型」「11型」の計4種類を防ぐ4価ワクチン「ガーダシル」。

このワクチンについて、MSDは今年2月12日男性にも適用を拡大するよう製造販売承認の一部変更を承認申請していた。

HPVは中咽頭がん、陰茎がん、肛門がんなど男性のかかるがんにも関わることがわかっており、国立がん研究センターによると、中咽頭がんは日本で年間約1800人が診断され、男性が女性の5倍近くにのぼる。

今回、子宮頸がんや尖圭コンジローマに加え、新たに肛門がんの予防についても適応が拡大され、男性は女子と同じ9歳以上を対象とした。年齢の上限は設けていない。

第37回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会資料より

定期接種化への流れ。薬事承認を受けたあと、定期接種化が検討され、様々な審議を経て公費接種の対象となる

薬事承認によって、任意(自費)での接種は受けた男性が副作用などを起こした場合も、公的な補償制度を受けられるようになる。

また、男子の定期接種化についても今後検討される。ワクチンの安全性や有効性、男子を定期接種とした場合の費用対効果が詳細に審議され、定期接種化するかどうかを決める。

MSD「厚労大臣の承認後、すぐ使えるようになる」

厚生労働大臣の承認を12月中にも受け次第、「今、女性用に市場に出ているものがすぐ使えるようになる」とMSD広報は話している。

「今後、厚生労働省により正式に承認されるのを待ちたい。MSDは日本の人々をHPV関連疾患から守ることを第一と考え、その予防に最大限の貢献ができるよう今後も務めて参ります」

この他、MSDは薬事承認を受けた9価ワクチンの国内販売も準備中で、「準備ができ次第、速やかに販売を始めたい」としているが、販売時期は未定だ。9価ワクチンは、定期接種化の議論が始まっている。

9価ワクチンについては女性だけが接種対象となっているが、男子接種の適応拡大を申請するかどうかについては、MSDは「未定です」としている。

世界ではおよそ80か国で男子も承認

Naoko Iwanaga / BuzzFeed

HPVワクチンの世界の最新動向に詳しいシャロン・ハンリーさん

がんの疫学研究者で北海道大学大学院生殖・発達医学分野の特任講師、シャロン・ハンリーさんによると、2020年12月1日現在、世界ではおよそ80か国がHPVワクチンの男性接種を承認している。

男性も公費助成の対象としているのは、35か国、4つの領域、1つの公国だ。

シャロン・ハンリーさん提供

ハンリーさんの調査によると、海外ではおよそ80か国で男子接種は承認され、およそ40の国・領域・公国で公費助成されている

ハンリーさんは今回、日本で男子への対象拡大も承認されたことを受け、以下のコメントをBuzzFeed Japan Medicalに寄せた。

現在、世界的にHPVワクチンが不足しているので、男性のHPV予防接種はとても複雑になっています。2018年10月、WHOの戦略的諮問委員会専門家グループ(SAGE)は、治療体制が整わず、緩和ケアを行っていない、世界の8割の子宮頸がん患者を占める低所得国の女子に接種する十分なワクチンを確保するために、男子のワクチン接種を一時的に停止することを推奨しました。

一方、先月から正式に始まったWHOの世界的な子宮頸がん根絶戦略では、15歳までにすべての女子の90%にワクチンを接種することが求められています。日本の現在の接種率は1%未満です。日本では男子接種を進めることで女子接種率も目標に近づけるのではないでしょうか。

国の定期接種に男子を含めることが重要だと思います。HPVワクチンの無料対象者が女子であろうが、男子であろうが、実際にワクチンを接種する人が増えない限り、この予防接種は効果を発揮できないからです。

よって、HPVワクチンへの国民の信頼を増すことが不可欠です。日本では、政府がHPVワクチン接種の積極的な勧奨を再開しない限り、HPVワクチンの信頼は回復し始めないでしょう。


Contact Naoko Iwanaga at naoko.iwanaga@buzzfeed.com.

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