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「基礎疾患を持つ市民に優先接種を」 がん患者団体が要望書を提出

名古屋市のがん患者団体10団体が、基礎疾患のある市民が優先接種を受けられるよう、名古屋市に要望書を提出しました。名古屋市は前向きに検討するとしています。

新型コロナウイルスワクチンで接種が優先されているのに、接種券が届かずに基礎疾患(持病)のある人が後回しされている問題。

名古屋市のがん患者団体10団体が6月29日、名古屋市に対して、基礎疾患のある人が早くうてるよう接種券を優先して送付するか、接種券なしでも接種できるよう求める要望書を提出した。

加藤那津さん提供

要望書を名古屋市の山田俊彦・健康福祉局長に手渡す加藤那津さん(左)

要望書提出の代表者で、再発・転移がんを治療中の加藤那津さん(42)は、自身が通院する大学病院に働きかけて接種券なしでも薬物治療中のがん患者が接種できるような仕組みを作ってもらった。

しかし、「自分だけが恩恵を受けるのではおかしい。全ての基礎疾患を持つ人が早く接種できるようにしてほしい」と要望書を出した。

一部の患者だけが恩恵を被るのはおかしい

がん患者ら基礎疾患がある人は、病気や治療により病原体に対する抵抗力が下がっていることも多く、優先接種の対象となっている。

国は新型コロナウイルス感染症対策分科会の議論を経て、以下の順番で優先順位を決めている

  1. 医療従事者等
  2. 高齢者 (2021年度中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた人)
  3. 基礎疾患がある人、高齢者施設等の従事者


名古屋市では、64歳以下の人は年代別に接種券を順番に送付するルールとなっており、基礎疾患のある人はその年齢枠の中で予約を優先されるのみだった。

当初、42歳の加藤さんの年代の発送日は8月10日となっており、「元気な64歳以下や、職域接種や大学接種の方が優先されるのはおかしい」と通院する藤田医科大学病院に働きかけ、薬物治療を同病院で受けているがん患者はうてるようになった。

加藤さん自身は6月22日に1回目の接種を受けられた。同時に2回目の予約も入れてほっとしたが、藤田には通っていない患者仲間から「私も早く受けたい」と言われるのが気にかかった。

「自分やこの病院に通っている人だけが恩恵を受けるのはおかしい。基礎疾患を持つ人はみんな困っているはずだ」

基礎疾患を持つ市民が優先してうてるように要望書を出すことを決めた。声をかけた地元のがん患者団体も賛同の名前を連ねてくれた。

名古屋市、「前向きに検討したい」

名古屋市は28日に、40代以下の接種券送付を早める日程変更を公表したが、それでも基礎疾患を持つ人はやはり年代の枠の中での優先でしか受けられない。

AYA(Adolescent and Young Adult、思春期・若年成人)世代と呼ばれるような若いがん患者らは障害者手帳などを持っていないと、8月2日の接種券発送になり、予約は8月以降になってしまう。

名古屋市新型コロナウイルス感染症対策室 / Via city.nagoya.jp

名古屋市の接種券の発送日

加藤さんは名古屋市でがん患者のピアサポート活動を続けているNPO法人ミーネット理事長の花井美紀さんに相談し、元名古屋市議や財政福祉委員会の議員につないでもらった。

6月29日に計10団体で渡した要望書では、優先的な接種券送付か、接種券なしでも接種できる仕組みを要望し、対象者がその情報を知ることができるよう周知を図ることを求めた。

  1. 基礎疾患がある患者が申告により優先的な接種を希望する場合、年齢に関係なく接種券を送付し、早期の接種を可能にする。
  2. 優先して送付が困難な場合は、申告者がかかりつけ医で接種券なしでも接種が可能にするか、かかりつけ医が接種登録機関ではない場合は、かかりつけ医の紹介により接種券が無くても接種登録機関で優先して接種できることとする。
  3. 上記対象者が上記の情報を入手できるよう、市は以上の周知を広く図る。
がん患者要望団体

基礎疾患のある人が優先接種を受けられるよう求める要望書

名古屋市新型コロナウイルス感染症対策室の原優介主幹は、BuzzFeed Japan Medicalの取材に、こう答える。

「30日の市議会でも自民党議員が質問する予定ですし、至急検討したい。前向きに検討したいと考えている。申請を受け付けて短時間で発行し、別途送る方法を考えたい」

名古屋市では、元々、高齢者の優先接種が始まった時に余剰が出た場合は、接種券がない64歳未満の市民も受けられると、5月21日に各医療機関に通知を出していた。しかし大規模接種会場や個別接種の通常の予約は接種券がないとできないことには変わりない。

「難病患者は6月28日に、障害者の方は7月2日に発送しますので、一定の基礎疾患を持った人はここでかなりカバーできるとは思っている。しかし、ここに入らない方について要望をいただいたと思っているので、よりその人たちの気持ちに寄り添った対応を検討したい」

「声を届けられない人のために行動を起こしたかった」

加藤さんはこう話す。

Naoko Iwanaga / BuzzFeed

「なかなか声を上げられない人のために行動を起こしたかった」と話す加藤さん

「通院する藤田医科大でも一部の患者しか接種を受けられないし、藤田に通っていない患者さんはその恩恵を受けられない。自分が受けられたからいいというわけではなく、若くて病気の人が受けられない現実があったので、なかなか声を届けられない人のために行動を起こしたかったのです」

「私は幸運なことに助けてくれる人がたくさんいる。その人たちの力をかりつつ、幅広く困った人が救われるようになればと思いました」

接種券なしでも接種を受けられる自治体も増えている。

「病気がある人はかかりつけ医があるので、そこで接種券があってもなくても安心して早めにうてるようになってほしい」と願う。

名古屋市は要望書を受けて、数日中にも方針を出す予定だ。

Contact Naoko Iwanaga at naoko.iwanaga@buzzfeed.com.

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