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子宮頸がんで亡くなった妻の想いを継いで 悲しみの連鎖をなくし、希望の種をまく

CancerXのサミットで開いたHPVワクチンのセッション。妻を子宮頸がんで亡くした渕上直樹さんは、一番の理解者を失うつらさと、同じ思いをする人が減るよう活動を始めたことを報告しました。

がんに関わる社会的な課題を、医療だけでなく、産官学など様々な分野の連携で解決しようと活動している「CancerX(キャンサーエックス)」のサミット「World Cancer Week 2021」。

CancerX

子宮頸がんで妻を失い、幼い二人の娘と共に遺された渕上直樹さん

筆者がモデレーターを務めた「HPVワクチン」のセッションの詳報第3弾は、妻のルミ子さんを子宮頸がんで失い、7歳の双子の娘と遺された渕上直樹さんです。

渕上さんは妻が自分や娘たちにとってどんな存在だったか明かし、自分たちと同じ思いをせずに済むよう始めた活動について語りました。

※岩永直子はこのシンポジウムでモデレーターを務めましたが、謝金は受け取っていません。

見つかった時は末期の状態 

うちの妻は2018年12月に初めて子宮頸がんの扁平上皮がんと診断されました。

残念ながら昨年9月25日に息を引き取りました。

渕上直樹さん提供

双子の娘が3歳の時の七五三で

当時、診断された時からステージ4Bという最も重いステージでした。遠隔転移をしていて、本当に絶望感を抱いて二人で毎日泣いていたことを今も鮮明に思い出します。

そこから始まった闘病と最期の看取りというのは、これほどつらいことが人生にあるのか、というものでした。

2年間の闘病の最期の7日間は、病院から家に帰ってきました。亡くなる前日と当日、親友が来てくれて話をしたのですが、その時も友達の悩みを聞いてあげてアドバイスをしてあげていました。

本当は話すこともつらいはずだったのですが、それをおしてアドバイスをするぐらい強い女性でした。

いきなり末期の状態で診断されたのですが、ずっと検診も行っていましたし、何人かの先生にも診てもらっていたのに、それでも見つかりませんでした。

珍しいパターンなのかもしれませんが、彼女が学生の時にHPVワクチンがあったら、どれほどよかったかと今でも思います。ただ、学生の時にワクチンはなかったのです。今は本当にいい時代になったなと個人的に思います。

「世界一の理解者がいなくなるのはとてもつらいこと」

世界で一番の理解者であって、愛する妻がいなくなるのはとてもつらいことです。

渕上直樹さん提供

娘たちのためにビデオメッセージを遺したルミ子さん

現在、HPVワクチンがどんどん普及していく中で、子宮頸がんを防ぐ方法ができているにもかかわらず接種率が低いというのは、将来、愛する人が亡くなるリスクをかなり低く見積もっているのではないかと思います。

HPVワクチンの副反応と訴えられた症状の衝撃的な映像を見られた方は、本当にセンセーショナルで不安に思った方もいるかもしれません。

比べることではありませんが、実際にがんで体が弱って、抗がん剤で立てなくなり、話せなくなっていくのを間近で見て、その方が僕自身は個人的にはかなり衝撃的なことでした。

できれば若い方から接種していただいて、検診も欠かさず受けてほしいと思っています。

毎年3000人の方が子宮頸がんで亡くなります。そういう方々が今後もまだ続いていくことを考えると悲しいなと思います。

7歳の双子の娘 「ママがいたらもっと楽しいのにな」 

双子の娘は今7歳です。元気に育ってはいるのですけれども、夜、「ちょっと怖い」と言ったり、遊んでいる時に「ママがいたらもっと楽しいのにな」と呟いたりします。

渕上直樹さん提供

本当に子宮頸がんというのは憎いがんです。子宮頸がんは「マザーキラー」と呼ばれていますが、30代、40代の方々が亡くなっていくと子どもの将来を見られないので、とても悔しいことだと思います。

僕たち家族以外のパターンもあります。

20代、30代で子宮を全て摘出して子どもを授かるのを諦める方や、孤独に闘病を頑張っている方もいらっしゃいます。そういう方々は他の人に話せずに病気と戦っているので、すごく悲しい状態にいます。

これをちょっとでも減らす取り組みができるなら個人的に活動し、ワクチンも広げていきたいなと思って、今回、オンラインで参加することになりました。

娘たちがうてる時期には社会が変わるように

渕上直樹さん提供

僕たちが味わった悲しみはいつか撲滅できると思っています。

子どもたちの未来のためにも、ぜひ皆さんで力を合わせて、ワクチンを男女共に接種できるようにしていきたいなと思っています。

接種することが不安になっている方もいらっしゃいますので、安全に、心配なくうてる社会にしたい。娘たちがうてる時期になったら、社会がそういう風に変わっていてほしいなと思います。

子宮頸がん、年間約1万人がかかると言われていますが、1万人プラス、家族、親、夫、子どもを含めると、本当にたくさんの方々が悲しみにくれています。

そういう声はメディアでなかなか届かないのであまり実感がわかないと思いますが、本当に悲しい出来事です。

そういう家族のためにも遺された子どものためにも、オンラインの子宮頸がん患者・家族会「恵ふぁみ」を立ち上げて、活動を進めているところです。

今はコロナの影響もあって、オンラインで会を開くこともできますし、オンラインで支え合うことも本格的にできるようになってきました。こういうものをどんどん活用して活動していきたいと思います。

現在の医療はITの進化と共にどんどん良くなっていっていますので、活動しながら最後にはがんを撲滅したいと思っています。

【渕上直樹(ふちかみ・なおき)】子宮頸がん 患者家族会「恵ふぁみ」発起人

2020年9月25日に子宮頸がんで最愛の妻を亡くし7歳の双子たちの子育てをしながら患者家族会立ち上げのために活動しています。妻は息を引き取る最期の日まで諦めず治療に向かい親友の悩みを解決しようとする人でした。

その想いを引き継ぎ、孤立している罹患者や家族や遺された子供たちのためにオンライン子宮頸がん患者家族会「恵ふぁみ」を医師・団体の支援を受けながら設立します。

Contact Naoko Iwanaga at naoko.iwanaga@buzzfeed.com.

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