広がる抗議活動を受け、米ミネアポリス市議会が警察組織の解体を表明

    今回の発表は、人種差別を抗議してきた人々が初めて手にする「勝利」となるのか。

    ミネアポリス市議会議員らは6月7日、人種差別や暴力行為について強く非難されていたミネアポリス警察を解体し、新たな治安制度を構築すると約束した。

    警察の拘束下で死亡したジョージ・フロイドさんの事件は、世界中で大規模な抗議運動を引き起こした。

    事件現場近くの公園で、拒否権に影響されない過半数(9人)の市議会議員が、ミネアポリス警察を「終結させるプロセスに着手する」と発表した。

    今回の発表は、抗議活動を行ってきた人々が初めて手にする勝利の証であり、刑事司法改革の転機となる可能性がある。

    米国の制度では、警察は郡や市など各地の自治体が運営している。ミネアポリス市の場合、ミネアポリス警察当局を監督する権限は、市議会にある。

    警察を「改革」する断片的な努力はこれまでのところ、警察の不法行為を食い止める上で効果をあげていないと市議会は指摘した。

    ニューヨークからロサンゼルス、そしてワシントンD.C.にいたる米国各地で、フロイドさんの死に対する抗議運動が発生し、警察への資金打ち切りを求める声が上がっている。

    ミネアポリスのリサ・ベンダー市議会議長は7日、公園に集まった人々を前に語った。

    「私たちは、ミネアポリス市とミネアポリス警察の有害な関係を終結させます。現在の警察活動のあり方に終止符を打ち、本当の意味で私たちの安全を守れるような治安制度の再建を約束します」

    「私たちが今ここにいるのは、あなた達の声が届いたからです。私たちが今日ここにいるのは、ジョージ・フロイドさんがミネアポリス警察に命を奪われたからです」

    「私たちがここにいるのは、ここミネアポリス、そして全米各都市において、既存の警察制度や治安制度が、コミュニティの安全確保につながっていないことが明らかだからです」

    ミネアポリス同様、米国では都市部の多くが市の警察活動を変える権限を持つ。

    しかし市議会与党の民主党地方組織の大半は、自分たちの都市での抗議行動を容認しながらも、警察への資金停止を求める声にはこれまで応じていない。歴史的にみると多くの場合、警察労働組合がそういった動きを妨げてきた。

    ミネアポリスのジェイコブ・フレイ市長も進歩主義的な民主党系だが、警察への資金停止と解体を求める昨日のデモ活動で資金停止対策を約束しなかったため、デモ参加者から非難を浴びせられ、退場を余儀なくされた。

    フレイ市長は「I Can't Breathe(息ができない)」と書かれたマスクを着用していた。

    市議会議員らは群衆を前に発表した共同声明で、予算編成を通じてミネアポリス警察の解体に向けた仲介的な措置を講じる他、今後数カ月かけて他の政策も実施すると述べた。

    また市立の学校、公園、その他の公共施設も、ミネアポリス警察との契約を打ち切る動きが強まっている。

    具体的に何がミネアポリス警察にとって代わるか、まだ決定いない。市議会は今後コミュニティに意見を求める意向だ。

    7日に集まった群衆はグループごとに分かれ、どういった形で新たに治安を維持していくかを議論していた。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。