「ブラックサンダー」の意外な取り組みと企業努力が「超絶ホワイトだった」と称賛浴びる。きっかけは「子どもの笑顔を搾取」の衝撃

    長らく幅広い世代に愛されている有楽製菓の人気商品「ブラックサンダー」。使用されているカカオについて、「すべて児童労働に配慮されたものに切り替わった」という報告がTwitterで話題になっています。どのように児童労働問題と向き合い、価格との折り合いをつけてきたのか。有楽製菓に問い合わせてみました。

    1994年の発売以降、手頃な価格と変わらないおいしさを長らくキープしてきた、有楽製菓のチョコレート菓子「ブラックサンダー」

    そんなブラックサンダーが行っていた、意外な取り組みと企業努力が注目を集めています。 Twitterでは「優しさもイナズマ級だ…」「ブラックサンダーと言うけど、超絶ホワイトさんだった」「価格を上げていただいても、 私は買い続けます!」など感心・共感する声が多数。

    BuzzFeedは取り組みを始めたきっかけや思いについて、有楽製菓に取材しました。

    話題の発端は、あるTwitterユーザーによる投稿。現在、ブラックサンダーに使われているカカオは全て、児童労働撤廃の対策がとられたもの(スマイルカカオ)に切り替えられており、上昇したコスト分は、生産性の向上や合理化、包装資材のスペック変更などのコストダウンによって、商品価格はそのままに据え置いている――という内容です。

    実は有楽製菓では、自社で使用するカカオ原料を順次スマイルカカオへと切り替えていく「スマイルカカオプロジェクト」に2020年から取り組んでいます。その成果として、2022年にはついにブラックサンダーに使用するカカオ原料が全てスマイルカカオに。さらに2025年末までには、自社で使用するカカオ原料を全てスマイルカカオへと切り替えたいとしています。

    安くて身近なイメージからは想像しにくい殊勝な取り組みは、Twitterがきっかけで大きな注目を浴びることに。一体、有楽製菓はなぜコストをかけてまで、スマイルカカオプロジェクトに取り組もうとしたのでしょうか。

    「子どもの笑顔を搾取して作られていることに衝撃を受けました」

    ――児童労働について、問題意識を持つようになったのはいつごろからでしょうか。また、取り組みを始めたきっかけについても教えてください。

    現当社会長の河合伴治が、2018年にとある講演を聞き、チョコレートに使用されているカカオ豆が「児童労働によって栽培・収穫されている」ということを知りました。子どもをはじめとする多くの方を笑顔にするチョコレートが、子どもの笑顔を搾取して作られていることに衝撃を受けました。

    その後NPO法人ACE社とのつながりを頼り、詳しい話を伺い、当社で何ができるかを考えるために、「児童労働問題を考える会」を発足。社内で本格的に検討をするようになりました。

    ――スマイルカカオプロジェクトを行うにあたり、通常のカカオを使用するよりもコストがかかったのではないかと思います。これまで価格を改定されずに販売されていましたが、どのような努力をされていたのでしょうか。

    児童労働対策をすることで増えるコストに関しては、生産性の向上や合理化によりコストダウンを図ってまいりました。本件でお客様にコストを負担していただくことは一切ございません。

    ――一方で先日「ブラックサンダー」の価格について、発売以来初めて値上げするとの発表もありました。この背景にはどのような事情があったのでしょうか。また、今後ブラックサンダーを販売していくにあたっての思いや、改めてお客様にお伝えしたいメッセージがありましたら教えてください。

    近年、原材料・包装資材の価格高騰や物流コスト等の上昇が続いております。当社では、品質を維持しながらこれらのコストアップを吸収すべく、経営の合理化や経費削減等の企業努力を図ってまいりましたが、従来の価格を維持することが困難な状況となりました。

    サービスレベルを落とさずに、調達・生産・販売のサプライチェーンを維持するために値上げを判断しております。商品を購入してくれるだけでなく原料生産者の方、当社の事業に関わる全ての方の笑顔を作ることができるよう努力を続けてまいります。