東大生YouTuberという異色の経歴で、瞬く間に人気チャンネルに登りつめたQuizKnock。クイズをメインコンテンツとし、視聴者に楽しく学ぶ姿を見せることで幅広い層にサポートされてきた。
4月に会社化したことでさらに活躍の場を広げつつあるメンバーに、BuzzFeedが取材した。

QuizKnockにとってYouTubeは広報ツール
ーー2017年4月にYouTubeを始めて、いまや登録者数100万人を超えるチャンネルに成長しました。当初はここまでの規模になると考えていましたか。
伊沢拓司さん(以下、伊沢): YouTubeチャンネルを始めたのは僕と福良さん。当時100万人を目指そうという話はしていたよね。
福良拳さん(以下、福良):まさか、というのが正しいのかわからないけど、最初はここまで伸びるチャンネルだとは思わなかったな。
伊沢:「QuizKnock」というクイズを専門としたメディアが他に類を見ないジャンルだったために、YouTube上でも先駆者がいない分野だった。そういった意味では、とても貴重な体験をさせていただいてます。

ーーそもそもどんな戦略で始めたチャンネルだったのでしょうか。
伊沢:うちは動画だけじゃないんですよ。QuizKnockという会社があって、Webサイトがあって、YouTubeがあって、アプリがあって、イベントもある。
会社全体の戦略として「YouTubeは広報ツール」なんです。でも、YouTubeはプラットフォームを間借りしているものだから、それを補完する存在としてWebサイトが必要というように、ウィークポイントを埋め合う形ですべてのメディアを運営しているんです。
なので、YouTubeの戦略としては「Webサイトだけをやっていては手に入らないライトな知名度を獲得すること」と「我々がクイズを楽しんでいる姿を見て、クイズの楽しさを知ってもらい、QuizKnock本来のWebコンテンツを見に来てもらうこと」。それが我々にとっての戦略です。
「東大生」という肩書にとらわれすぎないように
ーー動画タイトルに目立つ「東大生」と言う文字も含め、戦略のうちですか?
一同:明確な戦略ですよね。
須貝駿貴さん(以下、須貝):ただのインテリではなくて、「東大」っていうのはブランドなので大いに使おうと思っています。せっかく東大に入ったんだし(笑)

福良:あと、YouTubeチャンネルを始めたばかりの時はそんなに東大生YouTuberが多くなかったので、これは差別化になると思って付けていましたね。
伊沢:「東大生」というのは聞こえは面白いですけど、それに我々がとらわれすぎても困るなというか…。「東大だぞ、俺たちは」みたいに本心から思ってしまうと、エンターテイナーとしての軸がブレてきてしまいますよね。
「東大生」っていうのは冠で使っていますけど、我々が戦っている場所はなんでもありな場所なので、本心から思ってしまわないように心がけています。
ーーその肩書にとらわれすぎないということですね。
須貝:積み上げてきた道は大事だと思いますし、効果的に「東大生が挑戦」って使おうとは思っていますね。
伊沢:あと、変な嘘はつかないようにっていうのはすごく気をつけてやっていますね。
須貝:本当に「東大生」が売りになるのか、いつも1回考えますよね。
福良:動画で「東大生」と付けなくていいものは付けてないです。
河村拓哉さん(以下、河村):最近では「クイズ王」もたまに動画タイトルに入っていたりします。
一同:確かに!(笑)

「クイズは自分からは出せない一発ギャグだ」
ーー例えばふつうの社会人や学生に「クイズを学ぶと仕事面でこんな良いことがあるよ」といったメリットなどはありますか?
伊沢:具体的にはないんですけど、知識はすべての喜びを支配していると思っているので、何かに役に立つと言うよりは、持っておけばいつか使えるんです。
僕がよく引用する言葉で、メイプル超合金のカズレーザーさんの言葉があるんですが、「クイズは自分からは出せない一発ギャグだ」とおっしゃっていました。
なので、「ここで使える!」ということではなく、もっとラフな感じで我々を見てもらえればなと思います。そもそも僕たちは、使うためにクイズを勉強しているわけではなく、楽しくやっているので。
須貝:説教くさくなってしまうけど、結局「教養」みたいなことなんです。学校の勉強とかも「何に使うの?」と言われたら難しくなってしまうかもしれない。
でも知っていたからわかるギャグがあったり、旅行先の知識を持っているとより楽しかったり、そういうことがあるんですよ。明確に突然に役に立つことはたぶんないですね。
例えば、焼肉を食べに行って肉の部位に詳しかったら豆知識を披露できるとかありますけど、これが「明日焼肉に行くから焼肉について覚えるぞ!」という発想にはならないじゃないですか。
そういう意味では、知識を持っていると人生は楽しくなると思いますよ。

「クイズノックで生きていくんだ」という覚悟
ーー2019年4月にはQuizKnockを会社化しました。メンバーの心境に変化はありましたか。
伊沢:会社にする上で、社会的な責任を取らなくてはいけないという変化はありました。そういう意味では覚悟は決まりましたね。「QuizKnockで生きていくんだ」っていう。
逆に言えばそれ以外のことはあまり変わっていないです。組織体制もそんなに変わったわけじゃないし、メンバーの立ち位置も変わっていないです。
ただ、我々が社会に対して公約をしたような形で覚悟を決めて会社化した、という感じですね。
須貝:会社になった時点ではあまり気持ちの変化はなかったですが、会社なった後にいろいろなお仕事をさらに頂くようになりました。
そういう意味では、2019年は特にお仕事が増えた年でした。例えば、中学校や高校へ講演に行くのを経て気持ちは変わっていきました。
ーーそれはどんな変化でしたか?
伊沢:学ぶことがたくさんありましたね。
須貝:我々は誰かに影響を与えやすい状況にいるじゃないですか。チャンネル登録者数が100万人っていうのもあって。
その中で、どう影響を与えていくか、与えないかということを含めて、会社化というよりはQuizKnockが大きくなってきたことに対して心境の変化はあったかなと思います。
伊沢:会社にしたことによって生まれた信用で、実際にYouTubeを飛び出して学校とかに呼んでもらう機会が増えて、現在週1〜2で全国の学校を周っていますが、画面越しでは出会えない人たちと会う時って常にアウェイなんですよね。
全員がQuizKnockを知っているわけでもないので、YouTubeとはまったく違ったコミュニケーションをその場で学べています。
そういう意味では、どんどん他のYouTuberより強くなっている気がしますね。いろいろな場面で戦えるぞ、という自信はついてきました。

学ぶことは楽しいんだって伝えたいーー。
ーーQuizKnockでこれからどんな動画を作っていきたいですか。見た人に、どう思ってもらいたいですか。
伊沢:動画に学びがあればいいなと思います。
渡辺航平さん(以下、渡辺):学びがあって、しかも面白いと思ってもらえるのが単純に一番いいんじゃないかなと思います。
山本祥彰さん(以下、山本):学ぶことは楽しいんだなっていうのを伝えたいですね。
須貝:別に「学んで欲しい」って思っているわけではなく、楽しくてもっと調べようかなっていう気持ちが自然に芽生えてほしいなと思います。
「勉強したわ〜」っていうより、「あ〜今日も面白かったな〜。そういえば世界一高い山はエベレストだったんだ〜」ぐらいでいいと思います。
楽しい気持ちの中でいつの間にか覚えていたというふうになってほしいですね。まずは楽しんでほしいです。
山本:勉強をすることをゴールにしてほしくないですね。
伊沢:僕たちは、勉強じゃなくても何かができるようになってくれればいいなって思っています。
「この問題はQuizKnockの〇〇に勝てた!」みたいなコメントがくるのが理想ですね。それは誰かが何かをできるようになった過程だと思います。
そして、できる!楽しい!って思って、実生活や他の世界に興味が広がっていってくれれば、僕たちの会社としての目的は達成されていますね。
福良:僕としては、実際に出たクイズを覚えて知識にしてもらうというのも1つの形として嬉しいんですけど、こんなに勉強したら自分の知らない楽しみ方があるんだなっていうのが伝わるだけでも嬉しいです。
例えば、学校の勉強をしてみようかなとか、資格の勉強をしてみようかなとか、新しい趣味を始めてみようかなとか、そういうきっかけになれたら嬉しいなと思います。

YouTubeのチャンネル登録者数が100万人を突破したQuizKnock( @QuizKnock )さんにインタビューしました!🎤 Q.自分にとってのQuizKnockを一言で表すと?