1年を超えた自粛生活。コロナ禍で「内向的」な人々に起きた変化

    「自分が思っていた以上に、私には人との交流が必要でした」

    「私は自分のことを完全に内向的な人間だと思っていて、1人で過ごすのが好きです。それなのに、昨年は今まで経験したことがないくらい、クラブやバーに行きたいと思いました」

    そう話すのは、アメリカ・ニューヨーク在住の教師、アレックス・ディレーニーさん(28)です。

    「コロナ前は絶対に行かなかった場所なのに。でもおもしろいのは、こういう場所に実際に行けるようになったら、おそらく行かないという点」

    「これって、とても興味深い感覚です」

    コロナ禍が「人付き合い」を再考する機会に

    BuzzFeed Newsは2月、「コロナ禍でどんな影響を受けたか教えてほしい」と「内向的」だと自認する読者に呼びかけました。ディレーニーさんは、それに応じてくれた数千人の1人でした。

    内向的な人々は、「ひとり時間」を満喫できます。彼ら/彼女らにとって、人と距離を取ることや隔離が奨励されるコロナ禍は、逆説的ではあるものの、ほっとひと息つけるものだと思われがちです。

    でも、そんなに簡単な話ではありません。

    回答をくれた人の多くが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で人と交流したいという思いが減退したという意見でした。しかし時にはそれなりの時間、人間との関わりがほしい、それどころか必要だと気づいたという人もいました。

    例えば、ウィスコンシン州ハートランド在住のジェイン・エクルズさん(24)。

    「お店で誰かとばったり会っておしゃべりを始めて、お互いのいとこが同じ大学に通っていたと知るのがどんな感じか、忘れかけていました。こんなちょっとしたことが懐かしい」とエクルズさんは言います。

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    一口に内向的といっても、人それぞれです。つまり、人との付き合い方が同じ人は誰もいないということ。

    心理学者のジョナサン・チーク博士は昨年、雑誌The Cutに、内向性には少なくとも4つ(社交系、思考系、不安系、抑制系)のはっきりとしたタイプ、もしくは「カラー」があると話していました。

    社交系内向型の人は、大人数よりも少人数の環境を好む傾向にあり、1人で過ごすのも気になりません。

    不安系内向型は、不安のせいで社交を避ける傾向にあります。

    一方で思考系内向型の人は、人と交流する際、内省的になりがちです。

    抑制系内向型の人は、人付き合いの場で控えめになってしまいます。

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    アメリカにおける新型コロナウイルスのワクチン関連では、良いニュースがありました。バイデン政権は先ごろ、アメリカ全国民が接種を受けるのに十分な回数分が、5月末までに確保できるはずだと発表したのです。

    生活はまもなく通常に戻るのではないか…と期待を寄せる雰囲気が、はっきりと漂っています。

    「以前は、できるだけ人と交流しなければ、というプレッシャーを感じていました」

    内向的な人は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)をきっかけに、自分の人付き合いについてこれまでより深く考えるようになりました。

    確実ではないものの、世界が活動の再開へと少しずつ進む中、内向的な人の気質も変わるでしょう。実際に物事が進み始めたら変わろう、と少なくとも考えてみた人も中にはいるようです。

    誰もがそう思ったわけではありませんが、回答を寄せてくれた人の中には、今までよりも会話好きになりたいという結論に達した人もいました。また、社交の時間とひとりの時間との健全なバランスをもっと取るようにしたいと考えた人もいます。

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    「以前は、できるだけ人と交流しなければ、というプレッシャーを感じていました」と話すのは、ミシガン州在住のアンドレアさん(41)。

    「度重なる大人数での交流と気まずい世間話で、疲れ果てていました」

    夫と暮らしているアンドレアさんは、パンデミックの前は週に3〜4回出かけていたそうです。2~5人の少人数で集まるのが好きで、それ以上だと「壁の花」になってしまうので「撤退」すると言います。

    「今は意識的に人付き合いをしています」

    コロナが明けたら…。人付き合いの再会を心配する声も

    イリノイ州ベルビルに住む大学生のケンジーさんも、似たような思いを抱えていました。

    パンデミック前は、「人付き合いメーター」が振り切れてしまうことがよくあったと話します。友達と毎日のように会い、授業へ行き、課外活動にも参加し、さらには付き合いで週1〜2回外出していたからです。

    「週末はほとんど、自分を充電するためだけに帰宅するようなものでした」

    今のケンジーさんは、友達とリモートで週2〜3回おしゃべりして、毎週土曜日にはゲームをするためにオンラインで会っています。

    「ゲームをしなくても、友達とは会っています」

    しかし対人距離を取って1年間過ごした今、ケンジーさんがパンデミック前の人付き合いの状態に戻るには、調整が必要なようです。

    「友達にはすごく会いたい。そこは誤解してほしくないんだけど、1日中人に囲まれて過ごすと考えると、精神的に疲弊しそう」

    物事がまた動き出せば、人付き合いに必要な元気もいくらかは戻ってくるだろうとケンジーさんは考えているそうです。

    「Zoomにしても直接会うにしても、人付き合いに必要なスキルはすべて失ってしまったのではと感じることがあります。30分くらいしたら、なんとなく感覚が戻るのですが」とケンジーさん。

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    人付き合いのスキルがパンデミック中に委縮してしまったと感じる人は、他にも多いようです。

    「人と付き合う能力を取り戻さねばと考えるだけで、気が滅入ります。今の自分にそんな能力があるのかも、よく分かりません」

    コロナが終息したら、「自分の安全地帯から飛び出したい」

    パンデミック中、内向性が人によっては素晴らしい利点になることが証明されました。しかし中には、将来的にはもっと社交的になろうと考えた人もいました。

    カリフォルニア州リバーサイドに住むエミリー・ラリンさん(28)は、思っていた以上に自分は人との交流が好きだと気付きます。

    「もっと若かった頃は、大事なことは他人に頼らず一人でやるという考え方でした。仕事に関しては特にそうです。私は内向的だし恥ずかしがり屋なので、弱い自分になって人に助けを求めるのは、いつも苦手でした」

    ラリンさんは、とりわけキャリアに関して遠慮がちになってしまう自分の一面を、パンデミックで知ったそうです。

    コロナが終息したら、「自分の安全地帯から飛び出す」よう心がけたいといいます。でも、少しずつ、とラリンさんは加えます。

    「心の奥はまだ内向的な人間ですから」

    「自分が思っていた以上に、私には人との交流が必要でした」

    マリナさん(28)はこの1年で、ニューヨーク市からパートナーと共にニューメキシコ州のサンタフェに引っ越しました。

    パンデミック前は通常、週3〜4回出かけていたそうです。もっと人と関わりたいという思いは大きくなり、「波のように」やってくる、とマリナさんは話します。

    夏の間過ごしていたニューヨーク市は、マリナさんとパートナーにとって最高でした。外出規制が解かれ、外食したり友達と過ごしたりできました。

    しかしニューメキシコに移って状況は変わりました。

    「ここでの隔離、そして規制はとても厳しいんです」

    マリナさんは、人との交流を求めています。友達とだけでなく、いつも行くカフェにいるような、知らない人とのやり取りも恋しいそうです。

    「自分が思っていた以上に、私には人との交流が必要でした」

    「自分の人生に積極的に関わるためには何をすべきか、この状況のせいで真剣に考えざるを得ませんでした。まるで人生が中断しているように感じてしまうけど、実際はそうじゃありませんから」

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    以前はわずらわしかった、同僚とのイベントでさえも恋しく思う内向的な人もいます。ジョーダン・カーターさん(30)は、婚約者と犬2匹と暮らしています。コロナ前は週2〜3回外出していました。

    「パンデミック前は、在宅での仕事が好きだと自分で思っていたし、他人に時間割を作ってもらわなくたって、きちんと働けていました。一人でいるのが好きだし、自分でやるべきことができると思っていたんです」

    「でも実際、それには限界があると分かりました。人とすごく会いたいし、定期的なイベントにも参加したい。パーティーにも行きたいし、かつては嫌でたまらなかった職場でのぎこちない無理やりの会話も、とにかくすべてが恋しいです」

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    内向的な人は人付き合いをまったくしたがらない、と誤解されることがよくあります。しかし内向性と外向性は、同線上にあるのです。

    メリーランド州在住の母親であるエリザベスさん(50)の場合、人付き合いには制限を設ける必要があるそうです。

    「複数人で会うのは3時間が限度で、それを過ぎると家に帰りたくなってしまいます」とエリザベスさん。

    「でも、私はやることがたくさんある時ほど、人と触れ合いたいと思って連絡しがちだと気付きました」

    エリザベスさんによると、社交的でいるのは楽しいけれど、頻度には限界があるそうです。それと関連して、人と交流したいという欲求は、この1年で大きくなったと話します。

    とはいえそれは、現状に対するへそ曲がりな反応だとエリザベスさんは捉えています。

    「家の中にいなければいけないと言われたら、出かけたくなるものです。それは単に、出かけてはダメだと言われたから。いろいろな選択肢がある時は、喜んで家にこもっていられるんです」

    自粛生活で、無理していた人付き合いをせずに済むように。誘いも断りやすく

    一方で、内向的な人々がまったく恋しいとは思わないものもあります。

    ロックダウンや外出制限のおかげで、人の輪から取り残されるかもという不安に駆られての人付き合いは減りました。加えて内向的な人にとって、誘いを断りやすくもなりました。

    コロラド州フォートコリンズに住むマレンさん(35)は、世界がやっと自分に追いついたと感じているそうです。

    自分の性格を非常に内向的だと説明するマレンさんは、コロナ前から在宅で仕事をしており、人付き合いのほとんどは、同居している妹が相手です。

    「このパンデミックで、人生で初めて、自分の内向性がついに利点になりました。他の人たちは正気を失っているけれど、私はいつも通りの生活を続けています。それどころか、自信が高まりました」とマレンさんは話します。

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    同様に、オクラホマ州ブロークン・アロー在住のブリアナ・マックスウェルさん(33)は、今の状況になってからのほうがずっと落ち着いたそうです。

    「家に閉じこもっているという罪悪感を抱かずに、趣味や好きなことにたくさん時間を費やせるようになりました」

    外交的な方が好まれることの多い文化において、このレベルで自信を持てるようになるって、決して小さなことではありません。

    「子どもの頃や十代の頃、私は物静かで、ぎこちなくて、変わり者で、お高くとまっていると思われていました」とマレンさん。これまでの人生で頻繁に、「もっと話しなさい」と言われてきたと明かしています。

    カナダのトロントで家族と一緒に暮らすダーシャさん(32)も、パンデミックのおかげで「自分は真の世捨て人だと気付いたし、パンデミック後もその生き方を追求していきたい」と話します。

    ダーシャさんは20代の頃、なんとかがんばって人付き合いを続けていたと振り返りました。

    こうした経験には感謝するものの、「人といると消耗するし、自分が満たされるのはひとりでの活動」だと心の底から気付いたそうです。

    ダーシャさんはこの1年で、SNSのアカウントをすべて削除しました。

    「これこそ自分だし、ずっとこうだったんだ、私は筋金入りの内向的な人間なんだ、と思いました」

    「それが社内通念だからという理由だけで、外交的な人の行動を試してみたり真似したりはもうしたくありません。自分にとってしっくりくる行動をとりたい」

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    筆者自身も内向的な人間なので、この記事に出てくる話のほぼすべてに共感しました。パンデミックが始まった頃、対人距離や外出規制はお安い御用だと思いました。

    私は、大人数の集まりには圧倒されてしまいがちなので、相手をよく知ることができるような距離感の近い少人数で集まるほうがいいし、充電するためのひとり時間がある程度必要です。

    ただ、常にひとりの時間が、時に何日も続いてしまうような状況が、精神的につらくないと言えばうそになります。

    この1年で、騒がしいバーや人でごった返したコンサート会場など、以前なら避けていたような場所に行く自分を何度も想像しました。

    こんなふうに感じるのは自分ひとりじゃないと知って、安心しました。世界が再び動き出したら、たまには新しい経験を試すように自分にはっぱをかけてみようと思います(社会不安なんて吹き飛ばせ!)。

    この先どうなるか分からない状況で1年を過ごしたので、人生に本気で身を乗り出すのが、今の私にとって特に大切です。

    もしも気分が乗らなかったら、元気が取り戻せる、誰にも邪魔されないひとりの世界にいつだって戻ることができると知っていますからね。

    この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:松丸さとみ / 編集:BuzzFeed Japan