いつか来る災害に備えて。人工透析患者と家族が最低限知っておきたいこと

    準備できていると、安心感が違う

    人工透析治療を受けている患者は、全国に30万人以上いるという。災害に遭った場合、患者と家族が最低限知っておきたいこととは。全国腎臓病協議会の金子智常務理事に聞いた。

    もし、災害にあってしまったら

    災害が起きた時に、治療中なのか、そうでないのか。まず対応が分かれるポイントだ。

    透析を受けていない時

    • 自分の身の安全の確保ができているか、確認する
    • 身の安全が確保できない場合は、普段飲んでいる薬などが入った緊急持ち出しセットを持って、避難する。
    • 透析治療を受けている病院と連絡を取る。
    • 通常の場所で治療が受けられない場合は、他の施設への移動方法や、治療ができるまでの日数を、病院に確認する。

    透析治療中の場合

    • 病院のスタッフに、透析回路から離脱するか、治療を続けるかを確認する。
    • もし、離脱することになったら、落ち着いてスタッフの指示に従う。
    • 緊急離脱セットの使い方は、確認しておくのがベスト。

    避難所での注意点

    透析患者であることを、必ず伝える

    透析患者であることを必ず伝えること。「命に関わるので我慢しないで。遠慮しないでください」と金子さん。食事はしっかり摂る。

    食事はしっかり摂る。

    熱量(エネルギー)が不足すると、尿毒素とカリウムが生じて、患者にとっては危険な状態になる。きっちり食べることが基本。

    ただし、タンパク質、塩分、カリウムは控え目に。

    避難所の食事はおにぎりやパン、カップめんなど、タンパク質、塩分、カリウムが多いものが多い。「でも支給されたものをちゃんと食べて欲しい」(金子さん)。入手できる食料を、上手く活用するのが大事だという。具体的には、カップ麺はつゆを捨てるとか、つゆを飲まないことで、摂る塩分量を調整できる。ナトリウムを食塩に換算する方法は、「食塩(g)=Na(g)×2.54」。

    平時にやっておきたいこと

    緊急持ち出しセットを作っておく。

    「透析患者の場合は患者の場合は、特に薬が大事」(金子さん)。薬には2~3日飲まなくても影響が出ないものと、飲まないと早期に体に影響が出るものがある。普段飲んでいる薬で、飲まないと早期に体に影響が出るものについて、平常時から担当医に確認しておく。また、必要な薬の情報などが記された、透析患者カードは、普段から携帯しておく。以下は、セットに入れておきたいアイテムのめやすだ。

    • 普段飲んでいる薬 (1週間分くらい)
    • 身体障害者手帳のコピー
    • 特定疾病療養証のコピー
    • 保険証
    • 救急セット
    • 飲料水(健康な人の半分が目安。1日750ml程度)
    • 非常食
    • 透析食
    • 現金や貴重品
    • 携帯ラジオ
    • 懐中電灯
    • 衣料品
    • 生理用品
    • 下着

    家族は、患者の通っている透析施設を確認しておく。

    患者の家族は、普段通っている透析施設がどこにあるか、確認する。1週間から10日程度透析しないと、命に関わる。なるべく治療の間をあけないように気をつける。

    この記事は、一般社団法人全国腎臓病協議会の「災害時について」のページを参照しています。