今週香港では逃亡犯条例改正案に反対するデモが複数発生し、主催者側の統計によると6月9日に行われたデモには100万人を超える人が参加した。
同条例に反対する人々は、反体制派が中国政府の標的にされることを恐れており、容疑者の法的権利や人権が十分に守られないことを懸念している。
2016年に起きた書店店長の拉致事件など、中国の香港に対する厳しい姿勢が両者の緊張状態をさらに強めている。
香港政府トップの林鄭月娥(りんてい げつが)行政長官は6月15日、議論を呼んでいる中国への引き渡し条例の改正は延期すると発表した。しかし、デモの主催者側は条例の完全な撤回を要求し、予定されているデモは中止しないと表明した。
通りで警察とデモ参加者が衝突している時にも、そしてその後も、様々な虚偽情報がオンラインに広まっている。
1. 中国国営メディアのチャイナデイリーは、デモは引き渡し条例に賛成するものだと偽の情報を伝えた。
中国国営メディアによるこの記事はまったくのデタラメで、その日の映像は引き渡し条例に反対するデモであったことをはっきりと示している。
2. 女性活動家が「わいせつ」罪で逮捕されたかのような報道。写真はフォトショップで加工されている。
写真の女性は何嘉邱という活動家で、民主主義派政党である香港衆志のメンバーだ。同政党には香港で最も有名な活動家の黄之鋒も所属している。
親中派のFacebookページ、向香港警察致敬は彼女のシャツをフォトショップで加工し、乳首を付け加えた写真をシェアした。
これを見た人々は、彼女が「わいせつ」罪で逮捕されたのではないかと憶測した。しかしこの写真は明らかに作り物だ。写真は現在削除されている。
投稿に寄せられた反応に対し何嘉邱は、同日夜に撮影された自身の写真を投稿して、次のように述べた。
「コメントでは人々が私を売春婦呼ばわりし、警察は売春婦を一掃しているのだと言っていました。そして私の両親を恥ずかしく思うと言っていました」
「女性を攻撃する最も簡単な方法は、性的な侮辱です。女性の意図やビジョンは無視して、外見と服装にフォーカスし、そこから辱めようとしているのです」
3. 「香港国境近くに派遣された中国軍」の動画は偽物。
香港国境近くで、中国軍の戦車の車列が写っているとされた動画がTwitter上で拡散した。
しかし、この映像は国境近くで撮影されたものではなく、国境から320マイル(約500km)以上離れた福建省の竜岩駅で撮影されたものだった。映像には竜岩駅の標識がはっきりと映っている。
中国外務省も香港に軍を派遣していないことを認めている。
4. 警察官が実際には変装した中国政府職員であるという推測が拡散した。
人々は古いデータベースを利用して、香港の警察官のバッジ番号をチェックした。男性警察官のバッジ番号が女性警察官のものだと判明すると、人々はこの男性警察官が変装した中国政府職員ではないかと推測しました。
しかし、データベースは13年前のもので、公式のものではなかった。長年の職務に対して警察官に与えられる賞のデータを集めるだけのもので、現在の情報源としては信頼できるものではない。
5. 中国は確かに、デモ参加者たちが主に利用しているアプリTelegramに対してサイバー攻撃を仕掛けていた。
参加者がデモを組織し、お互いに連絡を取り合うために主に利用しているアプリTelegramが、デモの最中に攻撃された。
Telegramのパーヴェル・ドゥーロフCEOはTwitter上で、サイバー攻撃が中国のIPアドレスから行われたことを認めた。
6. この写真は香港ではなく、フランスで撮影されたもの。
デモ参加者がテニスラケットを使って催涙ガスの容器を打ち返すところをとらえたこの写真が、6月12日のデモの際にTwitterやRedditなどで拡散した。
しかし、この写真フランスで2016年6月のデモの際にロイターのカメラマンによって撮影されたものだと判明した。
この記事は英語から翻訳・編集しました。