
5年前、メンドル・ワインストックさんは姉にこんな約束をした。
「姉さんが結婚式を挙げるときは、ラマを一緒に連れていく」
そして弟は、その約束を果たした。
話の発端は5年前、姉弟が自宅のあるオハイオからインディアナへ車で向かう道中の会話だった。
姉のリヴァさんは当時17歳。まだ特定の相手もいなかったが、将来の結婚式について「(姉は)明日にでも結婚するみたいな感じで話していた」とメンドルさんはBuzzFeed Newsに説明した。
「ちょっとからかって怒らせてやるかという感じで、僕は姉さんの結婚式には出ないよ、と言ったんです」
案の定、リヴァさんと喧嘩になった、とメンドルさんは当時を振り返る。
ひどい弟だと姉に非難されたメンドルさんは譲歩して、「どうしても来いっていうなら、ラマを一緒に連れてく」と提案した。
リヴァさんはまだ納得できなかったが、しばらくすると折れてこう言った。
「わかった、そうじゃなきゃ来ないっていうなら、ラマも連れてくれば?」
「そう言われて以来、姉の結婚式には絶対ラマを連れてくると決めました」
そして昨年10月、リヴァさんの結婚が決まり、弟は計画を実行に移すことになった。

メンドルさんも知らなかったが、地元オハイオ州にはラマを飼育している農場がたくさんあった。
その中のひとつから、大事な式の日にラマ1頭を貸し出してもらう話をつけた。ショッキーという名の雄のラマだ。
メンドルさんはショッキーに着せるタキシードを縫ってくれる人も見つけてきた。
ショッキーの頭には、ユダヤ教徒の男性がかぶる帽子「ヤムルカ」ものせることにした。

リヴァさんは、警戒はしていたようだ。
「最初しばらくは、姉も僕がただのハッタリで言ってるだけだろうと思っていたそうです。でも結婚の話が現実味をおびてきて、実際に婚約が決まった後は、『これは本気だな』と思ったみたいです」

それでも当日、実際にショッキーと対面したリヴァさんは驚きを隠せなかった。
「姉が式場の外に出てみると、この巨大な動物が立って姉の顔をじっと見つめたわけです。外でいきなりラマに出くわしたら、普通、心の準備はできてないですよね」
リヴァさんは、式場の外でラマと一緒に写真を撮るのには応じた(実際は数枚撮ったそう)。
その後は式の進行のため会場へ戻ったが、ショッキーは2時間ほどその場にとどまった。式の招待客にあいさつしたり、写真撮影をしたりしていたそうだ。
ショッキーは見事、その日の人気者になった。

メンドルさんが自身と姉、ショッキーの3ショット写真をその場でネット掲示板Redditに投稿したところ、披露宴の最中から続々と反応が寄せられた。
投稿の高評価が10万件を超えたところで、リヴァさんにも伝えなければと思ったという。現在は16万近い高評価がついている。

5年前の約束を貫いた弟に、リヴァさんは怒ってはいないそうだ。
むしろ、「結婚」という人生の大切な日がさらに忘れられないものになったという。
「姉も最初はちょっとあきれたかもしれませんが、ジョークに付き合ってくれたし、とりあえず面白いと思ってくれたのは確かです。何てことするんだと恨まれたりはしていません」とメンドルさん。
「ただ、いつかどこかで仕返しするからね、とは言われましたが」
この記事は英語から翻訳・編集しました。翻訳:石垣賀子 / 編集:BuzzFeed Japan