中国国外でも感染者数は増えている新型コロナウイルス。不安を煽るような情報が拡散する中で、中国をはじめとするアジア諸国出身の人々に対し「ウイルスをうつされるのでは」という偏見も欧米を中心に拡がっている。
そんな中、TiTokでは10代のアジア系ユーザーを中心に、アジア人に対する偏見を拭うための動画が多く投稿されている。

内容は、根拠のない人種差別をおもしろおかしくあしらうジョークだ。アジア系の人々に対して、他の人々(主に白人)がどのような反応を見せるか真似している。
「今アジア人でいるのはなかなか厳しい」
「(咳をした時に)半径1.5キロにいる人々(の反応)」
「『コロナウイルス持ってるんじゃないか』って放っておいてくれるから、白人の周りで咳をしてみる」
「僕は中国人ですらないけど、違いはわからないよね」
中には率直な意見もある。
「コロナウイルスを理由に、中国人を差別したり嫌悪したりしていいと思っている人へ」
「Just shut up(黙れ)」
TikTokユーザーの1人、デイビッド・キムさん(16)は、両親との会話がきっかけで以下の動画を投稿した。
明日、学校に来るアジア人「おはよう」
クラス全体「黙れ」
「大学へ行く日の朝、『マスクを着けたほうがいいかな?』と両親に聞きました。すると、アジア人な上にマスクなんてしていたら余計避けられるぞ、と言われたんです」
「コロナウイルスの騒動の背後に、人種差別が見えるんです、本当に」とキムさんはBuzzFeed Newsに語った。
「友達の冗談だとしても、僕は常にターゲットにされたり笑われたりしています。僕がアジア人で、感染していると思われているからです」
レストランでマスクをしているだけでも、疑いの目を向けられることがあったそうだ。
「最近、コロナウイルスを理由としたアジア人に対する人種差別に、アジア人自身が立ち向かっている動画をよく目にします」
「僕の中には、たくさんのアジア人がターゲットになって悲しい自分と、アジア人同士で結託できて嬉しい自分とがいます」
カナダ・トロント在住のエロス・コルプスさん(19)も、キムさんと似たような動画を投稿している。
咳払いするアジア人の僕「そんな風に見るな」「やめろ」
「この動画を思いついたのは、カナダでも患者が出る前でした」とコルプスさんは語る。いずれにせよ中国人に対するスティグマはある、と付け足した(コルプスさんはフィリピン系)。
「全ては恐怖感や妄想が発端です」
「感染症自体は人種を差別しないのに、なぜ人々が人種差別に走るのかわかりません」
この記事は英語から翻訳・編集しました。 翻訳:髙橋李佳子