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子どもの「緊急」を身につけよう 救急外来を受診すべき6つの症状は?

慌てずに見るべきポイントを抑えておけば、大丈夫です。小児科医の小林真澄先生に伺いました。

前回は、子どもの元気がないときには「食う」「寝る」「遊ぶ」「出す」をみることと、子ども一人ひとりの「いつもの様子」を知ることの大切さをお伝えしました。

今回は、具体的にどんなときが緊急なのかについて、TMGあさか医療センターの小児科部長である小林真澄先生にお話を伺いながら、お伝えしたいと思います。

危険な熱の見極め方 5つの症状

まず、子どもといえば、お熱!!!

子どもって、本当によく熱を出します。

ーー小林先生、お熱になにが加わったら、救急外来に行くべきなのでしょうか?

高い熱が出たからといって、子どもの頭がどうにかなったり後遺症が残ったりすることはありません。熱の高い、低いは、病気の重い、軽いとは一致しません。以下の五つがあるかどうかが肝心です」

  1. 意識がおかしい
  2. けいれん
  3. 何度も繰り返し吐く
  4. ぐったりして顔色が悪い
  5. 生後3か月未満(新生児期は特に)


「お熱に加えて、いずれかひとつでもあてはまったら、緊急です。翌朝に熱が下がっていると解熱して回復したのだと思う方は多くいて、『お熱が下がったり上がったりする』とおっしゃいますが、朝はあてになりません」

ーー回復したと見極める目安はありますか?

「24時間下がったら熱が下がった、ということです。上がったり下がったりするのではなく、人間の体温は朝低いので、一旦下がったように見えても夕方上がれば熱が続いているということです」

救急外来を受診すべき6つの症状

続いて、緊急に受診すべき6つの症状と対処法を確認していきましょう(お熱の見極めと重なるものもあります)。

1.意識障害・・・意識がない、ウトウトしていて呼びかけても起きない

ーーまず、「意識障害」がある場合は急いで受診した方がいいということですが、意識障害ってどういう状態なのでしょうか?

「呼びかけても目の焦点が合わない(普段のその子と様子が違う、コミュニケーションがとれない)、熱がなくてもぐったりしていて反応が鈍いときは要注意です」

ーー他にはどういう場合がありますか?

「水とお茶だけしか飲ませない場合などにも起きることがあります。食べられないとき飲めないときは経口補水液をあげましょう。経口補水液が飲めない子の場合には、糖分と塩分を補給するためにリンゴジュースとみそ汁やスープを交互に飲ませてあげてください」

なるほど。意識障害なんて聞くと自分には関係ないと思いたいですし、そんな様子の子どもは見たくないと思いますよね。

わかります。私は、意識障害はとても重い症状であり、重い病気の時に起きると思っていましたが、そうとも限らないようです。

熱がなくても水ばかり飲んで低血糖で意識がおかしくなる(ぼーっとして活動が鈍くなる)というのは、子供に限らず、大人もまったく他人事ではないですね。

2.けいれん

ーー子どもがけいれんを起こすと、親はとても慌ててしまいますね。小林先生、そのまま死んでしまうようなことはないのでしょうか?

「発熱に嘔吐やけいれんが加わる場合は、急いで対応しなくてはなりません。一般的なけいれんは、数分以内に止まります。顔色は悪くなりますが、そのまま息が止まることはありません」

ーーけいれんを起こしたら親や周りの人は何をしたらいいですか?

「子供がけいれんを起こした場合は、顔を横に向けて嘔吐に備えましょう。口を無理やり開けたりしないでください。初めてのけいれんであれば、救急車を呼ぶか、救急外来にかかるのが無難です。けいれんがおさまっても、その後に医療機関を受診するのを忘れないでください」

「けいれんを起こした場合にみておくべきポイントがあります。眼の状態はどうなっているか、焦点が合っていないか白目になっていないか、どちらか一方を向いていたかは必ず確認してください」

「けいれんはつっぱっていたか、ガクガクしていたか、左右差があったか、そして何分くらい続いたかを見ておいて、受診した時にお医者さんに伝えられるとなお良いです。けいれんのあと眠ってしまったか、おさまってすぐに泣いたりしたか、どのくらいで元の様子に戻ったかも見て置いてください」

まだほんの小さいわが子が白目をむいて、意識がなくなる......。こんなことが10人に一人も起きるだなんて、親は心配になって当然です!

初めてなったら、みんな、救急車を呼びますよ。初めてのけいれんで救急車を呼んでも、救急隊も小児科医も誰も怒りませんよ!

私も息子がけいれんを初めて起こした時、このまま死ぬんじゃないかと焦りました。

病院で何度もけいれんを診察している小児科の先生が「わが子のけいれんのときは、焦った。家でみるなんてたまらない」とおっしゃっているのを聞いたことがあります。

3.呼吸困難・・・呼吸のたびにゼーゼー、ヒューヒューなど音がする

ーー「呼吸困難」なんて息が止まってしまいそうで怖い言葉です。具体的にはどんな症状を指すのでしょうか?

「息を吸うときゼーゼー(普通の呼吸ではない)と苦しそうだったり、肩で息をして顔色が悪かったりするときも重要です。ちなみに、喘息発作の時は息を吐く時にゼーゼーします」

「急に発疹が出て、顔がむくんだり、呼吸器症状が出たりしたときは要注意。アナフィラキシー(急性アレルギー反応)を起こしている可能性があります。即、救急車を呼んでください。突然の咳込みは、誤飲の場合もあるので要注意です。周りに何かなくなってるものがないか、確認しましょう」

ーー息を吸うときのゼーゼーがくせ者ですね。

「喉頭(声を出す声帯のある場所)の周囲が狭くなることで、呼吸困難やゼーゼーいう喘鳴(ぜんめい)が出ることを「クループ(喉頭気管支炎)」と言います。喉頭はのどの奥にあり、私たちが「アーん」と口を開けても見えない所です。ちなみに通称のどちんこのある近辺は咽頭といいます。原因はウイルスのことが多いようです」

よく本にも「クループは、オットセイとか犬の遠吠えに似ている」とありますが、聞いたことがなければわからないですよね?

だけど、安心してください。一度聞いてみるのもいいですよ。

YouTubeで「クループ」と調べてみてくださいね。病気のことを何でも検索、はおススメしませんが、こういう使い方はよいかと思います。世界のクループがたくさん出てきます。

咳込みは、病気の症状だけではなく、誤飲の場合もあることを覚えておきたいと思います。そもそもトイレットペーパーの芯より小さい物を周りに置かないようにしないといけませんね。苦しそうにしていたら、急いで救急を受診してください。

4.嘔吐を繰り返す

ーー子どもってよく吐きますね。注意すべき嘔吐はどんなものなのでしょうか?

「3回以上続けて吐いたら要注意です。ただし、咳をし過ぎて吐いたり、泣いて吐いたりするのは別です。発熱に加えて、吐くときも要注意です。また、熱がなくても、吐くのが続くと子供の体のダメージは大きいことも忘れずに」

嘔吐って、親は油断しがちです。お熱の時はあれほど心配になるのに、胃腸炎だと何回も吐いても、仕方ないかって思ってしまったりしますね。

「熱がなくても吐くのが続くと子どものダメージは大きい」

大事なことなのでもう一度繰り返しましたが、大人もそうですよね。吐き続けるのって本当に苦しい。忘れずに覚えておきたいです。

5.血便

ーーほんの少しの血便は時々あるものですが、気をつけた方がいいのはどんな時なのでしょうか?

「血液の量が多く、嘔吐があったり、腹痛(触ると痛がる)があったりして、ぐったりしているときはすぐに受診しましょう。血便が少量で熱もなく、機嫌もよければ朝まで様子を見て受診したら良いです」

「ほんの少し血便が混ざっている程度で嘔吐もなく機嫌よく」という状態は、時々ありますよね。

そんな状態ではなく、明らかに血便の量が多く、嘔吐があったり、痛がっていたりぐったりしている場合は、救急受診です!

6.頭部外傷 頭部打撲

ーー子どもはよく転びますし、目を離した隙に、高いところから落ちて怪我をすることもあります。特に頭を打つと心配なのですが、すぐに受診した方がいいのはどんな場合ですか?

「活発に動き回る子どもは、転んで頭を打ったり、けがをしたりして親御さんは心配ですよね。初めの24~48時間は十分な観察が必要です」

「乳児は、意識がなく、顔色が悪く、ぐったりしていたり、嘔吐を繰り返したり、けいれんなどを起こしたりしたら危険です。小児も、頭痛、記憶の喪失、目のかすみ、めまい、気分不快、繰り返す嘔吐、異常な眠気を訴えたらすぐに受診してください」

頭を打って心配な時は、小児科ではなく脳外科へ。打ちどころによっては、症状の出方が違うので、病院に行くだけではなく、その後の十分な観察も必要です。

最後に

ーー緊急に受診すべき時を一緒に学んできましたが、あらかじめ知識を持っていたら、そんなに慌てずに済むことも多くありそうですね?

「ヒブワクチンと肺炎球菌ワクチンが定期接種になって、細菌性髄膜炎が激減したことで、確かに心配なお熱は減りました」

「そして基本的に、小児の病気に関しては緊急で受診しなければならないときはそれほど多くないことも覚えておくとよいでしょう」

「こんな時は、緊急へ!」、頭に入ったでしょうか?

「緊急のとき」を覚えたら、あとはおうちで、子どもを安心して見ることができますよね。

救急外来は、様子がいつもと明らかに異なるときに迷わず行く必要があります。

けれど、そうでないときには、患者にとってデメリットもあります。救急医の赤星昴己先生の資料を幼児用に改変した5つのデメリットをお伝えします。

  1. 検査が完璧にはできない
  2. お薬は数日分しか処方できない(多くは1日分)
  3. 翌日昼間の時間帯に改めて受診が必要
  4. 緊急疾患でなければわからないこともある
  5. 疲弊した医師が対応することがある   


私の知人に「子どもが高熱を出してわざわざ遠くの救急外来に行ったのに、何もしてもらえなかった。何をしてくれる場所なのか、知らなかった......」とがっかりした経験を話してくれたパパさんがいます。

救急外来は、“緊急の人”のためのもの。通常の病気であれば、小児はかかりつけ医が強い味方です。

小さいうちにかかりつけの先生に病気について尋ねたり、看護師さんにホームケアについて尋ねたり、薬剤師さんに薬のことを尋ねたりして、信頼できる専門家を味方につけておくと、後々とっても安心できます。

もちろん普段のことはママ友にいろんな心配も愚痴も(笑)聞いてもらっていますが、医療に関わることは専門家に相談しながら自らも知っていく。

私はそれでだいぶ子育て救われてるなーって思います。

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【阿真京子(あま・きょうこ)】一般社団法人「知ろう小児医療 守ろう子ども達の会」代表

1974年東京都生まれ。都内短期大学卒業後、日本語教師養成課程修了。マレーシア 国立サラワク大学にて日本語講師を務め、帰国後外務省・外郭団体である(社)日本外交協会にて国際交流・協力に携わる。

その後、夫と飲食店を経営。2007年4月、保護者に向けた小児医療の知識の普及によって、小児医療の現状をより良くしたいと「知ろう小児医療 守ろう子ども達」の会を発足させ、2012年7月に一般社団法人知ろう小児医療守ろう子ども達の会となる。

同会による講座は150回を数え、5000人以上の乳幼児の保護者へ知識の普及を行う。現在まで同会代表。東京立正短期大学幼児教育専攻(『医療と子育て』)非常勤講師。15歳、12歳、9歳の3男児の母。

厚生労働省救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会委員、同省上手な医療のかかり方を広めるための懇談会構成員、総務省消防庁救急業務のあり方に関する検討会委員、東京消防庁救急業務懇話会委員、東京都救急医療対策協議会委員、内閣官房薬剤耐性(AMR)対策推進国民啓発会議委員など数多くの委員を務める。