「大人になったなー」と実感する時の1つが、子供の頃嫌いだったものが美味しく感じた時だと思う。
25歳になった今、だいぶ好き嫌いは減った。でも、1つだけ「一生好きになれないな」と諦めているものがある。それは「かまぼこ」だ。
かまぼこだけは本当に苦手。全力で避けている存在。

私は8歳の時に初めてインターナショナルスクールから日本の小学校に転入をし、人生で初めての給食の時間を迎えた。その日の献立に「焼きかまチーズ」があった。
当時日本語がほとんど不自由だった私は、目の前に出されたものが何なのかわからなかった。でかい一口を食べた時の衝撃は、今でも忘れられないくらいに大きなものだった。

諦めきっていた頃、小田原に「鈴廣かまぼこの里」があることを知った。

かまぼこの歴史や魅力について、力説してくれる広報の方。
揚げかま手作り体験教室へ。揚げものが大好きなので、揚げかまなら食べられるかもしれない。
全部袋の中に入れたら、手で混ぜ合わせる。
好きな形を作る。嫌いなものなのに、ハートを作った。

5分ほど揚げて完成!
いよいよ試食の時が来た。味は...

う、うまい...
「板かまぼこも食べてみます?」
広報の方から声をかけられた。
内心ドキッとした。板かまぼこは蒸しただけのものなので、揚げかまよりもハードルが高い。
ここまで来て断ることはしたくないので、食べてみることにした。
出されたのは、1個3600円をする高級かまぼこ。職人が手作りをしたもの。
とにかく12mmの弾力がすごかった。

12mmはすごかったーー。好きになろうとすごく頑張ったけど、17年前のトラウマが蘇ってきて、飲み込むのに必死だった。3600円の高級感は十分に味わえなかったかもしれない。
でも、かまぼこが好きな人にとってここは美味しいビールも飲めるし、天国だ。かまぼこが大嫌いだった自分もかまぼこに詳しくなれたし、「揚げかま」がすごく美味しいことも知った。
とにかく苦手克服には近づけた。これからはラーメンの上にかまぼこが乗っていても残さず食べようと思う。