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世界中の日本ハーフに共通している、たったひとつのこと

「他の日本ハーフに一つだけ質問ができるなら、何を聞きますか」

自分のアイデンティティは何か、と聞かれたら。

「アイデンティティ」と聞いて、先に思い浮かぶのは国籍や話す言語、出身地だろうか。

そんなことを考えるきっかけを作っているのは、ベルギーと日本のハーフである宮崎哲朗さんによる「Hafu2Hafu」の写真プロジェクト。

そのプロジェクトでは、世界に散らばる日本ハーフのポートレートを撮影し「他の日本ハーフに一つだけ質問ができるなら、何を聞きますか」という質問をしている。

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このプロジェクトを行っている宮崎哲朗さんは、日本人の父親とベルギー人の母親との間で生まれ、ベルギーで生まれ育った。現在はオランダで暮らしている。

日本語は会話ができるレベルだが、半年間の留学以外では日本に住んだことがない。

でも、日本とはずっと繋がっていた。14歳の時に父親が亡くなってからも、その繋がりは増すばかりだった。

自分の中のアイデンティティなのだから。

哲朗さんは子供の頃から週1回日本語学校に通い、剣道を学び、大学でも日本語を履修した。

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自分の中に存在する「日本」というアイデンティティをどうにかしたい

8歳の時、ワールドカップではベルギーを応援した。そうすると、周りの友達からは「君は日本だろ、ベルギーじゃない」と言われる。

寿司が嫌いだと言えば、「やっぱり君はベルギー人だね」と言われる。

「アイデンティティで悩んでいたと言うと、何か苦しんでいたように聞こえますが、僕にとってはずっと興味深いものでした。昨日だって郵便を配達しに来た人から『変な名前だね』と笑われましたよ(笑)。それが僕の日常なので、気にならないわけがないです」

他の日本ハーフも自分と同じように悩み、似たような経験をするのか。

気になって仕方がなくなった哲朗さんは、同じオランダに住む日本ハーフを探し、実際に会ってみた。

それが哲朗さんの写真プロジェクト「Hafu2Hafu」の始まりだった。

これまで67ヶ国にルーツを持つ日本ハーフを撮影し、その数は90人以上にのぼる。

哲朗さんはオランダに住む日本ハーフを始めとし、様々なバックグラウンドを持つ日本ハーフを撮影してきた。

共通点は多いものの、片親のルーツや育った国、黒人や白人、アジア人のハーフなのかで経験は大きく変わることに気づいた。

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哲朗さんは、このプロジェクトのために日本を訪れ、多くの日本で生まれ育った日本ハーフと話した。

「日本で生まれ育ち、日本語しか話せないのに、見た目が違うだけで外の人として扱われる。『どうして自分は受け入れられないんだ』と悩む人が多くて、切実でしたね」

でも、これまで話してきた日本ハーフみんなに、大きく共通していることが一つある。

「日本との繋がりを強くしたい」という想い

FaceBookなどのSNSには、日本ハーフの人たちが交流できるグループがたくさんある。しかも「同じ日本ハーフ」というだけで、実際に会うこともできる。

でも、ベルギーにはハーフが交流するグループはなく、「同じベルギーのハーフ」というだけで会うことはありえないそうだ。

「様々な人種で構成されている西洋の国と比べて、日本は『日本人』と『そうでない人』がはっきりしています。

なので、自分の中の『日本人』としてのアイデンティティを再確認したいのではないのかなと思います。

でも確かなのは、違ったバックグラウンドを持つ日本ハーフの人でも、日本との繋がりを強くしたい、もっと日本を知りたいという想いがみんな強いのです」

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このプロジェクトを通して何を伝えたいのか、という問いに哲朗さんはこう答えた。

「メッセージとかはありません。そういうの嫌いなので(笑)。ただ、ハーフの人や、むしろそうでない人が自分のアイデンティティについて考える機会になれば、と思っています」

哲朗さんは「Hafu2Hafu」を2019年末までを目処に続けたいという。

プロジェクトを本にする予定もあり、先行販売という形でプロジェクトを続けるためにクラウドファンディングを行っている。