Netflix『13の理由』のジェフ役のキャストにインタビューしてみた

    『13の理由』でジェフ・アトキンスを演じたブランドン・ラーラクエンテとのインタビュー。(注意!この記事には重大なネタバレが含まれています)

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    『13の理由』学校のダンスパーティーでのクレイ・ジェンセン(ディラン・ミネット)と、ジェフ・アトキンス(ブランドン・ラーラクエンテ)

    Netflixのドラマシリーズ『13の理由』の配信開始後、ファンたちが、あることについて意見の一致を見るまではあっという間だった。そう、ジェフがあんな目に遭うなんてひどすぎる、というのだ。

    現在23歳の俳優、ブランドン・ラーラクエンテが演じるジェフ・アトキンスは、リバティ高校に通う人気者の「ジョック」(有能なスポーツ選手で、学校の人気者タイプの学生)だ。ジェフは、自分に勉強を教えてくれるクラスメイトのクレイ・ジェンセン(ディラン・ミネット)と仲良くなっていた。脇役で、他のキャストたちと比べて登場シーンも少ないジェフだが、彼の早すぎる死は、視聴者たちを悲しみで打ちのめした。

    みんなに愛されたこのキャラクターについて、ラーラクエンテはこう語る。「ネットで見つけたミームをひとつ紹介してもいいかな。『ジェフはただ、野球をしたり、成績を上げたり、クレイが女の子と付き合えるように手助けしたかったりしただけなのに』だって。そうなんだよ、彼はそういうことがしたかっただけなんだ。すごくいい奴だった」

    Matt Winkelmeyer / Getty Images

    ブランドン・ラーラクエンテ

    ジェフはまず間違いなく、リバティ高校における数少ないまともな生徒のひとりだ。クレイをいじめたりせず、彼が楽しく幸せにやっていけるように、すごく気にかけていた。2人の関係は、勉強のために会う学校の図書館の外にも広がっていた。たしかにクレイは、ジェフの勉強を手伝ってやった。けれどもジェフだって、クレイに対して、女の子とのデートについてや、友達との付き合い方について教えていたのだ。

    ラーラクエンテはジェフについてこう語る。「クレイを良く思っていない他の奴らと一緒になって、同じようにするのは簡単だけど、そうはしない。そういうのは、勇気ある奴じゃないとできないよね」

    「クールな奴っていうのもクールなんだけど、声を上げられない人たちの味方になってあげるっていうのは、もっとクールだと思う」

    ジェフのストーリーは、Netflixシリーズ『13の理由』の中でも非常に人気の高い部分だが、ドラマの原作となったジェイ・アッシャーの同名小説(邦訳:講談社)に、ジェフは登場しない。だからこそラーラクエンテには、自分なりの役づくりをするチャンスが与えられた。ジェフというキャラクターを、「彼がどんな人間になりたいと思っているかに合わせて、形づくることができた」

    「ジェフのキャラクターをつくり上げるにあたっては、もし自分がクレイのような経験をしたら、と想像して、そんな時にどうしてもらいたいかをやってみた。僕なら、誰かに自分の味方になってもらいたい、と思ったから」彼はそう語る。

    「クレイと自分には、重なる部分があると感じたんだ」。かつていじめを受けた経験があるという彼は、実生活での経験も参考にしていた。「とにかくどうしたらいいのかわからない、というのは、僕自身も経験した状況だった。どうしたいのか、何が正しい行動なのかはわかっているのに、勇気がなくて、あるいは怖くて、それができないんだ」と彼は振り返る。

    「僕も幼いころ、そして高校でも、多少はいじめられた。自分がひとりぼっちで、全世界が敵に思えるような感覚も、よくわかるよ……クレイが自信を喪失するシーンはどれも、僕にとってもつらいものだった」

    それでも彼は、この作品に関わることをためらわなかった。それは、このシリーズには「メッセージ性と、戦う姿勢があったから」だという。

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    クレイに勉強を見てもらうジェフ

    「この作品に参加したいと思ったのは、非常に強烈かつセンシティブな問題を扱っているから。こういう問題について、うわべだけを飾ってごまかそうとしている人は多いと思う」と、彼は言う。「だけどこれは現実に、毎日起こっている問題なんだ」

    ジェフ・アトキンスを演じたことで、ラーラクエンテは一躍注目の的となった。しかし、ニュヨークに生まれ、10歳の時にフロリダに引っ越した彼は、それまで演技の世界をまったく知らなかったわけではない。Nickelodeonの「Every Witch Way」や、NBCの「コンスタンティン」に小さな役で出演していたほか、別のNetflixオリジナルシリーズ「ブラッドライン」では、ベン・レイバーン役を演じている。こちらは、主人公ジョン・レイバーンの息子という役どころだ。だが『13の理由』で、みんなに愛されるキャラクター、ジェフを演じるまでの経験は、ざっとその程度だった。

    『13の理由』では、ジェフがやんわりとクレイを促して、デートの相手が見つかるかもしれないからと、バレンタインデーの「相性テスト」調査票に記入させたり、学校のダンスパーティーに参加するよう勧めたりする。さらには、ハンナ(キャサリン・ラングフォード)に対してもっと積極的になるようにとクレイの背中を押して、彼女との距離を縮めて、できればデートができるようにと手助けをしている。

    ただ、ラーラクエンテは最初から、自分が演じるキャラクターにどんな運命が待ち受けているかを知っていた。そう、ジェフは自動車事故で死んでしまう。「やりがいもあり、つらくもあった」と、彼は振り返る。「僕自身としては、『さて、死ぬ前にどんなインパクトを与えてやろうか』という感じだった。この地球上で、そしてこの作品の中で、自分の時間が尽きるまで、自分の役目を果たしたんだ」

    運命の夜は、ジェフがあるパーティーに参加し、途中でビールの買い出しに出かけるところから始まる。ジェフはクレイに対して、「2時間前にビールを2杯」飲んだだけで、そのあとはソフトドリンクを飲んでいたから安心しろ、と言う。そのうちに視聴者が知ることになるのは、別のクラスメイト、シェリ(エイジオナ・アレクサス)が帰宅途中、ある曲がり角で一時停止標識に車をぶつけて倒してしまったこと。そしてその同じ曲がり角でジェフが交通事故に遭い、彼の命が絶たれてしまうということだ。標識が倒れたことをシェリが面倒を恐れて警察に通報しなかったので、ジェフは一時停止すべきところで止まらなかった。そこへ別の車が突っ込んできたのだ。

    その衝突音は、近くの公園にいたクレイの耳にも届く。事故現場まで歩いてきたクレイは、運転席にいたジェフの第一発見者となってしまう。

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    クレイが、事故に遭ったジェフを発見する

    「大論争になったね。ジェフは飲酒運転だったのか?事故を起こすほどビールを飲んでいたのか?って」と、ラーラクエンテは言う。「ビールを数杯飲んだだけだから運転しても大丈夫、と思ってしまう人は多いけど、それは間違いだよ。僕たちが世界に伝えようとしているのは、それが1杯でも2杯でも、ビールを飲んだ杯数には関係なく、1杯でも飲んでいたらダメだ、というメッセージ。飲酒運転はどんな理由があっても許されないんだよ」

    ジェフの事故は、このドラマで起こるもっとも衝撃的な事件のひとつだったが、撮影の大変さは、レイプや自殺を描くシーンのハードさには到底およばなかったという。「彼らがどれだけ大変な思いをしたのかは、想像もできないよ」。キャサリン・ラングフォードと、ブライス役のジャスティン・プレンティスに話がおよぶと、彼はそう語った。

    「事故のシーンの撮影は、難しくなかった。僕はただ、ぐったりしていればいいんだからね。でも番組が配信されて、自分自身があんな悲惨なことになっているのを見ると、やっぱり変な気分だったし、ちょっとゾッとしたね」

    『13の理由』ファンの多くが、ジェフはもっとマシな結末に値する存在だ、と考えている。そんなわけで、ジェフを讃えるツイートがあふれかえった。ミームから、署名活動、さらにはファンの作ったTシャツやスウェット、携帯電話ケースといったグッズまで。ラーラクエンテは、ネット上の「ジェフにもっとマシな結末を」関連コンテンツは全部見ていると言う。「ファンのみんなが、ジェフというキャラクターとの結びつきを感じてくれていて嬉しい。最高にありがたいことだよ」

    しかし、ジェフ役がそうした多くの賞賛を受ける一方で、番組の配信開始からこちら、共演者たちのソーシャルメディア・アカウントには嫌がらせのコメントも寄せられている、とラーラクエンテは述べる。

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    事故で亡くなる直前、ジェシカ(アリーシャ・ボー)が開いたパーティーでのジェフ

    「ソーシャルメディア上には、僕らを擁護してくれるファンがいるけれど、そのファンたちも、お互いを攻撃して、憎しみをぶつけ合っている」と、彼は語る。「それは、僕らが伝えようとしているメッセージとは違う。僕らが描こうとしているのは、愛や優しさ、平和なんだ。人は誰しも、それぞれのやり方で、何かしら戦っている。優しさというものは、もっと評価されていいと思う」

    そうしたソーシャルメディア上での激しいファンたちの議論を除けば、2017年3月31日の配信開始以降に寄せられたジェフに対する反応は、ポジティブなものが圧倒的に多かったという(そうして、#JeffDeservedBetter(ジェフにもっとマシな結末を)のハッシュタグが話題になった)。

    このシリーズが自殺を美化し、心の病をないがしろにしている、と批判する批評家たちから叩かれることも、それほどはなかったそうだ。「物事には必ず良い面と、悪い面とがある。でも僕らは、ハートがどこにあるかをわかっているんだ」

    「ジェフというキャラクターに、こんなに多くの反響があったり、影響を与える力があったりするとは思ってもいなかった」と、ラーラクエンテは語る。「InstagramやTwitterのダイレクトメールを定期的にチェックして、ファンのみんなが送ってくれたメッセージを読むのが楽しみなんだ。それで気がついたんだけど、多くの人たちは、『たぶんあなたは知らないだろうけれど、あなたは私の人生に、あなたが思っている以上に多くの影響を与えてくれた』と書いてくれているんだよ。僕らは、観てくれる人たちみんなが、できればこの作品から何かしらの人生の教訓を得てくれるように、と願っているんだ」

    この記事は英語から翻訳されました。翻訳:半井明里/ガリレオ、編集:BuzzFeed Japan