YouTuberが配信中におにぎりの一気食いで窒息、死亡 医師は「早食い」に警鐘

    ポリシーで危険なチャレンジは禁じられているが、YouTube上には「おにぎり早食いチャレンジ」が多く投稿されている。

    YouTubeでライブ配信をしていた女性が「赤飯」のおにぎりを一口で食べ、そのまま意識不明になったとみられる事故。女性がその後死亡したと、本人のTwitterに親族名義で書き込みがあった。

    YouTube上には「大食い」や「早食い動画」も多く存在している。医師は「やるべきではない」と警鐘を鳴らしている。

    動画は4月8日夜に配信されていたもの。

    転載されている動画を確認する限りでは、「一気っていうか一口」「これを一口で…いきます」とこぶし大の赤飯のおにぎりを一口で食べようとしている様子がアップされている。

    女性は当初口を動かしていたが、その1分ほどあとに苦しそうな様子を見せはじめ、3分後には倒れこんで泡を吹き、動かなくなった。

    そして20分ほどあと、2人の男性救急隊員の姿が見え、応急処置が始まるところで、別の男性が配信を停止している。

    すでに当該動画は閲覧できなくなっている。女性のTwitterアカウントには、親族名義で女性が2日後に死亡したと明らかにされている。

    YouTubeにあふれる「おにぎり早食い」

    ライブ配信をみていたという男子中学生は、BuzzFeed Newsの取材にこう語る。

    「チャットではみんな『大丈夫??』とか『寝た?』とか混乱してました。途中で泡を吹いたらしいですが、その時の音が何かわからなくてゾッとしてました」

    いろいろなYouTubeのライブ配信をみているなかでたどり着き、最近はいくつかの配信を見ていた。そのため、ショックは大きかったという。

    「むかし早食いで亡くなられた方がいたという話を聞いたので、それを生で見てしまい、複雑な気持ちになりました」

    おにぎりをめぐっては、2016年、滋賀県彦根市でJA東琵琶湖が開いた農産物のPRイベントで、3分以内に5個のおにぎりを食べる早食い競争に28歳の男性が死亡した事故が起きている。

    しかし、YouTube上には大食いや早食い動画も多くあふれており、「おにぎり30秒チャレンジ」というものも存在する。

    芸能人や著名なYouTuberも挑戦しているが、今回の動画のような事故につながる危険性もある。

    一部の「早食い」YouTuberらは今回の一件を受け、自分たちが訓練を受けたり、細心の注意を払っているとしながら、「早食いは危険です」「真似はしないでください」などとSNS上で呼びかけていた。

    医師「早食いや一気食いは危険」

    救急医療にくわしい国際医療福祉大学三田病院救急部長の志賀隆さんは、「おにぎりのように噛みきれないもの、塊のものは特に危険です」とBuzzFeed Newsの取材に語る。

    窒息をすぐに解除できないと心肺停止に至り、その後10分で死亡するおそれがあるという。

    誰かがいる場合は、「ハイムリッヒ法」と呼ばれる腹部を圧迫する方法などで応急処置ができるが、一人でいる場合は自分で椅子にお腹をあてて圧力を高めるなどの「根拠のない方法」しか手段はないという。

    志賀さんはこう警鐘を鳴らす。

    「早食いや一気食いは危険です。基本的にやるべきではありません。とくに一人の場合は窒息死の危険があります」

    危険なチャレンジは禁止

    YouTubeの公式ポリシーでは、以下のように定められている。

    深刻な身体的危害や死亡のおそれがある危険行為または違法行為の助長を目的としたコンテンツは、YouTubeで許可されていません。

    この具体例として、「非常に危険なチャレンジ」(身体に重傷を負う恐れがある差し迫ったリスクを伴うチャレンジ)なども挙げられている。

    自殺や自傷行為も同様に禁じられており、こうしたポリシーに違反していることが通報などによって明らかになった場合は、動画が削除される。

    早食いや一気食いは、決して真似をしてはいけない行為だ。