5月8日に始まった、衆議院予算委員会の集中審議。森友学園の問題や北朝鮮のミサイル問題などについての議論が進んでいる。
午後には民進党の長妻昭議員が、安倍晋三首相の憲法改正発言について「その真意を教えてほしい」と問うた。
安倍首相は憲法記念日の5月3日、憲法9条を2020年までに改正し、自衛隊の存在を明文化する考えを示している。
読売新聞のインタビュー(4月26日に実施)や保守団体「日本会議」が主導する集会で明らかにしたものだ。
安倍首相はこう答えた。「私が今回ビデオメッセージなどを通じ、自民党総裁として憲法改正への考えを公にしたのは、国会で政党間における議論を活性化させるため」

長妻議員は「国会で自分の主張を言わず、報道やビデオでバンバン言うことに違和感を覚える。締め切りを設けるのもいかがかと思う」と発言。自衛隊を「国防軍」とすることなどを明記した自民党改憲草案を「取り下げるのか」と問いただした。
これに対する安倍首相の答弁はこうだ。
「自民党総裁としての考え方は読売新聞に相当詳しく書いてあるから、ぜひ熟読していただきたい」
この発言に委員会室は騒然となったが、安倍首相は続けた。
「党総裁としての考えをここで縷々述べるべきではなく、そこで知っていただきたいということ。その中で、草案との考え方についても説明している。そもそも、新聞記事などを発端に質問をされている」
「草案は自民党の考え方を申し上げたもので、取り下げる取り下げないの問題ではない。これがそのまま通るとは考えていません。憲法審査会の中でだんだん議論が収れんしていくもの」
答弁後、委員長から安倍首相に「新聞社の件など不適切でありますので、今後気をつけていただきたい」との呼びかけが。長妻議員も「長年国会で質問しているが、自分の発言は読売新聞で読めという答弁は初めて」と苦言を呈した。
安倍首相は読売新聞のインタビューで、自衛隊について「多くの憲法学者は『違憲』と言っている」と主張。「自衛隊を合憲化する」ために、9条の「1項、2項を残し、その上で自衛隊の記述を書き加える」との持論を述べている。

長妻議員は集中審議で、横畠裕介内閣法制局長官に「自衛隊は違憲なのか」と質問した。答弁の内容はこうだ。
「政府としては、自衛隊は一貫して我が国を防衛する立場の最小限度の実力組織で、憲法に違反していない。平和安全法制が施行され、付与された新たな任務を含め合憲であります」