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「都民ファースト」圧勝でも厳しい表情だった小池知事が、笑顔を見せたある瞬間

東京都議選で自身の支持勢力の圧勝が確定した、小池百合子知事。2時間に及んだ会見での笑顔は、少なかった。

「都民ファーストの会」代表の小池百合子知事。東京都議会選挙で圧勝の報道を受けても、その笑顔は少なかった。

午後8時、新宿区内のホテルで野田数幹事長と記者会見を始めた小池知事。「支持勢力過半数へ」との各社速報を受け、集まった100人以上の報道陣に対し、まず「これから当たり前の都政を都民が取り返す。その瞬間のように思っています」と語った。

そのまま2時間近く席に座りながら、テレビやラジオなどの中継に対応に追われた。

ただ、「望外の結果で私自身感動している」「都民目線で進めた成果が認められたと、大変うれしく思っている」などの言葉と裏腹に、神妙な面持ちを崩さなかった。

「責任感」から神妙な面持ちに?

破顔したのは、6月に出版された自身の写真集について問われたり、国会議員時代に自身の秘書だった千代田区の候補者について問われたとき、など。

候補者名に花をつけるときも表情を崩さず、カメラマンから「笑顔をお願いします」と頼まれるほどだった。その理由は「責任感」だという。

「私自身の選挙は自分で責任を取ればよい話ですが、人生これまでいろいろ社会的な経験を積んでこられた方々が、崖から飛び降りて出馬されたわけです」

「その方の人生を担っていると思うと、自分のときよりも責任の重さが違う。そういう意味で、神妙にならざるを得ません」

小池知事を苛立たせた質問

苛立ちを見せた瞬間もあった。

各社から相次いだ「二元代表制」が成り立たないのでは、との質問に対してだ。知事とその支持勢力が優勢の都政では、権力を監視する仕組みが機能しないのではないかという懸念だ。

小池知事は、厳しい表情でこの質問を突き放した。

「二元代表制のことをみなさんおっしゃるが、だったらもっと昔から議会をチェックしていってほしい」

「これまではドンによる一元代表制だったと言っても過言ではない。これで二元代表制にしていくレールが敷かれたと思っております」

当選した議員たちとは、どのように都政運営をしていくのか。

「世界が激動している中、アジア各都市との都市間競争に負けてしまうなんてことはあってはいけない」

「スピード感を持って、改革の志を常に持ちながら。歩調を取るときは取り、これまで以上にチェックするときはしっかりしていただきながら、新しい都政の一歩を開いていきたい」

そのうえで、これまでの都議会は「汚いヤジが飛ぶときしか注目されていなかった」と指摘。この1年間は「これまでにない注目を集めた」としながら、「都民によるチェック」の必要性にも言及した。

「開かれた都政、議会によってより近い都政を展開していきたいと考えている。都民からは丸見えになります。しっかりとチェックしていただく形になる」

国政進出は本当にないのか?

また、国政進出に関する質問も相次いだ。これにも小池知事は、苛立ちを隠さなかった。

「みなさん先回りされるんですが、確実な都政を進めてまいりたい」 「国政云々についてはそれにお答えするのは相応しくない。都知事としてこれからも邁進していきたいと考えております」

自身の国政進出については「予定はございません。私は知事ですので」と一蹴。こうも語った。

「都民ファーストの会は都政に取り組むからこそ、支持を得ました。都政に邁進することを期待されています」

また、候補者の国政進出については、「都議選がおわったばかりで国政云々は早いのではないか」と指摘。「まずは都政でしっかりがんばっていただきたい」と背中を押した。

大敗した自民党への意見は

対する自民党は、過去最低だった1965年、2009年の38議席を下回る情勢と伝えられている。

森友学園や加計学園、共謀罪など荒れた国政の影響があったのではないか。そう問われると、小池知事は「その分析は自民党がされることだと思う」と牽制した。

「私どもはあくまで都政に対する真摯な政策の訴えに徹してきた。有権者にはいろいろな思いがあると思うが、それをしっかり受け止める存在であったことは嬉しく思っている」

ただ、政府自民党との連携については「私が戦ったのは自民党都連。しっかりと連携とっていくべきところはとっていきたい」と述べている。

一方、この点について自民党都連の下村博文会長はこう語っている。

「自民党への怒りがあり、自民党の驕りはどうか、国会運営が横暴だったと、いろいろなことに対する都民の怒りがあったと思う」

「都民のみなさまが、厳しい審判を下した。小池知事と協力するところは、積極的に協力したい」

小池知事が会見で語った「冗談」

もちろん、小池知事は終始表情が硬いままだったわけではない。国政に関する冗談を語るときには、その表情は不思議と和らいだ。

たとえば、都民ファーストからもともと出馬した50人中、17人が女性だ。小池知事は「政治を変えるのは女性だと思っている。そういう候補者を選んだので、このことは都政を大きく変える原動力になる」と語り、続けた。

「暴行や暴言はないと思います」

秘書へのパワハラを報じられた自民党・豊田真由子衆議院議員を意識した発言が飛び出したのだ。

もう一つは、安倍晋三首相を意識した発言だ。

自身は候補者の応援に101回駆けつけたといい、街頭に一度しか立たなかった安倍首相との差を強調したのだ。

「私は101回。総理より100回ほど多く、しっかり街頭を回らせていただいた」

都政において、「小池1強」が達成される。その余裕が感じられる瞬間だった。


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