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【加計学園】「文科省だけが怖気付いている」新たに見つかった文書から見える、問題の本質とは

官邸の指示があったのか。官僚の忖度があったのか。前川喜平・文科前事務次官が言う通り「行政が歪められた」のか。

加計学園の獣医学部新設をめぐり、萩生田光一官房副長官が文部科学省の局長と面会した際の発言内容をまとめたとする文書が新たに見つかった。

時事通信

松野博一文科大臣が6月20日、会見で発表した。そもそもこの文書は、NHKが独自に入手し、19日夜に報じていた「10/21 萩生田副長官ご発言概要」という文書だ。

NHKによると、萩生田副長官は加計学園の名前を挙げて「総理は平成30年4月開学とおしりを切っていた」などと述べた、と記されているという。

さらに、「官邸は絶対やると言っている」「文科省だけが怖気付いている」などとする発言内容(全文を朝日新聞が掲載)もあり、内閣府などと相談した具体的な指示も記されていた。

ただ、松野大臣は「副長官の発言でない内容が含まれている」ともしている。

なぜ、新たな文書が注目を浴びているのか。NHKの報道によると、文書は2016年10月21日のもの。今治市が特区に選ばれる前、加計学園が事業者に選ばれる前の発言内容だ。

そもそも、獣医学部新設に関する特区には、今治市だけではなく、京都府も名乗りをあげていた。

国家戦略特区諮問会議(議長・安倍晋三首相)が獣医学部新設を認めたのは2016年11月。「空白地域」に限るという条件がつけられたため、すでに獣医学部のある関西圏の京都府は脱落した。

その後、加計学園が事業者に選ばれたのは2017年1月だ。

つまり文書からは、今治か京都か決まっていない段階から、政府が「今治・加計ありき」で話を進めているようにも受け取れる。

時事通信

加計学園をめぐる問題は「怪文書」(菅義偉官房長官)と指摘され、その後文科省の再調査で見つかった「文書」が取りざたされたことで、波紋を広げていた。

内閣府と文科省の会合を記録したとされる、この2016年9〜10月の文書にも、今治市や加計学園を前提とし、「総理のご意向」「官邸の最高レベルが言っている」とする内容が記されていた。

今回見つかった新たな文書からは、「副官房長官」という総理に近い立場の人物が、同様の発言をしていた可能性がうかがえる。

一方、萩生田副長官は6月20日、新たな文書について「このような不正確なものが作成され、意図的に外部に流されたことについて非常に理解に苦しむ。強い憤りを感じている」とするコメントを発表

また、記されていた内容に関しては「私は総理からいかなる指示も受けたことはない」などと否定した。

萩生田副長官をめぐっては、新設条件の文言を「広域的に存在しない地域に限る」と修正するよう指示があったと記されたメールが文科省の再調査で見つかっていた。

この条件修正により、加計学園の獣医学部新設が確実になった。同じく特区に応募しようとしていた京都産業大学のある関西圏には、すでに獣医学部があったからだ。

萩生田副長官はこの件についても6月17日、「指示を出したことがない」と否定。山本地方創生担当大臣は、内閣府の調査でメールが確認できたとしたうえで、修正は自らの指示であったことを明らかにしている。

今回の文書が見つかったことにより、文科省と内閣府との間の食い違いはさらに広がることになる。

そもそもこの問題の本質は、文書の存在どうこうではなく、「行政が歪められた」のか、否かにある。

時事通信

獣医学部はこれまで、獣医師の増えすぎを防ぐために新設が抑制されていた。ただ、2015年6月に閣議決定された「日本再興戦略」で、獣医学部設置についての新たな条件が示されたことにより、規制緩和の道が開けた。

条件には、新たな分野における獣医学部の需要が明らかになる場合などが挙げられている。当時の国家戦略特区担当相が石破茂氏だったため、「石破4条件」とも呼ばれる。

しかし、今回の特区を決めるプロセスでは、この4条件に関する判断が出されないままに議論が進み、「行政が歪められた」と前川喜平・文科前事務次官が指摘している。

「4つの条件に合致しているかどうかを判断すべき責任がある内閣府は、そこの判断を、十分根拠のある形でしていない」(5月25日の会見、毎日新聞)などと言った指摘だ。

野党もこうしたプロセスに問題点があると批判。安倍首相や萩生田副長官が加計孝太郎理事長と親しい点を指摘しながら、便宜や首相への「忖度」があったのではないか、としている。

萩生田副長官のブログより / Via blog.livedoor.jp

政府は一貫してこれを否定している。安倍首相は6月19日の会見で、「歪んだ行政を正すものだった」「プロセスは透明で公平公正」と主張した。

「専門家の育成や公務員獣医師の確保は喫緊の課題で、そうした時代のニーズにこたえる岩盤規制改革は、歪んだ行政を正すもの。スピード感を持って進めることは、まさに総理大臣としての私の意志であります」

「透明で公平公正なプロセスこそが、内向きの議論を排除し、既得権でがんじがらめとなった岩盤規制を打ち破る大きな力となる。これが国家戦略特区であります。審議にたずさわった民間議員の皆さんは、プロセスに一点の曇りもないと断言されております」

それならば、と野党は首相の出席を求めて衆議院予算委の閉会中審査や、前川氏の証人喚問を要求している。しかし、与党は応じる姿勢を見せていない。

「これはスキャンダルではなく、税金の使い道の問題だ」との指摘もあがっている。

AFP=時事通信

今治市に新設される獣医学部の土地(評価額36億7500万円)は今治市から無償で、さらに事業費の半分(96億円)が市から提供される。また、私学助成金も毎年支給されることになるからだ。

2017年3月の答弁で、問題について「働きかけがあれば、責任を取る」と明言している安倍首相。6月の答弁ではその内容について「申し上げる必要はない」と語っている。

Kota Hatachiに連絡する メールアドレス:Kota.Hatachi@buzzfeed.com.

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