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Updated on 2019年10月2日. Posted on 2019年10月1日

「ベトナム人女性をレイプし、切断して楽しむ韓国兵たち」拡散した写真、フェイクの説明を後付けか

広がっている画像は、韓国軍がベトナム戦争時、現地で行った残虐行為という文脈で使用されており、多くは「ライダイハン」や虐殺事件に関するブログ記事や、ツイートに付随して拡散している。

「ベトナム人女性をレイプしたあと、切断して楽しむ韓国兵たち」という画像がネット上に広がっている。

結論から言うと、これは韓国兵を写したものではない。実際は「ベトナム戦争時の戦闘後の米兵たち」を写したもので、キャプションは虚偽だ。

BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施した。

広がっている画像は、韓国軍がベトナム戦争時、現地で行った残虐行為という文脈で使用されており、多くは「ライダイハン」や虐殺事件に関するブログ記事や、ツイートに付随して拡散している。

「ライダイハン」(発音が濁らずライタイハンと呼ばれることも)とは、韓国軍兵士がベトナム人女性との間にもうけ、現地に残した子どもたちを指す造語。

性的暴行の被害者を含むこともある。「ライ」はハーフの蔑称で、「タイハン」は韓国を指すベトナム語だ。

ベトナム戦争には、のべ30万人以上の韓国軍兵士が参加した。読売新聞(2013年6月22日)によると、「ライダイハン」の正確な人数は不明だが、5000人〜3万人にのぼると言われているという。

前提として、韓国軍が民間人に対する虐殺事件を起こしているのは事実だ。韓国紙ハンギョレ新聞は、1964年9月から1972年までの期間に虐殺は80件あまり起き、被害者数は9千人あまりと推測される、と伝えている。

ベトナムでは韓国に謝罪を求める声も高まっており、文在寅大統領は2018年に「遺憾の意」を表明した。イギリスの民間団体が「ライダイハン像」をつくり、ロンドンに展示。韓国政府に調査を求めるという動きも起きている。

出典は半世紀前の写真集

Kota Hatachi / BuzzFeed

BuzzFeed Newsはこの写真が掲載されている写真集の原本を確認した。

写真集は朝日新聞社から1971年に出版された『写真報告 戦争と民衆』。カメラマンの石川文洋氏がベトナム戦争時、米軍やベトナム共和国軍に従軍した際の記録をまとめているものだ。

上記の画像にある通り、写っているのは米兵だ。写真のキャプションには以下のように記されている。

カンボジア国境付近の湿地帯。待ち伏せ作戦を受けた解放戦線の分隊が全滅した。散乱した死体とむせかえるような血のにおいの中で兵士たちはむしろ楽しそうだった。

拡散している画像では、立っている米兵たちの首から上がトリミングされ、座っている兵士について「右端で座っているのは、同行した米兵」と説明されている。

10年以上前から拡散か

Google

同様の画像は大量に拡散している。

この画像は、多くのブログで使用されている。「正しい日本の歴史」「朝鮮人の悪事を告発!」「韓流大嫌いブログ」などというタイトルのものが散見された。

いったい、いつからネット上に出現したのか。BuzzFeed Newsが確認した限り、2006年4月の日付がある、米軍を批判する内容のブログで、石川氏の名前と写真集の書名、写真が載っているページ番号を添えて「米兵が笑って死体を見下ろしている」と紹介されているのが最初だ。

ブログの筆者はコメント欄で、「米兵の顔がなぜカットされているのでしょう」という質問に「写真集が大きすぎてスキャナーでスキャンできなかったから」と回答している。

では、いつから、これを「韓国兵」とするキャプションが付随したのだろうか。

2010年6月に「Yahoo! 知恵袋」に投稿された「韓国人はベトナム戦争で30万人以上のベトナム人を虐殺したのですか?」という質問に、このブログと同じ画像が添付されているのが、確認できる限りでは最も古い。

(*この「30万人以上」というのは派遣された韓国軍兵士の数であり、虐殺の被害者の数ではない。誤用しているとみられる)

画像はその後、2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)やブログなどにも転載。最近ではTwitterにも広がって、たびたび拡散しているようだ。また、画像を埋め込んだYouTube動画も存在しており、数万回再生されているものもある。

今回広がっていた画像内にキャプションを入れたもののほか、「ライダイハンを忘れるな!」と赤文字を入れられたバージョンもある。

なお、同じ写真集に掲載されていた「遺体を手で持ち上げる米兵」の写真を「韓国軍の残虐行為」として使っているサイトも複数存在した。


BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、このレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。

  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。


Contact Kota Hatachi at kota.hatachi@buzzfeed.com.

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