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“反コロナワクチン”記事が「note」で拡散? 誤情報や陰謀論で影響力、運営側も問題視か

記事はいずれも、誤ったり、根拠不明だったりしている情報や、因果関係の認められていない有害事象を強調してワクチンに対する不安を煽ったりしている。なかには医療者や公職者によるものもある。また、海外で拡散している根拠不明の情報を「翻訳」して転載しているコンテンツが多く見られるのも特徴だ。

「メディアプラットフォーム」として、月間アクティブユーザー数6300万と大きな影響力を持っているWebサービス「note」。

新型コロナウイルスの感染対策を巡り、「ワクチン」がタイトルに含まれるシェア数トップ100記事(今年上半期)の過半数を、根拠のない情報や誤った情報をもとワクチンを否定したり、不安を煽ったりするような記事が占めていることが、BuzzFeed Newsの調べでわかった。

note側はこうした記事の一部を問題視し、流入を防ぐために検索エンジンに掲載されないような措置を加えているとみられるが、手を打つ基準は明らかにしていない。

BuzzFeed

「note」で拡散していたコンテンツ(コラージュ)

誰でも自由に文章や画像、音声、動画を投稿することができるプラットフォームとして、2014年からサービスを開始した「note」。

ここ数年で利用者が急増し、登録者数 は380万人(2021年3月末時点) で、月間アクティブユーザー数は6300万(2020年5月時点)となっている。

BuzzFeed Newsは、計測ツールBuzzSumoを使い、今年6月末までの上半期に公開された「note」の記事のうち、タイトルに「ワクチン」を含むシェア数上位100の記事を抽出し、調査した。

その結果、少なくとも58記事が、誤ったり、根拠不明だったりしている情報や、因果関係の認められていない有害事象を強調してワクチンを否定したり、不安を煽ったりする記事だった。

なかには医療者や公職者によるものもある。また、海外で拡散している根拠不明の情報を「翻訳」して転載しているコンテンツが多く見られるのも特徴だ。

誤った情報が記載されているにもかかわらず、数千の「いいね」がついている記事も複数確認されており、コメント欄でも議論が活発にされている。不確かな情報を拡散する起点となっているのは間違いないと言えるだろう。

実際、影響力の強いnoteはほかのSNSで拡散し、数千シェアされているものが複数あるほか、スクリーンショットがInstagram上で広がるなど、若い世代に影響を及ぼしていることも、BuzzFeed Newsの取材で明らかになっている。

「明らかに誤った情報」が最多シェア

noteより

BuzzFeed News調査では、「ワクチン」がタイトルに入るnoteの記事で、今年上半期のシェア数がトップだったのは、《ワクチンこそが感染源》という、4月に公開された記事だ。

兵庫県でクリニックを経営する内科医によるもので、FacebookとTwitterであわせて5700以上シェアされている。また、note上でも3800件以上のいいねを集めている。

これは、今年アップされたワクチン関連の日本語のテキストコンテンツ(メディア、行政、ポータルサイトのものをのぞく)で、5番目の拡散となっていた。

BuzzFeed Newsはこの記事に対し、コロナ問題に関する日米の専門家グループ「こびナビ」の協力を得てファクトチェックを行った。複数の専門家が、ワクチンが感染源になりうるという主張について「明らかに誤った情報」としている。

noteにはそのほかにもワクチンが「麻痺」や「心臓発作」の原因であるとする誤った情報が掲載されていた。

なお、この内科医による記事は、シェア数トップ10のうち、4つを占めている。

いずれも不確かな情報をもとにワクチンを疑問視したり、接種に反対する内容で、一定の影響力を持っているといえそうだ。

陰謀論の拡散も

Instagramより

ほかのSNSでnoteが転載されている様子も多数確認できた

そのほか、シェア数が上位の記事を見てみると、トップ20では14記事が同様の記事だった。

たとえば、4400シェアされていた2月の記事では、「不妊になる」「裏には真の目的がある」などと事実に基づかない主張がされており、note上で1400件以上のいいねを獲得している。

2700シェアされていたのは前述のクリニックによる6月の記事で、「妊娠を考える女性にとってこのワクチンが危険」などという誤った情報を掲載している。note内での「いいね」の数はシェア数トップの記事よりも多い約4500だった。

そのほか、ワクチンをうつと「多くの人が3~6ヶ月以内に死亡するだろう」という全く根拠のない憶測を掲載している記事(2200シェア)や、ワクチンには「ナノロボット」などが含まれていると主張し、「解毒」する効果があるとした食品などをまとめた記事(同)もあった。

さらに、「ワクチンには水銀が含まれている」という「元製薬会社員」による根拠のない情報を掲載した記事や、因果関係の認められていない有害事象を強調して不安を煽る記事もあった。

このほか、「コロナウィルスなど存在しない」「人口削減のため」「遺伝子が書き変わる」「ワクチン入りのトマトが出荷された」などという陰謀論を拡散しているものも確認できた。

noteの見解は?

noteより

note上ではワクチンに関する記事には「新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です」として、公的ソースを確認するような注意書きがある。

新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。

「非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています」と記しているが、なかには記載されていない記事もあった。note上の検索結果にも同様の文章が掲載されているが、その効果ははっきりしない。

誤情報や陰謀論を元にしたワクチンに関する言説が大量に掲載されていることへの見解を問い合わせると、noteの広報担当者は以下のように答えた。

「noteはだれもが創作をはじめ続けられるプラットフォームとして、利用者の方がnoteに投稿された内容については利用規約に則り対応をしています。新型コロナやワクチンに関する情報についてはプラットフォーム運営者としてさまざまな対処をしております」

そのうえで、「対処でお伝えできるものは、以下の通りです」と以下の3項目を明かした。

  • 「コロナ専門家有志の会」のアカウントを常時トップページに掲載するなど、専門家の声が届きやすい環境を整備
  • 新型コロナやワクチンに関する情報は、記事内容以外の点で政府情報へのアクセスを促す注意書きを表示
  • 利用規約に反するものは、様々な対応を実施


「検索エンジン」に載らない措置も

Google

なお、BuzzFeed Newsがソースコードを確認したところ、こうした言説の58記事のうち30記事には、検索エンジンに載らないようにする「noindex」「nofollow」のタグが組み込まれていることがわかった。

検索エンジンに掲載されないようになると、たとえば「ワクチン」「不妊」などで検索しても、当該コンテンツが表示されることはないため、記事への流入を一定程度防ぐことができる。

例えば前出の内科医の記事は、いずれも「noindex」「nofollow」のタグが埋め込まれていた。note側が何らかの基準でコンテンツを選び、こうしたタグを加えているとみられる。

措置の基準は何か。noteの広報担当者は取材に、「一部の記事に関しては利用規約に基づき、ご指摘のような対応を行う場合があります」と回答。タグを入れていることは認めた。

利用規約は、規約に反した場合や内容が不適切だと同社が判断した場合などに、本人に事前に通知することなく利用を停止することや、コンテンツの削除、または検索結果からの除外などの措置をすることがある、と規定している。

では、「不適切」の判断基準は何か。BuzzFeed Newsは、各コンテンツの監視方法や、具体的な判断のプロセス、利用規約に反したとされた記事の件数や内容、個別の理由などについても質問をした。

しかしnoteの広報担当者は、「対応を行う際の基準の詳細については、非開示とさせていただきます」と回答。プラットフォームがどのように判断しているのか、その詳細は明かさなかった。

なお、いま広がっている記事などについて追加で対策を取るかどうかについては、「利用規約・ガイドラインに則り、社会情勢を鑑みながらプラットフォームの運営に努めてまいります」と回答した。

UPDATE

文中表記を一部修正しました。


Contact Kota Hatachi at kota.hatachi@buzzfeed.com.

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