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「台湾人、中国人のマスク買い占めを防ぐため国旗を印刷」は誤り。新型コロナめぐり、まとめサイトが拡散

台湾国旗が印刷されたマスクは台湾のネット掲示板で「ネタ」にはされていたものの、遅くとも2019年には製造が始まっており、今回のコロナウイルスとの関係はない。BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施した。

新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、ネット上で「台湾人が中国人によるマスク買い占めを防ぐため、台湾国旗を印刷した」という情報が広がっている。

この情報は誤りだ。国旗が印刷されたマスクは台湾のネット掲示板で「ネタ」にはされていたものの、遅くとも2019年には製造が始まっており、今回のコロナウイルスとの関係はない。BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施した。

ネット上で拡散しているのは「台湾人、中国人によるマスク買い占めを防ぐために台湾国旗を印刷」という、まとめサイト「コノユビ」の情報だ。

これは、もともと海外でミームとして広がっているマスクの画像を転載した5ちゃんねるのスレッドを引用したもので、同サイトのTwitterが起点となり拡散。

すでに1万7000件以上リツイート、4万4000件以上いいねされるなど、広がりを見せている。

また、リプライ欄には「それでは韓国人による日本製マスクの買い占めを防ぐためには…」「旭日旗の柄のも作ればいい!!」などと、外国人の排除を煽るようなコメントも相次いで寄せられている。

このマスクがコロナウイルスをめぐる「中国人によるマスク買い占めを防ぐため」に作られたという情報は誤りだ。

実際、BuzzFeed Newsがこのマスクのメーカーサイトのアーカイブを確認したところ、2019年7月22日にはすでに「限定品」としてラインナップに掲載されている。

また、台湾のネットショップでも製造日が2019年7月23日のマスクが取引されており、12月にレビューがついている様子も確認された。1月から本格化した新型コロナウイルスの感染拡大との関係はないことは明白だと言えるだろう。

このマスクは、台湾のオンラインコミュニティ「PPT」で1月29日に取り上げられ、中国でのマスク不足が深刻化するなかで「中国に寄付したら着けてくれるのか?」と議論が白熱。現地のメディアも、その様子を紹介していた。

その後、実際に店舗で販売されていた写真に「台湾人はマスクに国旗を印刷しているので、これを買った中国本土の人は台湾国旗を顔にくっつけることになる」と言及したミームが世界中に広がったとみられる。

そうした「ネタ」が、日本ではなぜか「買い占めを防ぐために国旗を印刷」という情報にすり替わってしまったのだ。

コロナをめぐるデマ、たびたび拡散

新型コロナウイルスをめぐっては、その致死率や治療法、中国人観光客をめぐる情報など、悪質なデマから真偽不明な「善意の情報」まで、さまざまな情報がネット上でたびたび、拡散している。

過度の不安を煽るもの、中国人への憎悪感情や排斥を煽るものも少なくはない。パニックを誘発しやすいタイミングだからこそ、公的機関から発信されていない情報には、注意が必要だ。


BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

ファクトチェック記事には、以下のレーティングを必ず記載します。ガイドラインはこちらからご覧ください。なお、今回の対象言説は、FIJの共有システム「Claim Monitor」で覚知しました。

また、これまでBuzzFeed Japanが実施したファクトチェックや、関連記事はこちらからご覧ください。

  • 正確 事実の誤りはなく、重要な要素が欠けていない。
  • ほぼ正確 一部は不正確だが、主要な部分・根幹に誤りはない。
  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。