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Updated on 2020年4月6日. Posted on 2020年4月2日

国内の新型コロナ感染者「3分の1が外国籍」は誤り。グラフが拡散、厚労省の見解は

厚労省のサイトでは陽性者のうち「日本国籍者のもの」を公表しているが、そこから「海外移入が疑われる事例」(帰国者など)を引いたものが「外国籍」であるとして、こうしたデータが導かれているとみられる。

新型コロナウイルスの感染拡大をめぐり、インターネット上で「国内の感染者のうち3分の1が外国籍」「半数が外国人」などとする情報が拡散している。

厚生労働省のデータを引いたグラフも複数パターン広がっているが、これは「誤り」だ。BuzzFeed Newsはファクトチェックを実施した。

拡散している誤ったグラフは、以下の通りだ。

Twitterより

グラフだけではなく、「外国籍が3分の1」「日本国籍者の半数」などという指摘や同様のデータは、表や数値としても拡散。

「ここはどこの国なのでしょうか...」「TV報道されないコロナ感染不都合な真実」などというコメントともに広がっている。

なかには1万リツイートを超えるようなものも存在しており、外国人に対する憎悪や排除をあおるような書き込みもみられる。

また、まとめサイトやブログにも転載されている。たとえば、「アノニマスポスト」は「<#テレビが絶対に報道しないニュース>」などとしてグラフを引用。

以下のような見出しの記事は、8500以上リツイートされている。

《3月30日現在、厚労省発表の国内の感染者数1,866人のうち、日本国籍者は1,060人と判明~ネットの反応「純粋に日本人だけなら感染率は今よりもっと低いのか」「日本の病院が外国籍に占領されてしまうとは…」》

「ほとんどが日本人ではないか」

Google

Googleで検索すると、グラフが大量に転載されていることがわかる

こうしたデータは、誤りだ。

拡散している情報はどれも、出典を厚生労働省のサイトとしていることが特徴だ。しかし、厚労省は外国籍の人数を公表しているわけではない。

厚労省のサイトでは陽性者のうち「日本国籍者のもの」を公表しているが、そこから「海外移入が疑われる事例」(帰国者など)を引いたものが「外国籍」であるとして、こうしたデータが導かれているとみられる。

BuzzFeed Newsが厚生労働省結核感染症課に問い合わせたところ、担当者は「陽性者の外国籍が3分の1、半数といった事実はありません」と述べた。

「日本国籍者のもの」としている数値はあくまで「はっきりと確認できた」ものに限っており、「国籍を確認中の方が大半で、必ずしも外国籍というわけではありません」と指摘。こうも言及した。

「このタイミングで外国人観光客が増えていることは考えづらく、感染拡大の状況から考えても、確認中の方のほとんどが日本人であると推測されます」

そもそも厚労省がまとめているデータは、都道府県や政令指定都市が発表したリリースに基づくものだ。

国籍については必須ではなく、感染者が増えている自治体では記載がない場合もある。そうした場合は「日本国籍のもの」に計上されないのだという。

「指定感染症のため、経過がわかる最低限の情報が必要となります。年齢についてもおおまかのもの、国籍だけではなく性別が載っていないケースもあります。こうしたデータは、あとから確認できた場合に計上しています」

国籍は「感染経路を突き止める上でも役立つ情報でもある」としたが、「外国籍が多い」という点についての問い合わせが国会議員などからも寄せられていることから「データの出し方についても検討が必要」との見解を示した。

感染症に乗じた差別は許されない

Twitterより

新型コロナウイルスをめぐっては、中国人に対する差別が感染当初から問題視されていた。

横浜中華街では、複数の飲食店に「日本から出て行け」などというヘイトスピーチを記した差出人不明の封筒が届いていたこともわかっている。

日本だけでなく世界各地で、中国人のみならず、日本人を含むアジア系への差別が広がっており、日本の厚生労働省も「人が悪いわけでなくウイルスが悪い」と会見で呼びかけている。

また、志村けんさんが新型コロナウイルス肺炎で亡くなった直後には、中国人への排除や憎悪をあおるような書き込みも一部で広がった。

これを受け、森雅子法務相も国会で「新型コロナウイルスに関連して不当な差別や偏見があってはならないのは言うまでもない」と述べている(神奈川新聞、4月1日)。

特定の地域に住む人々や特定の人種・民族を攻撃したり、特定の人たちに対する敵対心をあおったりするような行為は、許されない。改めて、そういう認識を持つことが大切だ。


BuzzFeed JapanはNPO法人「ファクトチェック・イニシアティブ」(FIJ)のメディアパートナーとして、2019年7月からそのガイドラインに基づき、対象言説のレーティング(以下の通り)を実施しています。

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  • ミスリード 一見事実と異なることは言っていないが、釣り見出しや重要な事実の欠落などにより、誤解の余地が大きい。
  • 不正確 正確な部分と不正確な部分が混じっていて、全体として正確性が欠如している。
  • 根拠不明 誤りと証明できないが、証拠・根拠がないか非常に乏しい。
  • 誤り 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがある。
  • 虚偽 全て、もしくは根幹部分に事実の誤りがあり、事実でないと知りながら伝えた疑いが濃厚である。
  • 判定留保 真偽を証明することが困難。誤りの可能性が強くはないが、否定もできない。
  • 検証対象外 意見や主観的な認識・評価に関することであり、真偽を証明・解明できる事柄ではない。


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