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「都の何を信じれば…」豊洲移転、来冬以降の延期に業者から悲鳴

補償はどうなるのか。

小池百合子都知事は11月18日、定例会見で、築地市場の豊洲移転が2017年の冬以降になることを明らかにした。

時事通信

現在進んでいる専門家会議や市場問題プロジェクトチームの報告を待ち、2017年6〜7月ごろに移転に関する「総合的な判断」をするという。

その後の環境アセスメントが無事に済んだ場合、早ければ2017年の冬〜18年春には移転できる見通しだ。

また、2020年の東京五輪までに築地市場跡地の地下に通る予定だった環状2号線のトンネルについては、「物理的に間に合わない」ため、地上道路になるとの方針を示した。

本来なら今年11月7日に開場していたはずの豊洲市場。小池知事によれば、使っていない間にも、1日あたり500万円のコストがかかる。

時事通信

小池知事が移転の中止を決めたのは、8月末。安心の確保のため、来年1月に出る予定の地下水の検査を待つためだ。

しかしその後、建物の下に盛り土がされていなかった問題が浮上。汚染水の存在や建物の安全性そのものに注目が集まり、「風評被害」(小池知事)が拡大している。

建物の安全性については、都のプロジェクトチームが「法的には安全」との見解を示している。汚染水の問題に関しても、BuzzFeed Newsの取材に応じた専門家は、「安全だ」と答えている。

こうした状況に対し、市場関係者からは「移転するのかしないのか、はやく決めてほしい」という声が上がっている。

Kota Hatachi / BuzzFeed

11月14日に開かれた都の「市場問題プロジェクトチーム」による事業者へのヒアリングでは、延期への不満が噴出した。

たとえばある仲卸組合役員の男性は、「移転計画が不透明で銀行融資が受けられない、リースが受けられないという業者がでてきている」と訴え、こう語った。

「数千万円の設備投資をして、工事は終わり、支払いをする時期に入っている。我々ははしごを外され、困っている。どういうところに対策をお願いすれば良いのかわかりません。はっきりしていただきたい」

卸売業者団体の試算によれば、その損失は1ヶ月で4億3500万円にのぼる。

これは、水産卸業者6業者と冷蔵事業者の損失額だ。

移転を前提に採用した従業員の人件費、電気代、車の維持費などのランニングコストは毎月3億円。そのほか、修繕費などが1億3500万円かかるという。

さらに、仲卸業界には、まだ試算されていない損失もあるという。

小池都知事はこの点について「喫緊の課題」と指摘。補償についても11月下旬から業者へのヒアリングを始めると述べた。

それを経て「客観的で公正な補償スキーム」をつくり、来年4月以降に支払いを始めるという。それまでの1000万円を限度に、都が利子などを全額負担する融資策も実施する。

いずれも税金ではなく、市場業者が都に納めている使用料などによる「市場会計」をベースにする考えだ。

会見では、業者の心中を察してか、こうも語っている。

「私がその立場なら、『これで年が越せるのだろうか』、『費用は以前よりはかかるかもしれない』と、いろいろとご心配なことがいっぱいあると思う」

また、老朽化が進んでいる築地市場の補修も大きな課題だ。耐震性や雨漏りなど、補修すべき部分は大量にある。

Kota Hatachi / BuzzFeed

この点について、小池知事は「安全に営業ができる環境を維持するために、雨漏りや床面や電気配線の補修を適宜実施する」と述べた。

移転の延期に際し、費用はかさむ一方だ。

小池知事は、市場制度そのものにかかる費用も課題であるとの認識を示した。

今後、「市場問題プロジェクトチームで、市場制度そのものの持続可能性と、経営的、経済的、物流的観点から分析をしていく」という。

BuzzFeed Newsの取材に対し、ある仲卸業者の男性は、補償への不信感を募らせる。

「移転延期を決めた時点で補償方法は発表すべきだった。何も調べずに思いつきで移転を中止されて、いまになって補償や期日の話が出てきている。この3ヶ月間、何をしていたのかと思う」

そう話す男性は、 「巨大組織の手続き上仕方ないのかなと思う」とため息をついた。

仲卸業者などでつくる「築地市場協会」の伊藤裕康会長は11月14日、都に対し要望書を提出した。

時事通信

豊洲市場の安全性の早期確認、移転期日の早期決定、移転延期に関わる補償の早期実施。小池知事にリーダーシップの発揮を求めた文書の最後には、こんな言葉がある。

「いま私共は、東京都の何を信じ、何処と話をし、何を頼ればよいのかわからない状態におかれております」

Kota Hatachiに連絡する メールアドレス:Kota.Hatachi@buzzfeed.com.

バズフィード・ジャパン ニュース記者

Kensuke Seyaに連絡する メールアドレス:kensuke.seya@buzzfeed.com.

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