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河野担当相、7つの「ワクチンデマ」をブログで否定。「医師にもかかわらず流す人も」と注意呼びかけ

ファイザー社やモデルナ社のワクチンをめぐり流布している7つの言説について、科学的根拠がなかったり、明らかな誤りであったりするとして、改めて否定した。

新型コロナウイルスのワクチンに関して問題視されている誤情報。

河野太郎ワクチン担当相は6月24日、「不妊になる」「遺伝子を組み替えられる」など、ネットで広がっている7つの情報について、「ワクチンデマ」として否定し、注意を呼びかけた。

また、医師免許を持った人物による不正確な発信や、イデオロギーや収益目的の拡散もあるとして警鐘を鳴らした。

河野担当相は「ワクチンデマについて」とブログを更新。

ファイザー社やモデルナ社のワクチンをめぐり流布している7つの言説について、科学的根拠がなかったり、明らかな誤りであったりするとして、改めて否定した。

BuzzFeed Newsがまとめた要旨は以下の通り。


(1)「実験用のネズミが2年で死んだ」「ネコがすべて死亡した」

「実験用のネズミの寿命がそもそも2年程度。ヒトに関する研究の前段階としての動物実験でネコは一般的に使われず、ファイザー社のワクチンの研究でネコが使用されたことはない」

(2)「不妊が起きる」

「これまでのワクチンで不妊が起きたことはない。コロナワクチンでも不妊が起きるという科学的な根拠は全くない。アメリカで行われた研究でも、流産や早産、先天形態異常が起こりやすいということがないことが確認されている」

(3)「卵巣に蓄積する」

「ごく微量が卵巣に一時的に分布したということであり、蓄積というのは明らかな誤り」

(4)「遺伝子が組み替えられる」

「mRNAワクチンが遺伝子に組み込まれる可能性はない。ヒトの遺伝情報はDNAの形で細胞の核の中に保存されているが、mRNAは細胞の核に入ることができない」

(5)「治験が終わっていないので安全性が確認されていない」

「mRNAワクチンは、基礎研究、動物実験、治験が省略されることなく実施され、リスクを上回る臨床的に意味のある有効性が確認されている。その上で、いつまで効果が持続するかという長期の有効性を確認するための治験が継続して行われている」

(6)「長期的な安全性がわからない」

「mRNAは半日から数日で分解され、ワクチンにより作られるスパイクタンパクも約2週間以内でほとんどがなくなる。遺伝子に組み込まれることもない。アナフィラキシーの症状は接種2日以内に限られる。これまでのワクチンでも、ほとんどの副反応が6〜8週間以内に起きることが知られており、長期的な安全性について特段の不安があるということはない」

(7)「ADE(抗体依存性増強現象)が起きる」

「ワクチンや過去の感染により作られる抗体がウイルスの感染を増強してしまうことをADEというが、動物実験でADEは観察されず、大規模な治験においても報告はないことから、新型コロナワクチンに関してADEの可能性は考えにくい」


今回の発信について、新型コロナやワクチンに関する正確な情報発信を推進する日米の専門家によるプロジェクト「こびナビ」の監修を得ていると明らかにした。

「ワクチンデマ」の目的は?

また、河野担当相は「ワクチンデマ」を流す目的として以下の4点をあげ、「中には医師免許を持っているにもかかわらず、デマを流す人もいます」と注意を呼びかけた。

  1. ワクチンを批判して、自分の出版物やオリジナル商品に注目を引き寄せて、お金を稼ぐ
  2. 科学よりも自分の信奉するイデオロギーに基づいて主張する
  3. 過去に誤ったことを発言したために抜け出せなくなっている
  4. 自分に注目を集めたい


また、ロシアや中国がファイザーやモデルナ社製のmRNAワクチンに対する信頼性を毀損する情報発信を行なっているとした欧州連合(EU)の報告書や、誤情報の65%が12の個人と団体によって流布されているとしたデマ監視団体などのレポートも紹介した。

河野担当相は6月上旬のBuzzFeed Newsの単独インタビューで、「デマへの対応は非常に大事だと思っています」と発言。「若い世代の人々の接種を後押しするためにはネットでの発信が重要になってくる」との方針を示していた。

実際、6月23、24日には厚労省や首相官邸(新型コロナワクチン情報)の公式アカウントがTwitterで「胎児や出産、生殖器に悪影響を及ぼす報告はありません」などと積極的に発信している。