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年100人が死亡している「着衣着火」の恐ろしさ。服に火がついたとき、絶対にしてはいけないこと

「着衣着火」では、2015年から2019年までの5年間で572人が命を落としている。毎年100人前後だ。炊事中の被害も多い。火に直接触れなくても、こんろに近づくだけで発火する危険性があることにも注意が必要だ。

栃木県宇都宮市の芸術大学で、女子大学生(21)が作品制作のために鉄板を切断中、火花が衣服に引火し、重いやけどを負って死亡した事故をきっかけに、「着衣着火」の危険性を呼びかける声が広がっている。

「着衣着火」とは、文字通り着ている服に火がつく事故のこと。「表面フラッシュ現象」により一瞬で火に包まれることもあり、年間100人前後が死亡している。もし火がついてしまったとき、どうすれば良いのか?

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製品評価技術基盤機構(NITE)の実験映像

事故があったのは、文星芸術大学。大学生は12月22日、作品制作のため屋外で「グラインダー」という機械を使って鉄板を切断していたが、作業中に火花が衣服に引火。重いやけどを負い、8日後に死亡した。

朝日新聞によると、大学生は引火しにくい作業着や厚手の手袋を身につけるなどの安全対策は取っていたといい、警察や大学側が原因や当時の状況を調査している。

総務省消防庁のまとめによると、「着衣着火」では、2015年から2020年までの5年間で572人、毎年100人前後が命を落としている。もっとも多いのは焚き火中の92人。次に多いのは「炊事中」の68人だった。

東京消防庁によると、住宅内での着衣着火の8割がこんろによるもの。被害は女性が男性の3倍以上、年代別には40代〜80代が多く、特に「高齢者は素早く消火ができず、重症化してしまう場合が多くあります」としている。

「レンジフードのナットを締めようと手を伸ばした際に着火した」という重篤化事例があったように、火に直接触れなくても、こんろに近づくだけで発火する危険性があることにも注意が必要だ。

こんろの奥にあるものを取ろうとしたり、キッチンの上に手をのばしてお腹部分に火がもえうつったりするケースがあるという。

「表面フラッシュ現象」にも注意

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神戸市の実験映像

また、冬場のパジャマに使われることの多い起毛の生地などは、火が一気に広がる危険性がある。

「表面フラッシュ現象」といい、一瞬で火に包まれる恐れも。綿・レーヨンなどの素材に注意が必要だ。

こうした事態を防ぐため、東京消防庁は以下のように呼びかけてる。


  • 調理中は、服のすそや袖が炎に接しないように注意する
  • マフラー、ストールなどは外す
  • ガスこんろの上や奥の物を取るときなど、こまめに火を消し、衣服に炎が燃え移らないよう注意する
  • 鍋等の底から炎がはみ出さないよう、適切な火力に調整する
  • 防炎品のエプロン・アームカバーを使い、調理中の着衣着火を予防する

「ストップ、ドロップ&ロール」を忘れずに

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名古屋市消防局の啓発ビデオ

仮に火がついてしまった場合は、どうすればいいのか。

消費者庁によると、「脱ぐ・叩く・水を掛ける」ことが大切だ。水道、流しの洗い桶、浴槽、花瓶、飲み物など、近くにある水で消火を試みよう。

また、「ストップ、ドロップ&ロール」(止まって、倒れて、転がって)という言葉もある。名古屋市消防局などによると、概要は以下の通りだ。

(1)火が燃え広がるため、走り回るのは危険だ。火の勢いを大きくさせないために「ストップ」する。

(2)地面に倒れこみ、燃えているところを押し付ける。隙間をできる限りなくす。倒れることで、顔の前に火が上るのを防ぐ効果もあるという。

(3)倒れたまま転がり、消火する。この際、両手で顔を覆ってやけどを防ぐ。

このほか、料理の際に身につけるものには、火のつきにくい「防火品」を選ぶことも大切だ。

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