ロシアによるウクライナ侵略をめぐり、日本国内のロシア料理店などに対するネット上での嫌がらせ被害が相次いでいることが、BuzzFeed Newsの取材でわかった。
「Google マップ」の評価欄を悪用したもので、低評価のレビューとともに、兵士の遺体写真とみられるものなどを投稿している。ウクライナ出身のオーナーの店舗でも被害が起きており、早急な対策を求める声があがっている。
(*この記事には冒とく的な文言やショッキングな表現が含まれます。閲覧にご注意ください)

BuzzFeed Newsの調べでは、被害に遭っている店舗は少なくとも25件。日本国内の地域は限定されておらず、ロシア料理店、スラブ料理店などが狙われている。
遅くとも3月1日には投稿されており、レビュー欄には「美味しくなかった」「不味すぎた」「変な味した。人間肉?」などという口コミとともに、低評価を投稿。
さらに兵士の遺体やそのIDと思われるもの写真、「ロシアの兵士 / 生き残りたいと思うこと / 諦めろ!」(*Google翻訳による)とロシア語で描かれた看板の画像などを貼り付けている。
神戸市でロシア料理店「ロシアンピロシキ」を営むオリガさん(41)も、同様の被害にあった。オリガさんは、ウクライナ国籍。出身は東部マリウポリで、日本に暮らして20年以上になる。
「戦争に関係ない人間がなんでそんなコメントをされないといけないんだろうと、とてもつらい気持ちです。お店を始めて3年間経ったのに、お客さんが減るようなことをされると、困ってしまいます」
「それに、ロシア人だからといって差別もしてはいけないと思います。私の友人の日本で暮らすロシア人は、みんな戦争に反対をしています。政治と無関係の人たちを、いじめないでほしい」
いまもウクライナ国内に暮らす母親とは、24時間以上、連絡が取れていない状況になっているといい、「戦争が起きてからずっと苦しいなかで、こういうことが起きてしまった。早く対応をしてもらいたいです」と訴えた。
「ヘイトクライム」の兆し

また、同じく被害にあった関東地方のロシア料理店の女性も、BuzzFeed Newsの取材に「お店でどう対応すればいいかわからない。お客さんが不快な思いをすることにもなりかねないので、どうにかしてほしい」と困惑気味に語った。
ロシアによるウクライナ侵略をめぐっては、アメリカのロシア料理店で、投石などの被害が起きたと報じられている。また、SNS上では東京都内のロシア食料品店の看板が何者かによって破壊されたという投稿もあった。
個人や属性に対する憎悪に基づいた犯罪である「ヘイトクライム」は、強く非難される、決して許されてはならない行為だ。
一連の行為を発見した東京都内の30代男性は取材に対し、「この投稿をもしお店の人が目にしたらどんな気持ちになるか、胸が締め付けられる思いです」と話す。
「ロシア政府・ロシア軍が国際法に反する侵略をしていることは断じて非難されるべきですが、それを理由に、一般のロシア国民や日本で暮らす在日ロシアの人々を誹謗中傷し、傷つけ、ロシアの文化を貶してはならないと思います」
そのうえで、「すでにヘイトクライムの兆しが、日本でも出てきている」として、政府や行政によるメッセージの発信が必要であると訴えた。
BuzzFeed NewsはGoogle Japanに対し、一連の行為への対応を問い合わせている。回答があり次第、追記する。
UPDATE
Google Japanは3月4日、取材に対し、「Google のポリシーには、投稿内容は、実際の体験や情報に基づくものでなければならないと明記しています」と回答。
「このような投稿内容があることを認識して直ちに、私たちのチームは調査を開始し、ポリシーに違反するコンテンツを削除するなどの処置を講じています」とコメントした。