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【リオ五輪】難民選手団10人の横顔 同じ境遇の人たちに「希望を与えたい」

世界には、6530万人の難民がいる。

リオ五輪で初めて結成された「難民選手団」。メンバー10人には、故郷や難民に対する強い思いと、願いがある。

Kai Pfaffenbach / Reuters

難民選手団(Refugee Olympic Athletes、ROA)は今年6月、IOCによって結成された。メンバーは、内戦や政情不安などで他国に逃れたシリアやコンゴ民主共和国、エチオピア、そして南スーダンの10人。

IOCのトーマス・バッハ会長は、会見で「世界に難民の困難な問題を伝えることができる」と意義を語った。

国連高騰難民弁務官事務所(UNHCR)の推計によると、昨年末現在、世界には6530万人の難民がいる。第2次世界大戦後、最多となった。

6530万人には、それぞれの人生がある。そして、難民選手団の10人にも。選手たちの横顔を、UNHCRのインタビューなどをもとにまとめた。

ラミ・アニス(25)/100メートルバタフライ

Mario Tama / Getty Images

北部アレッポ出身。激しくなった爆撃から逃れるため、兄のいるトルコ・イスタンブールへと避難した。

数ヶ月で帰るつもりだったから、持ち物は「ジャケット2枚、Tシャツ2枚、ズボン2本だけの小さな鞄」だけだった。その後ゴムボートでギリシャに渡り、最終的にベルギーにたどり着いた。

「スイミングプールこそが、私の家なんだ」

ユスラ・マルディニ(18)/女子競泳200メートル自由形

Mario Tama / Getty Images

首都ダマスカス出身。20人乗りゴムボートでギリシャに向かう途中、エンジンが故障した。姉たちと海に入ってボートを泳いで押し、3時間半かけて、レスボス島の沿岸まで運んだという。

その後は密航業者に頼りながら北上し、いまはドイツで暮らす。

「私は、すべての難民を代表したい。どんな困難も、嵐のように辛い日々も、いつかは落ち着くと伝えるために」

ヨランデ・マビカ(28)/柔道女子63キロ級

Buda Mendes / Getty Images

幼い頃、コンゴ民主共和国東部の紛争によって家族と離散。避難民センターで柔道に出会った。2013年から、ブラジルで難民として暮らす。

五輪には、こんな希望を託しているという。

「私の家族が会いに来てくれて、再会できるかもしれない」

ポポレ・ミセンガ(24)/男子柔道81キロ級

Buda Mendes / Getty Images

9歳で内戦から逃れ、家族と離ればなれに。施設で避難生活を送るなか、柔道に出会った。

家族がいなかった代わりに、柔道にすべてを教わったというポポレ選手はいま、ブラジルに避難し、トレーニングを重ねる。

「すべての難民に希望を与え、悲しみを取り払うために、メダルをとって捧げたい」

ヨナス・キンド(36)/マラソン

Claire Thomas / Via iocnewsroom.com

ルクセンブルクに暮らす。タクシー運転手として生活費を稼ぎ、トレーニングを積む。

「問題を抱えていたとしても、難民キャンプではなんでもできる。それは、難民のアスリートにとっての救いでもある」

アンジェリーナ・ナダイ・ロハリス(21)/女子1500メートル

Claire Thomas / Via iocnewsroom.com

6歳、紛争で「すべてが破壊された」村から逃げた。それ以来、両親には会っていない。いまはケニアの難民キャンプに身を置く。

いつか競技で、賞金を得たいという。

「お金があれば、人生を変えることができる。そしてまず、お父さんにもっと良い家を建ててあげたい」

イエーシュ・ピュール・ビエル(21)/男子800メートル

Ker Robertson / Getty Images

誘拐され、子ども兵になることから逃れるため、2005年にケニアの難民キャンプに避難。

現地の学校で長距離走に目覚めた。トレーニングするための靴も持っていなかったが、ほかの人に借り、走り続けた。

「オリンピックの舞台で走ることで、自分と同じ境遇にある難民に、人生は変えられるというメッセージを送りたい」

ジェームス・ニャン・チェンジェック(28)/男子800メートル

Ker Robertson / Getty Images

イエーシュと同じ理由で、13歳でケニアに逃れた。

学校で陸上競技に参加し、自分の才能に気がついた。友人から靴を借りて競技に参加していたが、どんな靴を履いても、負けることはなかった。

「これまでの人生を思い返し、自分の強さに変えたい。難民がより良い人生を送れるよう願いながら、私は走りたい」

パウロ・アモトゥン・ロコロ(24)/男子1500メートル

Thomas Mukoya / Reuters

数年前まで、南スーダンで牛の世話をしていた。外の世界に出たことは一度もなかったが、紛争を機にケニアに逃れた。

難民キャンプで暮らしているさなか、陸上チームのメンバーになった。それまでは、シューズさえ持っていなかった。

「自分の勇姿を、難民キャンプにいる仲間に届けたい」

ローズ・ナティケ・ロコニエン(23)/女子800メートル

Claire Thomas / Via iocnewsroom.com

10歳の時にケニア北部に逃れた。難民キャンプ内の競技会で初めて人前で走ったとき、2位になったことが彼女の人生を変えた。

「私は故郷の人々の代表として、リオに立ちます。そして、この挑戦が成功したら、平和のためのレースを故郷で開きたい」

最年少のユスラ選手はこう言った。「世界中の難民に、夢はかなえられると伝えたい」

Dean Mouhtaropoulos / Getty Images

さらに、「困難に直面しても、前に進むことの大切さを私たちの物語から学んでもらえたら」と語った

会見に出た選手たちは、こうも訴えた

「東京五輪には、自国の旗で参加できるようになりたい」

5日(日本時間6日朝)に開かれる開会式。10人はそれぞれの夢を胸に抱きながら、五輪旗とともに入場する。

Kota Hatachiに連絡する メールアドレス:Kota.Hatachi@buzzfeed.com.

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