「不自由展」再開初日、コールセンターに電話殺到。彼らは何を語ったのか

    「電凸」が問題視されれたあいちトリエンナーレへの抗議電話は、再開表明をした後に急増していた。一方、アーティストたちは「Jアートコールセンター」を開始。今回問題視された電話対応マニュアルなどの更新を試みるねらいがある。

    あいちトリエンナーレで展示内容に関するテロ予告や脅迫、抗議などを受け、中止となっていた企画「表現の不自由展〜その後」。

    条件付きで再開された10月8日初日、トリエンナーレ事務局と愛知県庁への電話は、計200件(午後5時現在)にのぼった。大半は再開への抗議だったという。

    一方で出展アーティスト自らが対応し、意見を聞くコールセンターが同日から開設された。こちらにも数百件の電話があり、意見が寄せられたという。

    開催直後に1日200件近くにのぼった抗議電話は、その後1日20〜40件程度に落ち着いていたが、検証委員会が中間報告で「不自由展」の再開を提言した9月25日以降に再び急増。これまで一番多かったのは、10月1日の207件だった。

    抗議電話をめぐっては、一部組織的とみられる大量の「電凸」が殺到。事務局の機能が麻痺し、「不自由展」を中止する一因になっていた。

    再開に際しては、▽電話が10分で自動的に切れる▽通話内容を全て録音するーーなどの対策がとられたほか、10月8日からはアーティスト自らが電話対応する「Jアートコールセンター」を設置した。

    「Jアートコールセンター」はアーティストによるプロジェクト「ReFreedom_Aichi」の一貫で、今回問題視された電話対応マニュアルなどの更新を試みるねらいがある。

    発案者はトリエンナーレの参加アーティストのひとりでもある高山明さんだ。

    ほとんどが60〜70代の高齢男性

    別会場に設置された「Jアートコールセンター」では、アーティスト自身や関係者や交代制で、電話対応にのぞんでいる。

    関係者によると、初日には数百件の電話が寄せられたが、実際に対応できたのは2〜3割程度。ほとんどが60〜70代の高齢男性で、30分以上の通話だった。

    「昭和天皇の写真をコラージュした作品を燃やす場面がある映像作品」などへの批判が広がるなか、そうした作品の表現手法に「傷ついた」と語っていた人もいたという。

    多くはネット上の情報を収集している人で、「不自由展」を実際に見た人はいなかったという。

    アーティストが対応することを知って電話をしてくるためか、声を荒らげるような人はいなかった。電話に対応したあるスタッフは、「異なる価値観を聞きあえるのは重要。知見を共有していきたい」と話した。

    コールセンターは毎日正午~午後8時に運営。会話は録音される。番号は050-3177-4593。